[1月22日09時30分 天候:曇 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家4階・愛原の部屋]
今日は日曜日。
調査などで土日が潰れることもあるこの仕事、久しぶりの完全オフの日である。
なので私は、ゆっくり寝ていた。
外は朝になっても薄暗いので、まだ雪が降っているか、それとも曇っているかのどちらかなのだろう。
リサ「せんせぇ……」
愛原「う……」
部屋の外で、リサの声がした。
何だか、寂しそうな声である。
リサ「せんせぇ、起きて……」
この場合、リサは捕食行動1歩手前である。
素直にドアを開けようものなら、捕まって食い殺されてしまう。
前に住んでいたマンションなど、それで私の部屋のドアは鍵を3つも付けていたくらいだ。
こりゃ、ここの新居もそうしないとダメか……。
リサ「お腹空いたぁ……」
やっぱり!
食人衝動に駆られてしまっているのだ!
ついにリサ、長く鋭い爪でカリカリとドアを引っ掻いている。
高橋達は何をしているのだ!?
まさか、リサにやられてしまったのだろうか!?
そんな簡単にやられる2人ではないはずだが……。
リサ「せんせぇ……起きてくれないとォ……」
ゴッ!(頭をゲンコツする音)
リサ「いでっ!?」
高橋「何やってんだ、このどアホ!普通に先生起こせや!」
愛原「あっ!?」
何だ何だ?
私は急いで飛び起きた。
そして、ドアを開けた。
愛原「何なんだ、一体!?」
高橋「先生。さすがに起きてもらいませんと、朝飯片付かないんで……」
愛原「い、いや、俺に気にせず、さっさと食ってくれていいんだよ!?」
リサ「先生のお許しが出たんで。いただきまーす」
カプッ!(リサ、愛原の左腕に噛み付く)
愛原&高橋「食うな!」
ゴッ!ゴッ!(愛原と高橋のゲンコツがリサにヒット)
リサ「いでっ!」
私と高橋から同時にゲンコツを食らったリサは、私の腕から離れたのだった。
愛原「リサ、本当に暴走してないんだな?」
リサは私に甘噛みした感じであった。
それでも、噛み付かれた所には歯形が残っている。
リサ「うん。でも、早くご飯食べないと暴走しちゃうかも……」
愛原「分かった分かった。今起きるから、先に食ってていいぞ」
高橋「先生がそう仰るのなら……」
リサ「わぁい。やっと御飯食べれるぅ」
2人は階段で3階に下りて行った。
私は4階のトイレで用を足すと、その横にある洗面台で顔を洗った。
リサが使っている時は、3階の洗面台を使うこともある。
もしかして高橋のヤツ、私より先に飯を食うなとでもリサに言ったのだろうか?
だとしたら、愚行であるが……。
[同日10時00分 天候:曇 愛原家3階ダイニング]
朝の身支度が終わり、3階のダイニングに向かうと、香ばしい匂いが漂っていた。
どうやら今、オーブンで何かを焼いているらしい。
週末は基本的に朝はパン食にしている私達だが、今朝は何を作ってくれたのやら。
ホットサンド辺りかな?
パール「あ、おはようございます、先生。まもなく先生の分、できますので」
愛原「ああ、ありがとう」
私は言われた通り、先に食べているリサと高橋を見た。
2人が食べているのは、ホットドッグのようだった。
なるほど。
ホットサンドてはなく、ホットドッグだったか。
パール「先に、コーヒーをどうぞ」
愛原「ああ。ありがとう」
パールはドリップコーヒーを入れてくれた。
愛原「外の様子はどうだ?」
高橋「積もってます」
愛原「マジか?」
私は隣のリビングの窓から、外を覗いた。
すると、先週ほどではないが、確かに少し雪が積もっていた。
先週のこともあったせいか、それよりは大したことの無い積雪に見えてしまう。
すると私が思った通り、今日の東京の積雪は3cmとのこと。
先週と違って、霙からのボタ雪ではなく、最初から粉雪がサーッと降るような降り方だったので、案外積もらなかったようである。
これは先週と違って、空気が乾燥しているからというのもあるだろう。
高橋「食い終わったら、俺とリサで雪かきしてきますんで」
愛原「ああ、ありがとう。でも、リサはテスト勉強しないと……」
リサ「どうせ家の前をやるだけだから、すぐに終わるよ」
愛原「そ、そうか?休みなのに悪いな。でも、除雪の道具は……」
高橋「昨日、買っておきましたよ。今度は準備万端です」
愛原「そうか。それなら……」
チーン!(オーブンのチンベル)
パール「お待たせしました。お熱いので、お気をつけください」
愛原「ありがとう」
喫茶店で出されるような、本格的なホットドッグだった。
それも、コッペパンにただウィンナーを挟んだだけではなく、炒めたキャベツも挟まれている。
シンクを見ると、使い終わったフライパンが置かれていた。
高橋の得意料理の1つだが、わざわざキャベツの千切りとウィンナーを炒めて、それをコッペパンに挟んでオーブンで焼いていたのか。
愛原「いただきまーす」
私が食べ終わると同時に……。
リサ「ご馳走様でした」
高橋「ゴチ!」
2人が食べ終わった。
高橋「じゃあ、食後の運動だ。さっさと雪掻きするぞ!」
リサ「おーっ!」
愛原「外は寒いだろうから、防寒対策ちゃんとやれよ」
高橋「もちろんです!」
高橋は革ジャンを着込んだ。
リサは体操服とブルマを穿いていたが、この上から長袖・長ズボンのジャージを着込んだ。
これがリサの防寒対策らしい。
雪は止んでいるようだが、太陽は雲に隠れたままだ。
天気予報によると、今日1日ずっと曇っているということもあり、気温はあまり上がらず、雪もあまり融けないだろうとのこと。
リサ「ゴメン。思ったより寒かった。もう1枚、着て行く」
外に出たリサが、また戻って来た。
さすがの鬼も、今日は少し寒いか。
リサは私服のパーカーを羽織り、もう1度出て行った。
パール「先生。朝食の最中で申し訳ないのですが……」
愛原「何だ?」
パール「御昼食は何になさいましょう?」
愛原「そうだな……。朝食が遅かったからな、昼は軽くでいいよ。うどんとかそばとか……」
パール「かしこまりました」
寒い中、雪掻きしてくれている2人の為に、昼食はもっと温かいのを食べさせてやろう。
愛原「俺はきつねうどんでいい」
パール「きつねうどんでございますね」
愛原「リサは……肉うどんだろうなぁ……」
パール「かしこまりました。お任せください」
愛原「頼むよ」
私はそう言うと、ホットドッグを頬張り、ホットコーヒーを啜ったのだった。
今日は日曜日。
調査などで土日が潰れることもあるこの仕事、久しぶりの完全オフの日である。
なので私は、ゆっくり寝ていた。
外は朝になっても薄暗いので、まだ雪が降っているか、それとも曇っているかのどちらかなのだろう。
リサ「せんせぇ……」
愛原「う……」
部屋の外で、リサの声がした。
何だか、寂しそうな声である。
リサ「せんせぇ、起きて……」
この場合、リサは捕食行動1歩手前である。
素直にドアを開けようものなら、捕まって食い殺されてしまう。
前に住んでいたマンションなど、それで私の部屋のドアは鍵を3つも付けていたくらいだ。
こりゃ、ここの新居もそうしないとダメか……。
リサ「お腹空いたぁ……」
やっぱり!
食人衝動に駆られてしまっているのだ!
ついにリサ、長く鋭い爪でカリカリとドアを引っ掻いている。
高橋達は何をしているのだ!?
まさか、リサにやられてしまったのだろうか!?
そんな簡単にやられる2人ではないはずだが……。
リサ「せんせぇ……起きてくれないとォ……」
ゴッ!(頭をゲンコツする音)
リサ「いでっ!?」
高橋「何やってんだ、このどアホ!普通に先生起こせや!」
愛原「あっ!?」
何だ何だ?
私は急いで飛び起きた。
そして、ドアを開けた。
愛原「何なんだ、一体!?」
高橋「先生。さすがに起きてもらいませんと、朝飯片付かないんで……」
愛原「い、いや、俺に気にせず、さっさと食ってくれていいんだよ!?」
リサ「先生のお許しが出たんで。いただきまーす」
カプッ!(リサ、愛原の左腕に噛み付く)
愛原&高橋「食うな!」
ゴッ!ゴッ!(愛原と高橋のゲンコツがリサにヒット)
リサ「いでっ!」
私と高橋から同時にゲンコツを食らったリサは、私の腕から離れたのだった。
愛原「リサ、本当に暴走してないんだな?」
リサは私に甘噛みした感じであった。
それでも、噛み付かれた所には歯形が残っている。
リサ「うん。でも、早くご飯食べないと暴走しちゃうかも……」
愛原「分かった分かった。今起きるから、先に食ってていいぞ」
高橋「先生がそう仰るのなら……」
リサ「わぁい。やっと御飯食べれるぅ」
2人は階段で3階に下りて行った。
私は4階のトイレで用を足すと、その横にある洗面台で顔を洗った。
リサが使っている時は、3階の洗面台を使うこともある。
もしかして高橋のヤツ、私より先に飯を食うなとでもリサに言ったのだろうか?
だとしたら、愚行であるが……。
[同日10時00分 天候:曇 愛原家3階ダイニング]
朝の身支度が終わり、3階のダイニングに向かうと、香ばしい匂いが漂っていた。
どうやら今、オーブンで何かを焼いているらしい。
週末は基本的に朝はパン食にしている私達だが、今朝は何を作ってくれたのやら。
ホットサンド辺りかな?
パール「あ、おはようございます、先生。まもなく先生の分、できますので」
愛原「ああ、ありがとう」
私は言われた通り、先に食べているリサと高橋を見た。
2人が食べているのは、ホットドッグのようだった。
なるほど。
ホットサンドてはなく、ホットドッグだったか。
パール「先に、コーヒーをどうぞ」
愛原「ああ。ありがとう」
パールはドリップコーヒーを入れてくれた。
愛原「外の様子はどうだ?」
高橋「積もってます」
愛原「マジか?」
私は隣のリビングの窓から、外を覗いた。
すると、先週ほどではないが、確かに少し雪が積もっていた。
先週のこともあったせいか、それよりは大したことの無い積雪に見えてしまう。
すると私が思った通り、今日の東京の積雪は3cmとのこと。
先週と違って、霙からのボタ雪ではなく、最初から粉雪がサーッと降るような降り方だったので、案外積もらなかったようである。
これは先週と違って、空気が乾燥しているからというのもあるだろう。
高橋「食い終わったら、俺とリサで雪かきしてきますんで」
愛原「ああ、ありがとう。でも、リサはテスト勉強しないと……」
リサ「どうせ家の前をやるだけだから、すぐに終わるよ」
愛原「そ、そうか?休みなのに悪いな。でも、除雪の道具は……」
高橋「昨日、買っておきましたよ。今度は準備万端です」
愛原「そうか。それなら……」
チーン!(オーブンのチンベル)
パール「お待たせしました。お熱いので、お気をつけください」
愛原「ありがとう」
喫茶店で出されるような、本格的なホットドッグだった。
それも、コッペパンにただウィンナーを挟んだだけではなく、炒めたキャベツも挟まれている。
シンクを見ると、使い終わったフライパンが置かれていた。
高橋の得意料理の1つだが、わざわざキャベツの千切りとウィンナーを炒めて、それをコッペパンに挟んでオーブンで焼いていたのか。
愛原「いただきまーす」
私が食べ終わると同時に……。
リサ「ご馳走様でした」
高橋「ゴチ!」
2人が食べ終わった。
高橋「じゃあ、食後の運動だ。さっさと雪掻きするぞ!」
リサ「おーっ!」
愛原「外は寒いだろうから、防寒対策ちゃんとやれよ」
高橋「もちろんです!」
高橋は革ジャンを着込んだ。
リサは体操服とブルマを穿いていたが、この上から長袖・長ズボンのジャージを着込んだ。
これがリサの防寒対策らしい。
雪は止んでいるようだが、太陽は雲に隠れたままだ。
天気予報によると、今日1日ずっと曇っているということもあり、気温はあまり上がらず、雪もあまり融けないだろうとのこと。
リサ「ゴメン。思ったより寒かった。もう1枚、着て行く」
外に出たリサが、また戻って来た。
さすがの鬼も、今日は少し寒いか。
リサは私服のパーカーを羽織り、もう1度出て行った。
パール「先生。朝食の最中で申し訳ないのですが……」
愛原「何だ?」
パール「御昼食は何になさいましょう?」
愛原「そうだな……。朝食が遅かったからな、昼は軽くでいいよ。うどんとかそばとか……」
パール「かしこまりました」
寒い中、雪掻きしてくれている2人の為に、昼食はもっと温かいのを食べさせてやろう。
愛原「俺はきつねうどんでいい」
パール「きつねうどんでございますね」
愛原「リサは……肉うどんだろうなぁ……」
パール「かしこまりました。お任せください」
愛原「頼むよ」
私はそう言うと、ホットドッグを頬張り、ホットコーヒーを啜ったのだった。