伊藤とし子のひとりごと

佐倉市議会議員4期目
議会、市民ネットワーク千葉県、さくら・市民ネットワークの活動あれこれ、お知らせします

令和元年度決算から見える千葉県の問題点

2021-01-16 12:20:56 | 議会
2月議会が1月29日から始まります。
3月に県知事選挙があるため、いつもよりも早い開会です。
予算委員会、常任委員会の質問準備に取り掛かりますが、
その前に、令和元年度の決算に対する反対討論を載せます。
(この準備に睡眠時間を削った結果が、コロナ発症だったかと反省しています)
決算討論から見える千葉県の問題点を提起したいと思います。

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市民ネットワークの伊藤とし子です。
令和元年度一般会計及び特別会計決算認定について、反対の立場から討論します。
主な理由は以下の10点です。

1点目、教員による児童生徒へのわいせつ・セクハラ問題について
すでに本年12月17日現在、教員の懲戒処分18件で、内わいせつ・セクハラは14件にも達しています。
平成31年1月、公立小の30代男性教諭から学校トイレでわいせつ行為を受けたとして
小6児童と保護者が千葉県、自治体、男性教諭を相手に国家賠償請求訴訟を千葉地裁に起こしました。
前年2月、小5被害児童に対する男性教諭によるわいせつ行為は1か月も繰り返され、
そのため、心的外傷ストレス障害により1年以上通学できず、夜も眠れず睡眠導入剤を服用している
とのことです。
事件発覚後、保護者が調査を求めても、学校、自治体教育委員会は「事実が確認できない」と庇い、
教諭の処分や移動を求めても認めず、教育委員会に移動したのは5カ月後でした。
教職員による児童生徒への体罰・わいせつ行為等は、被害者である子どもへの人権侵害です。
特にわいせつ行為は教師という立場を利用した性犯罪です。
その結果子どもは人としての尊厳を踏みにじられ、後遺症に苦しみ、その成長発達に深刻な影響を及ぼします。
わいせつ行為を「不祥事として」ではなく「性犯罪として」取り扱えば、
刑事訴訟法による捜査当局へ告発する義務を負うことになります。
県教育委員会は毎年増加するわいせつ・セクハラ問題を深刻に受け止め、
抜本的な解決方法を取るべきです。

2点目、教員未配置問題です。
令和元年4月の新学期は講師未配置109人でスタートし、その後増加して200人以上となり、
教員不足は深刻化しています。
未配置校では、担任の穴埋めに管理職を含め複数の教師が入れ代わり立ち代わりその学級に入ります。
そのため「子どもが落ち着かなくなる。」「教科によっては子どもが自習を続けている」という問題が
報告されており、子どもの学習権が守れません。
その主な理由は法で定められている教職員の配置数の内、7人に一人が非正規雇用に置き換えられている
からで、しわ寄せは子どもたちに来ています。
コロナ禍で少人数学級の必要性が言われていますが、そのためにも正規教員の拡充が急がれます。

3点目、共通番号制度についてです。
いわゆるマイナンバー制度とは住民票を有する国民及び在留外国人に生涯不変の番号を付番し、
個人の情報を管理するものです。
一旦、個人番号と各種の個人情報が紐づけられたデータベースが構築されれば、国家による一元管理
が行われる危険性があります。
勤務先・家族の状況、納税・社会保険料の支払い状況、医療や福祉に関する情報、
証券分野や預貯金口座など個人の資産に関する情報も、すでにデータベース化されつつあります。
来年3月には、健康保険証などの運用も始まります。
共通番号制度でデータベース化された個人情報と、購買履歴や位置情報、口座引き落としの情報、
健康状態など、企業が集めた情報が本人の知らないところでつなぎ合わせられ、
利用拡大が行われる危険性があります。
プライバシー保障について重大な脅威がもたらされかねないため、反対です。

4点目 議員の海外視察費用2,356万1,855円についてです。
令和2年1月 20 日から7日間、議員15人を米国に派遣したものです。
「ICT利活用の推進、防災対策、外国人観光客の誘客、進出企業の支援などの調査を実施し、
本県の経済活性化、防災力の向上、魅力発信の推進など、今後の県政の発展に資することを目的として実施」
と視察報告書にはあります。
しかし、公費2,356万円もかけた海外視察の成果は、議会質問には今のところ生かされていません。
しかも、立て続けの台風、豪雨被害に見舞われた直後のまさに、復興の途中であり、
さらに新型コロナウイルスの感染対策本部を立ち上げ、県を挙げて感染対策を行っている最中に執行されました。
あろうことか、週刊誌に写真付きの批判記事まで出されたことは恥ずべきことです。
議会として襟を正さなければなりません。

5点目、特別秘書の人件費です。
令和元年度の特別秘書の報酬は1,056万7,065円です。その業務内容は①知事の政務に関すること
、②知事の政策判断のための情報収集、分析等に関することで、一般行政事務には関与しないとのことです。
つまり、知事の政治家としての秘書という事でしょうか。
しかし、昨年の台風15号対応で知事へ連絡がつくのが特別秘書と秘書室のみだったことが検証委員会で
明らかになりました。
司令塔たる知事に的確なアドバイスを行わなかった特別秘書の仕事とは一体何なのか、改めて問われます。
そのような特別秘書に年間1000万円以上もの報酬を公金で払うことは、抜本的に見直すべきです。
 
6点目 行政データ情報流出について
神奈川県で発生した行政情報の流出に関連して、千葉県でも同じ富士通リースと契約していたことが判明しました。
県と富士通リースの賃貸借契約ではデータ消去に至るまで、富士通リースの業務であり、再委託は認めていません。
ところが、社員が機器の横流し事件を起こしたブロードリンク社と契約違反の再委託を行っていました。
遡っての調査では、データ流出はなかったとの報告でしたが、神奈川県のデータ流出も横流し品の
ネットオークション落札者の通報から発覚したものです。
契約違反は民間では大変な問題であり、富士通リースの信用問題に関わると同時に、契約した千葉県の
コンプライアンスも問われる事案であることを指摘します。
 
7点目、東千葉メディカルセンター不正経理問題についてです。
衝撃的な告発文がネット上で公開されました。
赤字体質を隠れ蓑にした大規模不正が行われていること。
不正を目的とした組織構築と邪魔な職員の排除が行われていること。
給与の横領や業者との癒着が組織的に行われていること。
委託会社への過剰な支払いは年2憶5千万円を超えていること。
物品の購入は架空取引や水増し請求が横行していること。
給与の水増しや手当の不正な請求がなされ、直近1年間で5億円以上の被害が発生していること。
その資金は千葉県からの助成金30億円であること。という内容です。
この告発文に添付されていた資料はすべて原本のコピーであると病院は認めており、
信ぴょう性が極めて高いと言えます。
そもそも地域医療に先進的に取り組んでいた県立東金病院を多くの県民の反対する声を無視して廃止し、
独立行政法人東千葉メディカルセンターを2次医療圏の中核病院として開設。
千葉県は建設時に13億7,700万円支出し、さらに交付金71億円を分割交付予定の内、
すでに平成26年~令和2年度までで総額68億4,710万円を支出。
平成30年度に赤字補填のため追加30億円を交付。
その他機器購入や研修費として総額11億7,200万円を支援しており、総額123億9,710万円にも上ります。
県から出向している事務部長は本来ならきちんと経営がなされているか監査をする立場であるにもかかわらず、
月27万円もの上乗せ給与が支払われていた、というから驚きます。
東金市議会に設置された「病院運営の適正化に関する特別委員会」でセンター理事長が
「不正の多くは前事務部長が来た2018年4月から始まった」とし、
「すでに亡くなっているので詳細は分からない」と発言しています。
死人に口なしとはこのことです。
しかし、百歩譲って県からの出向者である前事務部長が勝手に不正を行ったと言うのであればなおのこと、
千葉県はセンターの不正経理について、多額の県税投入の使い道を明らかにする責任があります。
県職員だった事務部長の不正だというのならなおのこと、背任行為に対する責任追及が求められます。
県は派遣元として違法、不当行為に対し、是正させる責任があり、ここまで放置した責任は免れません。

8点目、八ッ場ダム建設事業について
八ッ場ダムは完成はしましたが、治水・利水の両面で不要不急の事業であることを改めて指摘します。

9点目、日本コンベンションセンター国際展示場事業特別会計について。
幕張メッセ国際展示場で昨年6月にはMAST Asia、11月にはDSEI Japanによる
世界的な武器見本市が開催されました。
県有施設での死の商人と呼ばれる軍需企業に商談の場を与えることは、子どもや一般市民
を殺傷する武器の使用を奨励することになります。
戦争や武力の行使を禁じている日本国憲法に違反していることは明らかです。

最後に、令和元年度国民健康保険事業特別会計について。
国保加入者はこの6年間で4分の3に減少。
収入も減少の一途をたどり、昨年度は県内19保険者が単年度収支赤字です。
これをもって、財政収支の改善のために医療費削減と保険料値上げが検討されているところですが、
国保加入者は低所得層が極めて多いにも関わらず、協会健保より1.4倍、健保組合よりは1.7倍も高い
保険料となっています。
この矛盾に対し、国保広域化2年目となった昨年度も千葉県は真摯に向き合わず、国に言われるが
まま法定外繰入れの削減計画を市町村に押し付けてきました。
更に、保険証取り上げとなる資格証明証を多発する自治体を野放しにしている現状があり、
決算に反対するとともに、県民生活を無視した国保運営に対し厳しく改善を求めます。
以上、反対討論といたします。