今年に入ってから句会に出られない状況が続いています。でも欠席投句というやり方で、東京や秋田の句会に参加。そしてその中から毎月5句を(やっと)選び、「童子」に投句、掲載していただいています。
はらてふ古句集『月桃(さんにん)』
今月号は、はらてふ古句集『月桃』の世界特集。私も「風土と対峙する力」として、鑑賞文を書かせていただきました。てふ古さんとは、数年前石垣島に旅行をし、一緒にダイビングをしました。(顛末を書くと長くなるので省略)あの旅行は、私の旅行(吟行、他を含めて)ベスト1の楽しさでした。鑑賞文、一部転載します。
蟹かかへ蛸逃げること逃げること
法螺貝の進みきし道ありにけり
一度や二度沖縄を訪れただけ、ちょっとダイビングをかじっただけでは、このような場面には遭遇できない。遭遇しても「見る」ことはできない。海の底で集中力を維持しつつ、自分を解放しているからこその句だ。
六十八才で、スキューバーダイビングのライセンスを取り(猛勉強されたそうだ)、二十年近く石垣の海に潜り続けた。東京の家にあっては、二人の息子さんご一家と完全同居の大家族を支えてらっしゃる。それがどれほどすごいことか! まさに豪傑だ。
風土と対峙できる生半可ではない体力と精神力。てふ古さんのその力を認識したとき、『月桃』に納められた句が、誰でもそこに行けば詠める句ではないことがわかる。そして沖縄以外の句、〈残暑かな零れペンキに皺寄つて〉のようなどこにでもある景を読んだ句の数々の繊細さが、にわかに浮き立ち、輝いてくる。
二人の息子さんご一家と書きましたが、つまり三家族完全同居。長男とお嫁さん、次男とお嫁さん。今はもう自立したけれどかつてはお孫さんたち。という大家族です。
今月号、私は、
一木の裸となつて吹かれけり あぶみ
を含む5句を発表。また注目の小学生俳人、田代もえちゃんは、
にせ舞妓いつぱい通る紅葉がり
折りづるが一匹逃げた年の暮 田代もえ
など、今月も三尺の童っぷりを発揮しています。折り鶴の句はファンタジーだね。