今日は学校にいきたくない。
この一行で、物語が始まります。
この気持ちを一度も抱いたことのない人もいるかなあ。どうでしょう。
私はわかります。ありました。
この本は、跳び箱がとべない野花(のか)の物語。
実は私は跳び箱が得意でした。小学校のとき、跳び箱やマット運動は、お手本として最初にやらされるほど。というか、それだけが得意だったとも言える。
だったら、この主人公の気持ちはわからないでしょうって? それがそうでもないんだなあ。読み進めると、わりと早いうちに、
元気な人はちょっと苦手だ。
という一文が出てきます。わかる! 元気な人ってうらやましいと思う。でもなー、ちょっと苦手。
そうよ。勉強が得意だったあなただって、不得意なことがあったはず。だれでも、何かが得意で、何かが不得意。でも、不得意なものはまるで大きな壁のように自分の前にたちふさがるときがあるわけです。
だから、跳び箱が得意だった私でも、共感ができる本なのです。
きっと小学校低学年の子たち、同じだと思います。
升井純子さんは、札幌在住の作家さんです。『空打ちブルース』は講談社児童文学新人賞を受賞され、その後着々と新刊を出し続けてらっしゃいます。これからも、子供たちに寄り添った本を書いていってください。