先日10名弱の児童文学の合評会があり、その二次会で、句会をしようという流れになりました。
経験者は私を含めて3名。あとは、中学校の宿題以来的な方たちばかり。
でも、さすが文学をやっている人たち! 始める前に、春の代表的な季語を渡して(コピーしてくれていた方がいたのよ)「575にして。一句にひとつ季語を入れて」という指示だけで、できるではありませんか!!
そのときの句の一部をご紹介。(→は添削させていただきました)
椿咲く空家を出でて雪の坂
→ 椿咲く空屋の前や雪の坂 耕
ありもせぬ嘘が語れぬ四月馬鹿 耕
寒明に道険しくも交わしつつ
→ 寒明や道険しくも交わしつつ 暁人
風車ふいてるほっぺた肉まんだ
→ 肉まんのごときほつぺた風車 由紀子
正座してふと眠りたる春障子 優
四月馬鹿本音を混ぜて言つてみる 一朗
窓の下きこえる悲鳴猫の恋
→窓下にきこえる悲鳴猫の恋 未夏子
あれなあに官僚の先の葱坊主
→ あれなにと指さす先や葱坊主 史子
私が特選でいただいたのは、
恋バナを娘としたりけり鳥帰る
→ 恋バナを娘としたり鳥帰る 成美
祖母の忌に根芹を洗う水の音
→ 祖母の忌に根芹洗うや水の音 優
薄氷のように破つたラブレター 一朗
ひゃあ、薄氷を破るのと紙を破るのでは、動作は違うけれど、とても斬新。自分が書いて渡す前に破ったのか、以前もらってもう恋が終わったのか、はっきりはしないけれど、それでいい。
ちなみに私は、
書いて消す恋の話や水草生ふ
春浅しホワイトボード白きまま あぶみ
と作りました。はは。いいのいいの。みなさん、楽しかったと言ってくれたのでね。
こうして改めて見ると、どれも季語の斡旋、付け方がいいなあと。初心の場合、春の風、春の空、とかって作りそうじゃないですか。それが一個もないものねえ。歳時記のコピーを持ってきてくれた成美さんの手柄だ。(成美さん、以前一年間、私がカルチャースクールの講師をしていたときに通っていらしたのですよ。季語が大事ってわかってくださってたんだなあ)
ある日の朝、リビングから見た景色。下が黒雲で、上はもう少し、茜色めいていてのですよ。