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「童子」の大先輩である、たなか迪子さんの第二句集です。
ある程度年月を経て句集を出す方はたくさんいらっしゃいますが、第二句集を出される方は、ぐっと減ります。「童子」では、なくなられた大野朱香さんが第四句集まで出されましたし、浜崎素粒子さんは第六句集まで出してらっしゃいます。でも、それ以外で第二句集は、ひさびさに手にしたなあという印象です。
きれい~。
もちろん中身が大事。でもでも、この装丁の美しいこと! まさに着物の美しさです。布張りなんて、今日日句集くらいでしかお目にかかれないのではないでしょうか。めくった見開きがまた着物の裏でおしゃれをしている感覚です。
(上の写真では、よさが伝わってない・・・残念)
梅雨鯰貧しき面でありにけり
地吹雪やけむりのやうに人あゆみ
なきがらに波音途切れざる日永
ほのほのと十日の菊の疲れかな
終電に男女駆け込む近松忌
第一句集だと、俳句を始めた頃の句が入っていたりして、意気込み+若々しさがメインになるのかな。でも第二句集を同じように作ってもしょうもない。やはりここにあるのは、人間でいうと、大人の落ち着きです。
かなかなやまう会へぬとはあんまりな
厚物の首のずらりに迎へらる
足裏に眠りのツボがすいつちよん
ふりかへる鬼灯市におとうと似
ねつとりと夜風まつはる踊りかな
いや、どれもいいのです。
「ずらりに迎えらる」という言い回し、「すいっちょん」という季語のとぼけ具合(これ、とぼけすぎてもダメなわけで、その兼ね合いが絶妙。「弟」ではなく「おとうと」と仮名にしている。隅々まで配慮しているのがわかります。ねっとりとした夜風もまた。
大会などではいつもキリリとお着物を着てらして、とても美しい方です。
俳句をやっていると、すばらしい人生の先輩の姿を見られるというメリットがあるわけ。
私も第二句集を出そうという気持ちになれる日がくるかなあ。まあ、一歩一歩です。