6月11日。羽田空港6Fギャラクシーホールで、開会式がありました。
組み合わせ抽選は、その前だったのかな? あとかな? 東京は2会場に別れます。
昨年の全国優勝チームである、開成Aはすでに出場権を得ているので、この予選には出ないとのこと。開成はBチームがエントリ―していました。
開会の挨拶では、選者のお一人が、「俳句は友情の文学である。相手の句を読み合うことを忘れずに楽しんでもらいたい」とおっしゃられました。パチパチ。
私が観戦した会場1は、この開成B(本来は開成高等学校ですが、省略いたします。他の高校も)、吉祥女子、海城A、立教池袋 の4校によるシード選です。
会場には、選手の他、お母さん達(開成のお母さんが多い印象)、先生達、OB、出場しない選手、そして私のような野次馬はどのくらいいたのか? けっこうびっしりでした。
第一試合は、赤が吉祥女子、白が開成B 兼題は、「陽炎」
先鋒戦
赤 アキレスと亀陽炎と私かな
白 陽炎や巡回バスのふかみどり
3対2で、赤の勝ち。アキレスと亀に対して、パラドックスがどうのこうのというやりとりがありましたが、私はわかりませんでした。選者のお一人は、グーグルで見て、なるほどと思ったとおっしゃっていましたが、帰宅して調べたら、ふうん。永遠に追いつけないということなのだそうで。(そお?)まあ、それはさておいて、選考委員長である明彦氏(「童子」編集長は、アキレスと亀は有名すぎて、ありきたりであるとばっさり。
それでも赤が勝ったのは、白の句はおとなしすぎるというのが、私の印象です。赤のほうが魅力があります。
中堅戦
白 時計屋を時溢れ出す遊子かな
赤 陽炎に焼け死ぬ朝を枕から
3対2で、白の勝ち。
白の句のほうが、イメージがわきやすく、赤は陽炎という春の季語に焼け死ぬというのは合わないとか、言われていましたが、同感かなあ。
大将戦
赤 水匂うピアノの音は陽炎かな
白 ギアひとつ上げ陽炎を振り払ふ
4対1で、白 開成の勝利となりました。
ギアひとつの句、好きです。
という具合に試合は進みます。
第二試合は、海城A対立教池袋 2対1で海城Aの勝ち
第三試合は、吉祥女子対海城A 3対0で海城Aの勝ち
ここでは、「ながらえて銀に熟れゆくしゃぼん玉」「放たれてはじめて石鹸玉となり」という海城の句が好きでした。これ、しゃぼん玉をしっかり写生してますね。
第四試合は、開成対立教池袋B 2対1で、開成の勝ち
ここでは、「しゃぼん玉の中は土砂降りかもしれず」というすばらしい句が開成から出ました。選者の先生達、5人が開成の白い旗を上げました。
ということで、ここで開成と海城がともに2勝をあげ、次の第5試合、開成対海城Aの勝者が全国へ出場ということになりました。
この試合、先鋒戦、中堅戦とも、5対0で、海城が勝利。ここで、海城の全国出場が決定という劇的展開でした。そのときの海城の句は、「夏立ちて紙飛行機に足す尾翼」「夏来る慣れぬあだ名に振り向いて」。この2句目に対して、開成が出した句は「SLが空侵しくる立夏かな」。これに対して、選者の先生のお一人が、「開成、どうしてここで、この句を出してくるかなあ」と。悪い句ではない。でも、「侵しくる」は有名な句があるらしく(すみません、どんな句なのかわかりません)そうでなくとも、SLという郷愁をさそうものを持ってきたのは失敗だと思いました。
そうなんですよ。吉祥女子と立教池袋と対戦したときの句のほうがいいの! そっちを海城戦に出せていたら、勝敗はわからなかったかも。
でも、それが試合というものなんでしょうね。
ちなみに第6試合は、吉祥女子対立教池袋。2対1で、吉祥女子の勝利でした。でも、もう勝者が決まっていたせいか、第二会場では、開成Aと第二会場の勝者チームの試合が行われるということもあり、第一会場の観戦者は、潮が引くようにいなくなってしまいました。
でも2チームとも、最後までしっかり戦いました。吉祥女子チーム、つっこまれやすい句を作っていますが、危ういながらも魅力がありました。立教池袋Bは、わりと真面目でおとなしい句が多かった印象。でもAチームは、出場を決めたのですから、日頃からかなりやっていることがわかります。
それにしても、開成の「しゃぼん玉の中は土砂降りかもしれず」は、いい! 明彦選考委員長も、9点をつけ、(持ち点10)「この句が出たことで、しゃぼん玉の中は、あるいは土砂降りなのかもしれないと思わせる力がある」とおっしゃっていて、私は、大きくうなずいていました。
岩手大会、秋田大会、そして全国大会へと③、④……続きます。(の予定)
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