
長い名前のサラダを買うや春動く 村上健志
題:デパ地下
1位 才能アリ72点 谷まりあ
五限後のデパ地下うららルビーチョコ
2位 凡人50点 大久保佳代子
伊予柑のゼリー見惚れし母傘寿
添削 伊予柑のゼリーに見惚れゐて母は
3位 凡人45点 松下由樹
長蛇列バレンタインデー無縁なる
添削 無縁なりバレンタインデーの長蛇
4位 凡人40点 南果歩
春遠し義理チョコ買わずぼっち飯
添削 義理チョコは買わない春はまだ遠い
5位 才能ナシ25点 田辺智加
てんてこ舞いピンクに染める新入社員
添削 売り出しやてんてこ舞いの新社員
名人 現状維持 ◆森口瑤子
行く春や閉店セールの百貨店
添削1 パンジーや閉店セールの百貨店
添削2 鳥雲に閉店セールの百貨店
永世名人 掲載決定 ◆村上健志
長い名前のサラダを買うや春動く
今日は2月14日、いつもの百貨店で北海道展が始まったので行って来た
バレンタインコーナーもあり、今回のお題のような光景が繰り広げられていた
今回は森口瑤子が指摘された「季語が近い」と言うことについて考えてみよう
夏井先生は、「行く春」と「閉店セール」が近いと言っているのだが
行く春とは春の終わりを意味していて、閉店も店の終わりである
これを俳句では季語が近いと言い、嫌われる
俳句を勉強し出した当時は、季語の意味に則した内容がいいのかと思っていた
今回の森口のような句だ
だが、季語を説明してしまうような季語は駄目なのである
又、「季語が離れすぎる」と言うのもあり、これも又駄目なのである
これは季語と、それ以外の部分がどう関係するのかさっぱり分からないからである
話は変わるが、umeさんは、今月の句会に出されたある句について感想を求められて、
「季語が動く」という指摘をした
この句は、五点も得点が入り、好評だったが、主宰はボツ句としていた
季語が動くとは、季語が別のものに変わってもいくらでも意味が通じることであり、
この句の場合も、季語に対するリスペクトが感じられなかったのだ
だが、作った本人の反論があり、得点を入れた人も納得がいかないようだったナ
人の評価はそれぞれ、その人の知識や経験、どんな場所でどんなふうに生きてきたか…
皆感じ方は違うのだ
それはそれで受け入れて、次に生かして行けばいいのだと思うし、
それが句会の良いところである
自己主張が強いと誰も何も言わなくなるし、気分の良いものではない
考えさせられた句会であった