梅さんのかわら版.umelog

我が家の琉球朝顔~オーシャンブルー

”理科室の蛙”

2016-03-07 19:03:53 | 俳句&短歌

この梅の花は10日程前、不老園に吟行に行った時に撮ったもの。
今はもっと満開になっているはずだ。
吟行に行くと言うと、みんな銀行と勘違いするが、外へ俳句を作りに行くことを吟行という。
俳句をつくる旅行だ。
今回で3回目、20名程が参加した。この日は風があり、肌寒く途中の休憩所では火で暖を取っていた。

同じ場所で同じ空気を吸い、同じもの見て、感じて、匂いを嗅いで、音を聞く…
吟行とは、今この場所で、この時間を切り取って、ここだからこそ作れる句をつくること。
要するに、釣りに行って釣った魚をその場で料理して食べて味わうこと。
新鮮さが命…かな?
理屈では分かっているのだが…

そのことをS先生に教えられた。
そういえば、眼下に中央線が走っていて、電車が走っていた。
音だ…梅の匂い×電車の音=嗅覚×聴覚。
閃いていたのに、umeさんには作れなかった句を先生は作っている。
人の句なのでここには掲載できないが、今を一瞬で切り取った句だ。

もう一つS先生の句、これはumeさんも選んでいる。
吟行の次の日は飯田龍太氏の逝去した日。この日は龍太忌と言って季語になっている。
この句は、「明日は龍太忌」という上七で始まる。
真っ先に○をした。子供が小さいころ、近所の神宮のお祭りをとても楽しみにしていた。
指折り数えてその日を待っていた、その日が明日なのだ。
その日がとても大事な日だと分かる。誰とは知らずに選んだが、S先生と知って納得した。
先生は、毎年龍太忌に墓参りをしているそうだ。

”理科室の蛙”
これって、NHk俳句を見ていた人には分かるだろうが、池田澄子先生の3月の題は「蛙」だ。
「理科室の水槽にいる蛙かな」という入選句がある。
今は、理科室でしか蛙は見られようで、こういった句がいくつもあったという話をしていた。
この話を聞いたとき、蛙ばかりでなく都会では自然がないので、花鳥諷月の句は詠めないのかな思った。
自然の中でイキイキと生きている蛙がいい。
そういう点では、蛇笏、龍太の愛した山梨は恵まれている。
毎日が吟行のようなものだ・・・