梅さんのかわら版.umelog

甲州市~甘草屋敷

滑走路…自死した歌人の詩

2018-10-19 15:14:55 | 本と雑誌
“きみのため 用意されたる滑走路 きみは翼を手にすればいい”  
                     萩原慎一郎

16日のクローズアップ現代で、この歌集のことを取り上げていた。
角川の短歌雑誌でも取り上げていたので、読みたいと思っていたのだが…
この滑走路は通常の歌集の200倍売れているという。
何故みんなのこの歌集に惹かれるのか…
彼は、この歌集が出版される直前の2017年6月に32歳という若さで
自ら命を絶っている。
学生時代のいじめ、その後の精神的不調そして、非正規として働いた人生…
これらを詠んだ歌は、今の同じような境遇の人たちの共感を呼び
そして、励ましとなっている。
又、そうした過酷な日々と共に夢や恋も歌にしていて、切ない…
彼は、高校生の時に俵万智に出会い、その短歌に触発されて、
短歌を作り始めた。
メキメキと頭角を現し、いろいろな賞を総なめしている。
短歌が彼を救ったのではと思うのだが、何故自死してしまったのか…
32歳とう若さで…
この滑走路はより多くの人に歌を伝えたいということで出版されたという。
自らの境遇のつらさを表現するためだった短歌。その目的は、いつしか変化し
多くの同じ境遇の人たちへのメッセージとなったのだ。
彼が希望したように…

萩原さんが無くなる半年前、知人に送ったメール
“最近思うんです。どう考えても、納得できないような事態と
遭遇してしまう人たちが実際にいること。でも力強く生き抜いている、
そんな姿を見ると心打たれる。
誰からも否定することのない輝きを有しているからです。
だから、ぼくは歌うんだと思います。誰からも否定できない
生きざまを提示するために。”