うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

一眼を持って歩いた、訳

2018年05月04日 | 真面目な日記

澄んだ声が響く朝は、

消えた。

 

おはようございます。

この季節になると、朝は決まって、

澄んだ声が響いていた。

声が響く時刻はとても正確で、それを見計らって、

ベランダからひっそり、小川を見張っていると、

澄んだ声を響かせながら水上を走る青い光が見えた。

カワセミだ。

小川の流れを伝って行けば、

広い川へとたどり着く。

たどり着けば、休む間もなく、

その日の糧を得るために川へ飛び込む。

腹が満たされたら、ようやく羽根を休めるのだ。

水の流れる音の中、小枝に佇んでいると、

風に吹かれて草木の擦れる音がして、

一旦、あたりを見回した。

いつもの事かと安堵して、羽根の手入れをしていると、

今度は、川沿いの細道に近づく人の気配に気づき、

小枝から飛び立つ。

そして、カワセミは、小川を伝って帰って行った。

川の向こうに広がる原っぱには、

シロツメクサが咲き始め、

色とりどりの虫たちが集まってきた。

毎年変わらぬ、この風景に、

今年、カワセミの姿は登場しない。

カワセミの棲み処だった場所は、

あっという間に、人間の住処になっていた。

 

澄んだ声が響く朝は、消えてしまった。

川沿いの原っぱも、車の通れぬ細道も、

いずれは無くなる予定だそうだ。

シロツメクサが咲く朝も、

草木の擦れる音も、集う虫たちの姿も、

いつかは消えてなくなっていく。

この土地は、人しか住めぬ土地になる。

 

私は、何年も「カワセミの姿をカメラに収めるぞ」と試みてきた。

ますます開発が盛んになる中、祈りながら試みてきたが、

とうとう、それは叶わなかった。

せめて、あの青い鳥が見てきただろう風景を、

撮っておきたくなったのだ。

 

ついでに、いつ撮っても、

絶対こっちを見てくれない、亀たちは・・・

やっぱり、こっちは見てくれないんだよね~。

 

私達は、この星を守ってなどいない。

守られているのは、私達なのだという事を、

決して、忘れてはいけない。