うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

記憶の中の顔

2022年05月25日 | カズコさんの事

昨日は久しぶりに、

夜中の呼び出しがあった。

 

おはようございます。

かずこさんが心筋梗塞になって以来の夜中の呼び出し。

あれ以来、吞み過ぎに注意していたという訳ではないが、

心不全の状態では、吞もうと思ってもあまり吞めないらしく、

ここのところ、アルコール量が程よかったようだ。

 

ところが、

最近、元気いいな~っと思っていたら、これだ。

行ってみれば、かずこさんは食卓の下で横たわっている。

老婆が横たわる姿は、衝撃的だ。

見慣れないとショックを受け、事件性さえ感じさせる。

しかし、その状態で、えらくご機嫌さんな様子の老母と、

その横で座り込んで大笑いする、もう一人の酔っ払い老父の光景は

さらに衝撃的だ。

これこそ、おぞましい事件より質が悪い事件だ!

 

「かずこさん、気分はどう?気持ち悪くない?」

「あっ、おかっぱか?ア~ッハッハ、わしは立たん!」

きっぱりと、何言ってるか分からんろれつで断る母。

「立たんて?!立たんて?!ウワッハッハ~困っちゃうな~」

と、鋭く、何言ってる分からんろれつでツッコむ父。

 

かずこさんは、右の鎖骨が脱臼しているから、手を引けない。

私は背後からかずこの背中に両足を差し込み、胸に両手を回し、

勢いよく引き寄せ、上体を起こす。

猫の爪を切る時の体制になった。

これは『犬のリラックスポジション』と呼ぶらしい。

我が家の猫達は、仰向けにさせて膝に乗せたって、リラックスしてくれないが、

かずこは、ぐったりと上体を私に委ねてくる。

はしゃぎながら・・・。

「こりゃ、楽や~楽ちんや~」

そのまま、水を飲ませ、しばらく『犬のリラックスポジション』。

 

4月、私はかずこの両親が眠るお寺へ出向いた。

お参りが目的というより、供養の年会費をお寺に納めるためだった。

一年に一度、都会にある寺には、その機会にしか行かない。

せっかくだからと、かずこも誘ってみたが、どういう訳か行きたがらなかった。

「わし、不吉な予感がするで行かん。お前も気を付けて行ってこい」

今から行こうって時に、縁起でもない事を言う人だが、

私は無事に行って帰ってきたから、まあ良しとしよう。

 

ところが、かずこは、さらに不思議なことに、

行かなかったことを、手紙にしたためていた。

計算も日付も滅茶苦茶になっている出納帳に、

滅茶苦茶な文字で書かれているのを見つけたのだ。

 

~ 父ちゃん、母ちゃん、お参りに行けなくてごめんなさい。

かずこには、かずこの考えあってのことです。

だから、かずこは、かずこの道をまっすぐ生きて、

そちらへ神さんに連れて行ってもらえるまで、一生懸命生きます。

父ちゃん、母ちゃんに、会いたい。 4月23日 ~

 

人は、こんな年齢になっても、親が恋しいものなのかと、

私は不思議に思った。

そして、痛々しくも切なくも、愛おしくも感じた。

酔っぱらって笑っている母は、

今どんな親の顔を思い浮かべて恋しがっているのだろうか。

私の胸の中に子供のように収まるかずこに、そんな思いが湧いてきた。

「かずこさん、そろそろ立ってみようかぁ?」

「ほい、立とうかな~?どうやろか~?」

その後、私とかずこは、

「かずこ、まっすぐ立て!まっすぐ行くの、ベッド、こっち!まっすぐ~」

と、よろよろとベッドへ向かった。

 

母よ・・・どこが、まっすぐ生きていくだよ?!

私は母が逝ったら、こういうかずこを思い浮かべて恋しがるのだろうか。

そう思ったら、笑えて来るかと思いきや、

めちゃくちゃ笑えて来た。

 

さて、我が家の忘れられない顔と言えば・・・

たれ蔵、あやの場所にチャッカリ座っていた。

 

が、さっそく、あやの圧が!

 

あや「おい、お~い!」

 

あや「やんのか、おーい!」

 

出ますよ!

この顔ったら!!

 

で、結局

耐えられなくなり

 

こうなって

 

あや「こうなる訳よ、どんなもんだい!」

出た、この顔も忘れられんな。