昨日は久しぶりに、
夜中の呼び出しがあった。
おはようございます。
かずこさんが心筋梗塞になって以来の夜中の呼び出し。
あれ以来、吞み過ぎに注意していたという訳ではないが、
心不全の状態では、吞もうと思ってもあまり吞めないらしく、
ここのところ、アルコール量が程よかったようだ。
ところが、
最近、元気いいな~っと思っていたら、これだ。
行ってみれば、かずこさんは食卓の下で横たわっている。
老婆が横たわる姿は、衝撃的だ。
見慣れないとショックを受け、事件性さえ感じさせる。
しかし、その状態で、えらくご機嫌さんな様子の老母と、
その横で座り込んで大笑いする、もう一人の酔っ払い老父の光景は
さらに衝撃的だ。
これこそ、おぞましい事件より質が悪い事件だ!
「かずこさん、気分はどう?気持ち悪くない?」
「あっ、おかっぱか?ア~ッハッハ、わしは立たん!」
きっぱりと、何言ってるか分からんろれつで断る母。
「立たんて?!立たんて?!ウワッハッハ~困っちゃうな~」
と、鋭く、何言ってる分からんろれつでツッコむ父。
かずこさんは、右の鎖骨が脱臼しているから、手を引けない。
私は背後からかずこの背中に両足を差し込み、胸に両手を回し、
勢いよく引き寄せ、上体を起こす。
猫の爪を切る時の体制になった。
これは『犬のリラックスポジション』と呼ぶらしい。
我が家の猫達は、仰向けにさせて膝に乗せたって、リラックスしてくれないが、
かずこは、ぐったりと上体を私に委ねてくる。
はしゃぎながら・・・。
「こりゃ、楽や~楽ちんや~」
そのまま、水を飲ませ、しばらく『犬のリラックスポジション』。
4月、私はかずこの両親が眠るお寺へ出向いた。
お参りが目的というより、供養の年会費をお寺に納めるためだった。
一年に一度、都会にある寺には、その機会にしか行かない。
せっかくだからと、かずこも誘ってみたが、どういう訳か行きたがらなかった。
「わし、不吉な予感がするで行かん。お前も気を付けて行ってこい」
今から行こうって時に、縁起でもない事を言う人だが、
私は無事に行って帰ってきたから、まあ良しとしよう。
ところが、かずこは、さらに不思議なことに、
行かなかったことを、手紙にしたためていた。
計算も日付も滅茶苦茶になっている出納帳に、
滅茶苦茶な文字で書かれているのを見つけたのだ。
~ 父ちゃん、母ちゃん、お参りに行けなくてごめんなさい。
かずこには、かずこの考えあってのことです。
だから、かずこは、かずこの道をまっすぐ生きて、
そちらへ神さんに連れて行ってもらえるまで、一生懸命生きます。
父ちゃん、母ちゃんに、会いたい。 4月23日 ~
人は、こんな年齢になっても、親が恋しいものなのかと、
私は不思議に思った。
そして、痛々しくも切なくも、愛おしくも感じた。
酔っぱらって笑っている母は、
今どんな親の顔を思い浮かべて恋しがっているのだろうか。
私の胸の中に子供のように収まるかずこに、そんな思いが湧いてきた。
「かずこさん、そろそろ立ってみようかぁ?」
「ほい、立とうかな~?どうやろか~?」
その後、私とかずこは、
「かずこ、まっすぐ立て!まっすぐ行くの、ベッド、こっち!まっすぐ~」
と、よろよろとベッドへ向かった。
母よ・・・どこが、まっすぐ生きていくだよ?!
私は母が逝ったら、こういうかずこを思い浮かべて恋しがるのだろうか。
そう思ったら、笑えて来るかと思いきや、
めちゃくちゃ笑えて来た。
さて、我が家の忘れられない顔と言えば・・・
たれ蔵、あやの場所にチャッカリ座っていた。
が、さっそく、あやの圧が!
あや「おい、お~い!」
あや「やんのか、おーい!」
出ますよ!
この顔ったら!!
で、結局
耐えられなくなり
こうなって
あや「こうなる訳よ、どんなもんだい!」
出た、この顔も忘れられんな。