うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

新月だけど、満月の話

2022年05月31日 | 日記

昨日の夜は、新月だったらしい。

 

おはようございます。

月のない夜だ。

新月には願い事を叶える力があるという。

夜中に目が覚めた時、私はそれを思い出した。

 

白い紙に、願い事を2個以上10個以内書くといいらしい。

私は慌てて、引き出しから白い付箋紙を取り出した。

夜中にぼんやり目覚めた人間など、そんな物しか思いつかない。

書こうにも、月が無い夜は暗い。

ましてや、ぼんやり目覚めた人間に、

2個以上の願い事など思いもつかないし、そもそも付箋紙だ。

願い事の代わりに思い出した、『テッシュ』と書くのがやっとだった。

 

ということで、

5月最後の新月に、私が願ったことは、

今日、『テッシュ』を忘れずに買うこと!と相成った。

いわゆる箱ティッシュだ。

できれば5個パックのエリエールの箱ティッシュが欲しい。

 

でも、ちょっと待って!

あたし、『テッシュ』って書いちゃった。

ティッシュでなくテッシュとだけ書いちゃった。

新月は、私の脱字と思惑を『テッシュ』の文字からくみ取ってくれるだろうか?

 

そういえば、まだ新月の願いなど知らなかった頃、

私はある夜、まん丸い月に本気で願ったことがあった。

チビと名付けた、大きなキジトラの猫のことだ。

勤め先の倉庫に、段ボールに入れられて3匹で捨てられていた。

それは19歳の時で、その3匹は私が産まれて初めて抱いた猫だった。

家には猫が大っ嫌いな母が居り、連れ帰ることは叶わなかった。

 

私は、あの猫らのおかげで、

その日から無遅刻無欠勤の模範社員となり、おまけに休日も通う羽目となった。

当時付き合っていた男もいたが、休日のデートは午後4時までだ。

午後4時には、会社の倉庫で待つチビらにご飯をやらなければならない。

食べさせたら、膝に乗せて、充分に撫ぜて安心させてやると決めていた。

そんな当時の私は、いわゆる『けばい女』だった。

マイクロミニスカートにハイヒールを履き、

口紅は赤いどころか、もはやシルバーだった。

ラメラメのシルバーの口紅だ。

今思えば、口元がシルバーだなんて、信じられない!

だから男も、私の門限が4時だなどと、信じられない訳だ。

「スカートからパンツ見えるのカッコ悪いから、あたし、ノーパン!」

と豪語するシルバーの女を信じられる訳ないのだ。

「どうせ、他にも男がいて、遊びまわってんだよな、おかっぱは」

と言われるのが常だった。

しかし、男の発言は、ある意味間違っていない。

チビを含む3匹とも、オスだったのだから。

 

その後、2匹は貰われていったが、

どういう訳か、一番小さくて泣き虫のチビは、残ってしまった。

それでも、私は相変わらず無遅刻無欠勤で通った。

けれど、ある日、チビは忽然と姿を消した。

大きさは、生後4~5か月に育っていただろうか。

周りの人は

「懐っこいから、誰かに拾ってもらえたんだよ」

と言ったが、私は狼狽えた。

探し回ってから、呆然としたまま帰宅した頃、窓からはまん丸い月が昇っていて、

私は窓辺にうな垂れ、月を見上げた。

「お願い。お願いします。チビを返して。」

私にとって、チビはかけがえのない存在になっていたことを

あの時、改めて思い知った。

お化粧も派手な洋服もブランド物のバッグも、もうどうでもよかった。

あんなに本気で、何かを願ったことも、あれが初めてだった。

 

その後、満月はどんどん欠けていき、月は消え、

そして再び、まん丸に戻った頃、

なんと、チビは、まるで月のようにまん丸に太って帰ってきた。

シャンプーの香りをプンプン漂わせていた。

それを機に、私は家へ連れ帰った。

チビは晴れて、我が家の猫となったのだ。

満月の願いは、あの猫が大っ嫌いな母の気持ちをも動かしてしまった訳だ。

 

しかし、一つだけ、後悔が残っている。

あの夜、チビにシャンプーをしてくれていた人は、

月にチビのことを願っていたかもしれないということだ。

チビは、13歳までのんびりと飼い猫として生きた。

そのことを、その人に、知らせたい。

 

だから、満月になると、私はたまに、ふと思い出すのだ。

 

さて、我が家の猫達は

前の記事で、この状況を心配してくださっていた皆さん。

「そこ、あやさんの場所だけど、その後大丈夫だったかしら?」

そう心配くださった皆さんに、その後をお伝えします。

 

はい、こうなりましたよ~。

 

たれ蔵は、眼を閉じたまま、闇雲に反撃してたけど、遅いよね。

 

慰めの撫ぜ撫ぜ、しておきました!