うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

蜂と猫

2022年06月14日 | カズコさんの事

昨日の朝、マンションのエントランスに、

蜂が巣を作り始めていた。

 

おはようございます。

あれは、アシナガバチか。

「そこではダメ。人間に見つかるぞ。」

まだ小さい巣だったから、今のうちに壊した方がいいだろうが、

私はせっせと巣作りに励む蜂を見過ごして、いつものように実家へ向かった。

 

寝起きのかずこさんは、食卓でお茶を飲んでいた。

そして、素晴らしく煌びやかな洋服を着ていた。

黒地にラメの柄が入った、かずこさんのお気に入りの服だ。

なんだか、女王バチを思わせる出で立ちだ。

「また、それ着て寝てたの?ダメじゃんか!それはお出かけ着だから。」

最近、かずこさんはどういう訳か、

その服を寝巻替わりにして就寝してしまうようになった。

「これ、さらっさらで気持ちええんや。」

「さらっさらの寝巻なら、この前買ってきたでしょうが。

それを着て寝てよ。」

私は、そう言い放ち、すぐさま、かずこさんの寝室へ向かった。

買った寝巻は、そうそう簡単には見つからない。

タンスの引き出しを片っ端から引くが、買ったばかりの寝巻は発掘できない。

「どこにしまい込んだ?ねえ、お願い。どうしてよ。」

 

私は、その寝巻を買うのに、

何軒も店を回り、いくつもの通販サイトに目を通し、

吟味に吟味を重ねて手に入れたのだ。

かずこさんに気に入ってもらえるように選び抜いた物だ。

自分の服に、そんな労力を使ったことなんてない。

それなのに・・・それなのに・・・。

 

台所へ戻ると、

女王バチみたいなかずこさんは、体温計を覗き込んでいた。

「35.8度。普通やな?」

「そうだね、平熱だから安心して。」

とりあえず、服を着替えさせようと思い付き、

また寝室へ行き、適当な部屋着を手にして戻ると、

女王バチは、また検温している。

「ほら、これに着替えて。」

部屋着を渡し、トイレへ行って、また戻ってくると、

女王バチは着替えもせず、3度目の検温中。

「もう何度測っとる?35.8度だから!」

「ほうやな。35.8なら、ええよな?」

その時、かずこさんは女王バチのくせに、控えめな笑みを浮かべた。

 

私は、ふと閃いた。

かずこさんは、検温したことを忘れ、

だから何度も繰り返しているだけではない。

緊張しているんだ。

私に緊張している。

検温するという行為に拘るのは、緊張のせいだ。

出で立ちは女王バチみたいだけれど、かずこさんの中身は猫みたいだ。

新品には、なかなか慣れないし、

叱られて居心地が悪くなると、

とたんに熱心に毛繕いをする猫みたいに、検温を繰り返しているのではないだろうか。

 

夕方、帰宅した頃には、

エントランスのハチの巣は壊されていた。

床には、粉々になった巣が残ったままだけれど、死んだ蜂は見当たらない。

「早いうちで良かったんだよな。」

早いうちの方がいい。

その方が痛手は小さくなる。

 

私は、今朝もこれから、実家へ向かう。

もし、かずこさんが女王バチの姿でいたら、それはそれでいいじゃないか。

そう思うことにする。

私の固定観念なんて、早いうちにぶっ壊しておいた方がいいんだ。

そのほうが、うんと愉快だ。

そして、

女王バチどころか、アゲハ蝶みたいな寝巻、探したろう、そうしよう。

 

さて、これはなんだ?

のん太「これは、なんなのら?」

 

のん太「これは・・・」

 

のん太「これは、なんら?」

 

これは・・・

あや「あたしでしたぁ~。うふふ、のんちゃん、楽しかった?」

 

のん太「かかぁ、のん、怖かったんら」

あや「ちょっとぉ?!」

早いうちに、ネタをばらさないからだぞ、あやさん?!