父は怯えていた。
おはようございます。
日曜の朝、いつものように実家へ行くと、
父も、いつものように、
「おい、ばば、おかっぱが来たで、どっか連れて行ってもらえ。」
と言うはずだが、この日は違った。
「今日は、どこか行くか?行くんなら気を付けてくれよ。」
などと言うではないか。
どうしたことだろうと聞いてみると、父は声を潜めた。
「あのよぉ、昨日の晩、ばばが、あいつが、
本当のこと、言うたろか?ってしゃべり出したんだ。」
当のかずこさんは、自分の部屋で出かける準備をしている。
父は、それを確認して、更に声を潜めた。
「わしは、あんたと結婚して良かった。って、言ったんや。
わしはあんたと結婚できて、幸せやっとも言った。
あのばばが、そう言ったんや。そんなこと言ったのは初めてだ。
それで、俺はゾッとした。
だから、とりあえず俺は当分、家から出ないように気を付ける。
お前も、気を付けてくれ。頼む。」
たしかに、かずこさんは、そんなことを言うような人間じゃない。
父の話を聞いて、当然、私もゾッとした。
「父さん、こりゃ、空から矢が降ってくるか、宝くじ当たるか、
どっちかだ。
それっくらいの奇跡が起きるに違いない。」
私は慌てて、仏壇に飾ってあった『サマージャンボ』を手に取って、
かずこと宝くじ売り場へ向かった。
「買って以来、存在を忘れていたサマージャンボ、当たっちゃってる~!」
私は、そう叫びながら運転した。
結果は、外れだった。
なんだよ、なんなんだよ。
あれは、なんだったんだろうか・・・
そんなわけで、我が家にも叫ぶのがいる。
あや「おばちゃ~ん」
なに?なんなの?
あや「おばちゃんってば~」
だから、なんなの?
あや「だから、おばちゃんってばってばてば~」
どうしたのっでばでば~?
あや「おばちゃーーーーーー」
なんだーーーーー
って、この騒ぎの中、よく寝ていられるな、おたまってば。
ちなみに、かずこさんも、あの騒ぎの中、我関せずだったという。