maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

マッチポイント

2006-09-10 03:39:21 | FILM
今日、ウディ・アレンの「マッチポイント」を恵比寿ガーデンシネマで観てきました


ウディ・アレンらしい階級社会への皮肉な視点とサスペンスフルな展開、魅力的なキャスティング、という前評判に惹かれて・・・。

アイルランド出身のテニスプレイヤーから、イギリス上流階級の家族へ受け入れられていく野心家のクリスにジョナサン・リーズ・マイヤーズ。「ヴェルヴェット・ゴールドマイン」の美青年としてのデビュー作のイメージが強いがちょっと田舎っぽさの残るところが適役か。妹クロエに彼を紹介するきっかけを作った兄の婚約者、アメリカ人女優ノラに「ロスト・イン・トランスレーション」のスカーレット・ヨハンソン。
クールな美女ながら”官能的な唇”のファム・ファタル。これまた適役。

オペラのCDを買い、解説書片手に「罪と罰」を読み、ワインのオーダー(ピュリニー・モンラッシェ)、ラルフ・ローレンで買うセーターの素材(カシミアでなくビキューナ)に至るまで、付き合う相手の生活言語を着々と自分のものにしていく努力家のクリス。
自然体で、オトコを一目で惹きつけてしまう魅力を発散するが母親ウケの悪いノラ。
パーソナリティと運の良し悪し、が強固なバックグラウンドを持つ、上流家庭に切り込んでいく美しい若者2人の運命の明暗を分ける。

クロエと結婚したクリスがノラと抜き差しならぬ間柄になり、そして・・・。

オペラ、ギャラリー、テート・モダン、週末のカントリーハウス・ライフ(この辺り実に上手く描けています)と、イギリス上流階級の日常を見せながらそこにアダプトしていく主人公の運命の変遷をたどる前半と、急展開のサスペンスフルな後半、語り口の上手さは流石のアレン演出。
思いがけない結末に、後味の悪さを感じるか、語り口の軽さとそして続く人生の中身の重さの対比にうなるかはその人次第かも。

カルーソーの美声をBGMに流れるように遂行される犯罪、幽霊にソフォクレスで対抗、という辺にニヤリとしてしまうわたくしにとっては、結構楽しめた2時間4分でした。