荒唐無稽に見える行動、これらの登場人物は極めて寓話的に各々の役割を担っています。

冷酷さと拒絶、のトゥーランドット。愛と勇気のカラフ。献身と自己犠牲のリュー。
それぞれが与えられた役割に基づいて素晴らしく流麗に作曲されたアリアを美しく歌い上げるところにオペラ的快感と感動が生じます。
(わたくしは、死に行くリューのアリアで鼻水をすすりあげました!)
と同時にピン、ポン、パンの3人の官吏が辛いお役目を愚痴ってみたり、故郷を懐かしんでみたりと、清濁併せ呑んだ人生を渡りつつ軽妙に歌い上げることで物語の硬直化を防ぎ、時に批判的な視点を取り入れて、この寓話に血肉を与えています。
この3人は、イタリアの民衆的な即興劇コメディア・デラルテの登場人物パンタローネ、アルルカン、ブリゲーラをベースとして造形されたキャラクターでそれぞれが首相でバリトンのピン、式部長官のテノール、パン、料理長でテノールのポンに対応。イタリア人にとっては異国のお話ながら、グッと身近な存在が狂言回し的に入ることで物語りに厚みが生まれているとも言えましょう。

ヴェルディのように、愛と国家の相克、運命に翻弄される人間の苦悩、といった大きな主題を持たず、あくまで甘い男女の愛をロマンチックで美しいメロディーに乗せて、ときとしてエキゾチックな背景で彩りながら作品を発表してきたプッチーニの最後の作品。
リューの死、までで筆をおくこととなり、最終的に完成された作品としてまとめあげたのはフランコ・アルファーノではありますが、プッチーニのテーマである「愛の勝利」は最後の合唱で高らかに歌い上げられています。

今回、フィレンツェ歌劇場はイタリアの19世紀末から20世紀初頭にかけての 2人の偉大なオペラ作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディとジャコモ・プッチーニの「白鳥の歌」を持って来日しました。
生来悲劇好みで、壮大なスケールのドラマを描き続けてきたヴェルディは最後に人生を達観した大人の視点で飄々と喜劇を楽しみ、同時代にドイツで発展した交響曲やワーグナー風の「動機」による作曲技法がオペラ界の主流となりつつある中、プッチーニは最後のメロディー作曲家として全身全霊で愛を歌い上げる・・・。
今回、それぞれ、ストレーレル、ゼフィレッリの定評あるプロダクションを超えたとも言われる、ルカ・ロンコー二の知的でリリカルな演出、チャン・イーモウの中国の伝統美を活かしつつもダイナミックな視覚的効果で強い印象を与えるプロダクションで観られたことも嬉しい、来日公演。
進化し続けるヨーロッパの名門歌劇場の実力を堪能したことでした。

冷酷さと拒絶、のトゥーランドット。愛と勇気のカラフ。献身と自己犠牲のリュー。
それぞれが与えられた役割に基づいて素晴らしく流麗に作曲されたアリアを美しく歌い上げるところにオペラ的快感と感動が生じます。
(わたくしは、死に行くリューのアリアで鼻水をすすりあげました!)
と同時にピン、ポン、パンの3人の官吏が辛いお役目を愚痴ってみたり、故郷を懐かしんでみたりと、清濁併せ呑んだ人生を渡りつつ軽妙に歌い上げることで物語の硬直化を防ぎ、時に批判的な視点を取り入れて、この寓話に血肉を与えています。
この3人は、イタリアの民衆的な即興劇コメディア・デラルテの登場人物パンタローネ、アルルカン、ブリゲーラをベースとして造形されたキャラクターでそれぞれが首相でバリトンのピン、式部長官のテノール、パン、料理長でテノールのポンに対応。イタリア人にとっては異国のお話ながら、グッと身近な存在が狂言回し的に入ることで物語りに厚みが生まれているとも言えましょう。

ヴェルディのように、愛と国家の相克、運命に翻弄される人間の苦悩、といった大きな主題を持たず、あくまで甘い男女の愛をロマンチックで美しいメロディーに乗せて、ときとしてエキゾチックな背景で彩りながら作品を発表してきたプッチーニの最後の作品。
リューの死、までで筆をおくこととなり、最終的に完成された作品としてまとめあげたのはフランコ・アルファーノではありますが、プッチーニのテーマである「愛の勝利」は最後の合唱で高らかに歌い上げられています。

今回、フィレンツェ歌劇場はイタリアの19世紀末から20世紀初頭にかけての 2人の偉大なオペラ作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディとジャコモ・プッチーニの「白鳥の歌」を持って来日しました。
生来悲劇好みで、壮大なスケールのドラマを描き続けてきたヴェルディは最後に人生を達観した大人の視点で飄々と喜劇を楽しみ、同時代にドイツで発展した交響曲やワーグナー風の「動機」による作曲技法がオペラ界の主流となりつつある中、プッチーニは最後のメロディー作曲家として全身全霊で愛を歌い上げる・・・。
今回、それぞれ、ストレーレル、ゼフィレッリの定評あるプロダクションを超えたとも言われる、ルカ・ロンコー二の知的でリリカルな演出、チャン・イーモウの中国の伝統美を活かしつつもダイナミックな視覚的効果で強い印象を与えるプロダクションで観られたことも嬉しい、来日公演。
進化し続けるヨーロッパの名門歌劇場の実力を堪能したことでした。