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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

Firenze歌劇場「ファルスタッフ」

2006-09-14 01:26:53 | OPERA
今日は東京文化会館のソワレ。
Verdiの最後のOPERA「ファルスタッフ」をフィレンツェ歌劇場日本公演、ズービン・メータの指揮、ルカ・ロンコー二の演出で観て(聴いて)参りました。



シェイクスピアの「ヘンリー4世」と「ウィンザーの陽気な女房たち」をベースにしたOPERAブッファ(喜劇)。元来悲劇好み(?)のヴェルディが最後に遊び心満載で楽しんで描いていることが伝わる作品。

太鼓腹の老騎士ファルスタッフがブルジョワ夫人アリーチェとメグに同じ内容の恋文を届け、それに気づいた女たちは結託してファルスタッフをこらしめる。アリーチェの嫉妬深い夫フォードは娘ナンネッタを医師カイウスと結婚させようとしているが、アリーチェはナンネッタを恋人のフェントンと沿わせようと策を練る・・・。
騎士階級の没落とブルジョワの台頭を背景に散々だまされ笑いものにされたファルスタッフが「世の中すべて冗談」との言葉で始めるフーガで大団円。
女性に眼がなくすぐにだまされてしまうファルスタッフの透徹した人生観に晩年のヴェルディを重ね合わせて味わい深い、人生を知る大人にこそ楽しめるオペラ。
一幕最後に展開する9重唱は男たちの2分の2拍子と女たちの8分の6拍子が重なるポリリズムになった複雑な構成ながらも、メータの指揮とフィレンツェ5月音楽祭管弦楽団の軽やかながらも隙のないリズムに乗って、歌手も絶妙なアンサンブルを聴かせてくれて正に絶品!

コミカルな演技も、外題役のライモンディ、アリーチェ役のバルバラ・フリットリを始めとする芸達者が揃い、心地よい連携振り。

ロンコー二の演出は、ラジカルすぎず、コミカルすぎず、人間が年をとるということ、没落貴族と成上がりの平民の対比などをしみじみと受け取らせながら、テンポ良く美しい舞台転換で見せる知的で心地よいもの。音楽をじっくり味わえる優れたプロダクションだったと思います。



ラストシーン、疲れて部屋で眠ったファルスタッフのベッドだけを残して居酒屋2F宿屋のセットが左右に分かれて、秋の森になるシーンは場面転換のスムースさと鮮やかさに加え、宙に浮いたファルスタッフと妖精の森、という舞台設定が素晴らしく幻想的で美しいエンディングでした