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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

文楽「仮名手本忠臣蔵」に・・・

2006-09-17 12:50:35 | きもの
昨日、16日の土曜日は爽やかなキモノ日和
渋めの小紋にしようかと思っていたのですが、バティックとグレーの単衣の紬でうんと渋いコーディネートにしたくなり、急遽変更。何やらアジアンな着姿で向かった先は半蔵門の国立劇場

  

MINX一の伝統芸能通、ポンチ姐さんがご手配くださったお席で、今回はkinakoさんとご一緒に「仮名手本忠臣蔵」の第2部を観て参りました!

五段目のあとの六段目「早野勘平腹切」。紋寿の勘平、玉英の与市兵衛女房。舅を誤って撃ってしまったと早合点の勘平の切腹、誤解が解けるまでの姑の嘆き、何もしらず祇園に売られていく妻のおかる、家族の悲劇をたっぷりと描く段。ちょっと辛かったかも・・・。
一転して華やぐ七段目の「祇園一力茶屋」。
嶋太夫の休演に寄り、若手トリオで新鮮な太夫。千歳太夫が大星、イケメン呂勢太夫がおかる、おかるの兄、足軽平右衛門は文字久太夫。三味線は清介。
人形は蓑助さんが大星、おかるは桐竹勘十郎。平右衛門は玉女。
娘を遣わせたら天下一品、情の色濃い味付けの蓑助さんはおかる、ダイナミックな動きのワルがお得意(と勝手にわたくしが思っている)勘十郎さんがワルではないが、大きな動きの平右衛門ならば今までのイメージどおりなのですけど、敢えて・・・の今回の配役も新鮮で楽しめました

終わったら夕刻。
kinakoさんは第一部、二部と通しでご覧になっているのでお疲れ?
ちょうど小腹が空いてきた頃・・・とお隣にあるグランドアーク半蔵門のレストランPatioで軽食と白ワインを・・・。お洒落話に花が咲いてすっかりラストオーダーの時間までおしゃべりに興じてしまいました



モノトーンの流水柄小紋に、アイボリー地に赤のお花の半衿、紺地の帯、若草色の帯揚げ、ローズの帯締め、水色のトートBAG、とお好きな色を散りばめた,通し観劇の疲れも見せない爽やかな着姿のkinakoさん。



わたくしは結構気に入っているグレーの光沢のある単衣の紬にバティックの帯。紫と茶の玉虫の半衿に紫の帯揚げ、薄紫とピンクの縞の帯締め。バッグはアンナ・モリナーリの茶。琥珀の指輪。
木彫りの簪のせいか、とてもエスニックテイストに仕上がりました。
この紬、質感が面白いので意外と手に取ることが多いみたい。裄は限界まで出したけれども着丈も短いので(おはしょりがギリギリ!!)胴接ぎをしたほうが良いかも・・・と思い始めています。







ファルスタッフ 衣装はフェラガモ

2006-09-17 01:01:12 | OPERA
Firenze歌劇場の「ファルスタッフ」
舞台美術、オケ、指揮、歌手陣と書いてきましたが、忘れてはならないのが衣装。
女性陣の花柄ワンピースがきれいなのですが、すべてフェラガモのシルク。
ナンネッタ役のステファ二ア・ボンファデッリがレモンイエロー、(彼女はほっそりとした容姿のソプラノで娘役にピッタリ!)、クイックリー夫人のエレナ・ジーニョはモスグリーン、ページ夫人メグはピンク、アリーチェ役のバルバラ・フリットリはオレンジ系。陽光に照らされた庭の芝生の上、軽やかに跳ねる足元はやはりフェラガモ。
ヴァラ、オードリー、プラットフォームのサンダルなど、フェラガモのアイコンとでもいうべきデザインの靴がブルジョワ婦人たちのさんざめきに良く似合っていました



今回、終了後サイン会があったので、並んでみました(ミーハーゆえ・・・)
長いテーブルについているのは、9歳のお嬢さんをつれたバルバラ・フリットリ、フォード氏役のマヌエル・ランツァ、とってもスリムなボンファデッリ、メグ役ラウラ・ポルヴェレッリ、そして最後にライ様(すみません、ファンなので)。赤いクルーネックのカシミアニットの襟元にポロシャツの白襟を少し覗かせたライモンディはトリ。
フリットリとランツァは、ご自分のサイン入りのブロマイドを用意しており、希望者には下さるというサービス振り。(勿論、プログラムにもその場でサインしてくださるのですが)
今回、珍しくランツァ以外は全員イタリア人。mariaも頑張って一人ひとりにイタリア語で感想を述べてみたりして(ランツァもスペイン人なのでItalianでOK)
ライモンディにはスカルピア役がとても好きなのですが、今回のファルスタッフも本当に良かったですと申し上げたら、「え?こんなお腹だったのに?」とライ様(役で舞台上では大きく突き出た太鼓腹のクッションを入れていた)。えぇ、お腹よりもヒトとしての大きさを感じさせるノーブルなファルスタッフでしたわと。
舞台栄えする繊細な長い指のライモンディには握手もしていただいてすっかり夢見心地・・・






Firenze歌劇場「ファルスタッフ」

2006-09-14 01:26:53 | OPERA
今日は東京文化会館のソワレ。
Verdiの最後のOPERA「ファルスタッフ」をフィレンツェ歌劇場日本公演、ズービン・メータの指揮、ルカ・ロンコー二の演出で観て(聴いて)参りました。



シェイクスピアの「ヘンリー4世」と「ウィンザーの陽気な女房たち」をベースにしたOPERAブッファ(喜劇)。元来悲劇好み(?)のヴェルディが最後に遊び心満載で楽しんで描いていることが伝わる作品。

太鼓腹の老騎士ファルスタッフがブルジョワ夫人アリーチェとメグに同じ内容の恋文を届け、それに気づいた女たちは結託してファルスタッフをこらしめる。アリーチェの嫉妬深い夫フォードは娘ナンネッタを医師カイウスと結婚させようとしているが、アリーチェはナンネッタを恋人のフェントンと沿わせようと策を練る・・・。
騎士階級の没落とブルジョワの台頭を背景に散々だまされ笑いものにされたファルスタッフが「世の中すべて冗談」との言葉で始めるフーガで大団円。
女性に眼がなくすぐにだまされてしまうファルスタッフの透徹した人生観に晩年のヴェルディを重ね合わせて味わい深い、人生を知る大人にこそ楽しめるオペラ。
一幕最後に展開する9重唱は男たちの2分の2拍子と女たちの8分の6拍子が重なるポリリズムになった複雑な構成ながらも、メータの指揮とフィレンツェ5月音楽祭管弦楽団の軽やかながらも隙のないリズムに乗って、歌手も絶妙なアンサンブルを聴かせてくれて正に絶品!

コミカルな演技も、外題役のライモンディ、アリーチェ役のバルバラ・フリットリを始めとする芸達者が揃い、心地よい連携振り。

ロンコー二の演出は、ラジカルすぎず、コミカルすぎず、人間が年をとるということ、没落貴族と成上がりの平民の対比などをしみじみと受け取らせながら、テンポ良く美しい舞台転換で見せる知的で心地よいもの。音楽をじっくり味わえる優れたプロダクションだったと思います。



ラストシーン、疲れて部屋で眠ったファルスタッフのベッドだけを残して居酒屋2F宿屋のセットが左右に分かれて、秋の森になるシーンは場面転換のスムースさと鮮やかさに加え、宙に浮いたファルスタッフと妖精の森、という舞台設定が素晴らしく幻想的で美しいエンディングでした


マッチポイント

2006-09-10 03:39:21 | FILM
今日、ウディ・アレンの「マッチポイント」を恵比寿ガーデンシネマで観てきました


ウディ・アレンらしい階級社会への皮肉な視点とサスペンスフルな展開、魅力的なキャスティング、という前評判に惹かれて・・・。

アイルランド出身のテニスプレイヤーから、イギリス上流階級の家族へ受け入れられていく野心家のクリスにジョナサン・リーズ・マイヤーズ。「ヴェルヴェット・ゴールドマイン」の美青年としてのデビュー作のイメージが強いがちょっと田舎っぽさの残るところが適役か。妹クロエに彼を紹介するきっかけを作った兄の婚約者、アメリカ人女優ノラに「ロスト・イン・トランスレーション」のスカーレット・ヨハンソン。
クールな美女ながら”官能的な唇”のファム・ファタル。これまた適役。

オペラのCDを買い、解説書片手に「罪と罰」を読み、ワインのオーダー(ピュリニー・モンラッシェ)、ラルフ・ローレンで買うセーターの素材(カシミアでなくビキューナ)に至るまで、付き合う相手の生活言語を着々と自分のものにしていく努力家のクリス。
自然体で、オトコを一目で惹きつけてしまう魅力を発散するが母親ウケの悪いノラ。
パーソナリティと運の良し悪し、が強固なバックグラウンドを持つ、上流家庭に切り込んでいく美しい若者2人の運命の明暗を分ける。

クロエと結婚したクリスがノラと抜き差しならぬ間柄になり、そして・・・。

オペラ、ギャラリー、テート・モダン、週末のカントリーハウス・ライフ(この辺り実に上手く描けています)と、イギリス上流階級の日常を見せながらそこにアダプトしていく主人公の運命の変遷をたどる前半と、急展開のサスペンスフルな後半、語り口の上手さは流石のアレン演出。
思いがけない結末に、後味の悪さを感じるか、語り口の軽さとそして続く人生の中身の重さの対比にうなるかはその人次第かも。

カルーソーの美声をBGMに流れるように遂行される犯罪、幽霊にソフォクレスで対抗、という辺にニヤリとしてしまうわたくしにとっては、結構楽しめた2時間4分でした。




TOSCA in Madrid

2006-09-09 10:07:28 | OPERA
昨夜、BSでTOSCAを観(聴き)ました!

2004年のMadrid公演、配役が豪華で、まずトスカはダニエラ・デッシー。
恋人の画家、カヴァラドッシの描くマドンナの眼が青いのを、自分と同じ黒い瞳に書き換えて、と嫉妬する第一幕。警視総監スカルピアにカヴァラドッシの命と引き換えに一夜の快楽をとの難題を突きつけられて神に嘆き歌う「歌に生き、恋に生き」の2幕。空砲が鳴るから倒れた振りをして、その後は通行証も手配してあるから2人で愛と芸術に生きるのよと銃殺刑を前にした恋人に甘く歌いかける第3幕。
全幕を通して、ひたむきで豊かな美しさと情の濃さが心に響く説得力のあるトスカでした。

カヴァラドッシは2000年頃からデッシーの実生活でのパートナーでもあるファビオ・アルミリアート。
流石に息のあった演技。彼は3幕でトスカが銃殺刑はお芝居だから、と言ってもそれが遂行されてしまうことを知っている、その上で、トスカの夢を受け入れている、という解釈をしているそう。
繊細でロマンチックな印象の役作り。



この2人は今月末のローマ歌劇場日本公演でも同役で出演します。
9月24日びわ湖ホールが皮切りで、9月28、30、10月1日にはNHKホールで歌います。
30日だけ、セカンドキャストとしてイザベル・カバトゥが入っていたのですが、デッシーの希望で急遽配役変更が行われ、全日彼女が主役を務めます。
わたくしは2年前のフィレンツェ歌劇場公演の「トスカ」でMyBestTOSCAとしたので、今回のローマ歌劇場は取っていないのですが、ちょっと興味が出てきました



今回のトスカの白眉はこの人!ルッジェーロ・ライモンディ!
影の主役、権力を欲しい儘にし、宗教を政治に利用し、自分の権力で次々を女性を征服しては捨て去る悪人なれど、独特の人間的魅力を感じさせなくてはならない難役ですが、スタイリッシュな舞台姿、力強く深みのある声、これでもかといういやらしさと品の良さを見せる演技力・・・完璧でしょう(ファンです)
彼は来週から始まるフィレンツェ歌劇場来日公演「ファルスタッフ」で外題役を務めますが、この公演には勿論わたくしも行くつもり!対照的な役ですが・・・。
ますます楽しみになってまいりました

ちなみにこのMADRID公演はDVDにもなっています。