最初の一冊~松村比呂美

自著の宣伝のために始めたブログですが、今では、風景や食べ物の写真が主になっています。

『お勝手のあん』 柴田よしき(著)

2019-12-25 | 小説
柴田よしきさんの新刊『お勝手のあん』(角川春樹事務所)を読了しました。
縁あって、品川宿の宿屋、紅屋で世話になることになった少女、おやすの物語です。
下働きの女中見習いとしてひたむきに、精一杯働くおやすには、ある特別の才が備わっていました。


ふわりと出汁の匂いがたちのぼってくるようなお勝手の様子に、何度、お腹が鳴ったことか。
本の帯を取ると、お勝手の様子がさらによくわかりますね。


「よもぎ餅」の章では、本当にお腹が空いてきて、太宰府で買って冷凍していた梅ヶ枝餅を温めて食べました。
よもぎを摘んでいるときのある人との出会いの場面も、おやすの心情がすごく伝わってきてとても好きです。


美味しく温かい物語ですが、それだけではありません。
置かれた境遇で、人としてどう生きていけばいいのかを改めて考えさえてくれる物語でもあります。
おやすの周りにいる人たちがまた魅力的で、シリーズ第2弾で会えるのが待ち遠しいです。

〈追記〉
一緒に紹介するのはおこがましいですが、私も時代小説『拾われ地蔵』を書いています。
【作品紹介より】
助けを必要としている者に拾われ、願いを叶えるという木のお地蔵様とは…。
その不思議な力と江戸市井の人情を描く、電子オリジナルの時代小説連作短編集。
第一話 拾われ地蔵
第二話 つまみかんざし
第三話 錦百合
第四話 冬と春
第五話 身代わり
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ほっこりする物語とちょっと悲しい物語。
つまみかんざしは、身近な人の体験談を元に書いた、自分でも好きな作品です。
読んでいただけると嬉しいです。


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