新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

英語の発想は日本語とは違っている

2014-09-26 08:49:47 | コラム
英語は日本語とは発想が違う点にご注意を:

私はこれまでに何度も日本と英語圏との文化の違いと思考体系の違いを弁えておくことが、色々な意味で必要だと説いてきた。また日米の文化比較論も採り上げてきた。

そこで今回は彼等が使う英語の表現が屡々我が国の学校教育の英語と異なる場合があるので、その違いがどのなものかの例を幾つか挙げていこうと思う。

先ずは1972年8月に胸躍らせて生まれて初めてのアメリカ行きで、今はなきPANAMでに乗ってサンフランシスコに向かった時のことだった。その機内で知り合ったアメリカ人にアトランタへの乗り継ぎ便を待っている間に、未だ時間があるから”I’ll buy you a drink.”と言って誘われた(のだろう)。実は”buy you ~”は初めて聞く表現で、聞いた瞬間には何のことか解らなかった。しかし、多分「何かを誘っているのだろう」と解釈して”Thank you.”と言ってついていった。行く先はバーだった。

バーに入って解ったことだったが、”buy you a drink”は「一杯奢るよ」ということだったのだ。その頃までの私の語彙には「奢る」は”treat”しかなかったので、言わば新鮮な驚きだった。理屈をいえば、彼等の思考体系では自分が主体であるから、「俺が一杯買うよ」となるのかななどと考えていた。それ以降も”treat”が「奢る」という意味で使われた例には余り出会っていなかった。

次なる例は少し衝撃的だった。1970年代後半だったと記憶する。冬場にワシントン州シアトル空港の前のホテルに泊まっていた時のことだった。この地方には珍しい大雪が降った為に、朝6時半頃にホテルの建物の外側に出た形でついているガラスのエレベータが、寒さで凍り付いて動けなくなってしまった。私は偶々早めに降りていたので寒さの中での宙づり難を免れたが、部屋に戻れなくなってしまった。

すると、そこには「”service elevator”(荷物等の運送用)を使って下さい」との掲示が案内図とともに出ていたが、その図が極めて解り難かった。それを見た宿泊客の1人が掃除の女性に「何処か」と尋ねた。私も聞きたかったことだった。その説明は我が国の学校教育からすれば、言わば想定外の表現ばかりだったので忘れられなかった。それは、

“Go down the hall way as far as you can go and take a left. The elevator is on your left-hand side. You will never miss it.”
だったのだ。

ある程度以上所謂意訳をすれば訳せば「この廊下を突き当たりまで行って左に曲がって下さい。エレベータはそこの左側にあります。直ぐに解りますよ」となるだろう。ここで私にとって興味深かったことは「突き当たり」が”go straight on to the end of this corridor”ではなく、「行けるだけ行って」で”as far as you can go”だったことと、「左に曲がる」が”turn to the left”ではなく”take a left”だったことに加えて”You will never miss it.”で結ばれていたことに見える発想の違いだった。

即ち、私はごく普通に我々が思い浮かべるだろ英文では、

“Go straight on to the end of this corridor and turn to the left. The elevator is on the left side of the corridor. You will find the elevator for sure.”

辺りになるのではないかと考える。言うまでもないが、この表現でアメリカ人は間違いなく理解するだろうし、文法的にも何も全て正確で何ら問題がない。しかし、もし問題ありとするならば、我が同胞がこのような発想の違いが歴然とした表現に出会えば、瞬間的には「何のこと?」と迷ってしまうこともあるかと懸念する辺りか。私はこの”as far as”と似たような発想から来たと思う「~を端から端まで歩いた」を”walked the length of ~”と言われて当惑させられたことがあった。

ここで申し上げておきたいことは、勿論文法を正確に守ることは重要なことではあるが、英語には日本語とは明らかに発想が違う表現法があると承知して置いて頂きたいということだ。そして、「英会話」などをされる時にはに堂々と学校教育式表現を使われて結構だし、アメリカ式発想の表現を取り入れる場合であっても、常に文法が正確であることを心掛けて頂きたいということだ。