新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

アジア大会の女子サッカー

2014-09-30 07:21:43 | コラム
29日の対ベトナム戦には失望した:

勝って決勝戦に出るから良いと言えるが、あの出来には決して感心出来なかった。佐々木監督はW杯優勝メンバーから宮間、阪口、川澄だけを残して世代交替要員を使っているのだろうが、その連中の出来が全く芳しくなかった。今更ここでW杯組の3人の出来を論じても意味はないだろうが、川澄は監督の指示かそれとも何らかも故障があるのかと疑わせるほど「貫禄十分」のサッカーで、スピードを活かす突破は控えて専ら若手への難しいパスの供給役に徹していたはやや気懸かりだった。

ずばりと言えば昨日は「良くも悪くも是正すべき欠陥を露わにしてくれた勝利」だった。

昨日の出来の悪さは後述するが、佐々木監督は本当のフォーメーションは封印して世代交替要員に彼等の発想と力だけでやらせていたのかと本気で疑ってほど、世代交替は道は険しいと思わせられた未熟さを露呈していたのは非常に残念だった。

私のように昭和20年(1945年)から今は昔のWMフォーメーションの時代に蹴球を覚えた身には、現代の技術と体力が飛躍的に進歩した時代のサッカーには解らない点が多過ぎるのが残念だ。先ずは釜本が指摘していた持って上がって相手を抜くことをせず専らパスに依存することから。即ち、パスを貰った瞬間にディフェンスが前後左右から迫っていると知るや、フェイントをかけたトラッピンすることなどなく惜しげもなくパスを出してきた味方に「バックパス」で速攻を放棄する。

次は男子代表の得意技でもあり、Jリーグでも基本的な形であるセンターとサイドバックの間での何時果てるかも知れない横パスの往復にはウンザリだ。その交換の前に前にいる者が動いて裏を取ることもせずにボーッとして立っているだけで、相手ディフェンスに戻る時間の余裕を与えて守備体系を整えさていること。Jリーグやなでしこリーグの発展は斯道奨励の為には大変結構だが、妙に欧州や南米の連中の悪いところだけ真似るのは如何なものかと思って、昨日は歯痒い思いだった。

即ち、澤や近賀や鮫島に加えて大儀見がいれば、あのような消極的なパス交換はなかったと思うのだが。佐々木監督がお気付きでないとは思わないし、ザケローニ前監督ですら(失礼?)男子代表のあの手の消極性を叱責したとの報道があった気がする。要改善である。

シュートに持っていく技術と気力の不足を指摘したい。しかも昨日の試合では決定力さえあれば後5点くらいは取れていたと切歯扼腕(は大袈裟かな)させられたほど酷かった。具体的に氏名を指摘するのは避けるが、男子同様ここには問題が残ると見えたのは遺憾だった。

最後に世界的な形となっているトラッピングの変形を挙げたい。何度も言ってきたことで、後方ないしは横から来たパスを進行方向の内側の足でコントロールするのではなく、外側の足で一旦止める形にするのでそこで進行が止まってしまうのだ。何故あのような基本技を教えたのかが疑問だ。それだけではなく、後方から入った縦パスを何らフェイントをかけることなくコントロールしようとして出来ずに、背後から詰めてきた相手の好餌となってボールを奪い取られているのはおかしい。

しかも目立つ現象はパスに対して一歩でも寄せて早めにコントロールすることをしないので、屡々ディフェンダー(と言うのだそうだが)に背後から当たられて奪われることが多いのも問題だろう。欧州や南米の連中にもこの手の欠陥が見える。だからと言ってそのような動きを真似ることはないと思う。当たられ弱い欠陥があるのだから、素早い動きで相手よりも一歩でも速く球に寄せて貰いたい。

貶してばかりいたが、決定力不足のシュートに持っていく前にはどうやら流れの中から点を取る形が徐々に出来つつあったのは明るい現象だった。しかし、代表に選んで貰える段階まで来ていた者が、こんな事を褒められてどうすると言うのが、私の素直な見方である。世代交替要員は国内のリーグで使って貰える程度で我が事成れりとでも思っているのだったらとんでもない錯覚だ。

ベトナムはほとんどシュートも出来ずのゼロ敗したが、あの守りの際の寄せの速さや我が方の無駄は横パス交換を読み切ったかの如くに動いてきたのは、日本式消極戦法はその欠陥とともに、世界で読まれていることが良く解ったのも問題だろう。決勝戦での北朝鮮との試合での横や後ろのパス無しでの健闘を祈りたい。勝つことを期待している。