新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

TPPの日米間の交渉は1年間でどれほど進んだか

2015-04-24 16:13:50 | コラム
TPPの交渉は幾らかでも進んだのか:

以下は昨年に4月23日に私のブログに掲載したTPP交渉論です。そのまま現在の状況にも当てはまりそうなのが怖いところでしょう。ここに論じているのは日米間だけのことで、他にも10数ヶ国が加盟するはずです。さて、オバマさん、どうなさるのですか。中国は着々と?AIIBで対抗する心算のようですが。

>引用開始

アメリカ側だって結論を得ずにはいられまい:

甘利担当大臣は「TPPでは詰めに至るに未だ距離感を感じる」と語っていた。USTRにしたところで来日する大統領にむざむざと「纏めきれませんでした。悪いのは日本です」と報告できる立場にはないのではないだろうか。

報道からでは交渉の内容も進捗状況も知り得ないが、アメリカ側が私が常々指摘する"contingency plan"無しに交渉の場に臨んではいないかと推測する。そして、そのプランが譲歩なのか、妥協なのか、新たなる提案なのかも解る訳がない。だが、何らかの「腹案」くらいはあるだろう。

そこで、今まで"contingency plan"とは如何なるものかを細かく解説したことがないので、出来る限りのことを申し上げてみる。これを無理矢理に意訳すれば「玉砕を回避するための第二乃至は第三の矢」とでもなるだろうが、素直に言えば「安全弁」か「新提案の腹案」とでもなるだろうか。

これだけではハッキリとはしないだろうから、(アメリカン)フットボールの例を挙げて解説してみよう。フットボールは屡々「陣取りゲーム」に例えられるが、4回の攻撃権を与えられた側がその間に10ヤードボールの場所を前進させれば次の攻撃権を得られ続行できるのだ。この競技ではラグビーフットボールとは異なって「前方にパスを投げて良い」となっている。勿論、ボールを持って走るプレーもある。

このパスプレー(パス戦法)では司令塔と言われるクオーターバック(QB)がNo.1のレシーバー("intended receiver"等と言うようだ)に決めたターゲットを敵陣深くに走り込ませ、そこに向かって前にパスを投げるのである。勿論、守備側もそれに備えて1人ないしは2人にマークさせておく。そのマークが厳しい場合には、QBは予め決めてあったそれほど相手陣に深く入っていないNo.2のレシーバーに向かって投げようとする。

これが"contingency plan"である。フットボールではNo.2を"safety valve"=安全弁などと呼んでいるようだ。しかし、守備側も然る者で、ここもしっかりとマークしていることがある。そこで、QBが陣地をロスしない、言うなればそのための最後の手段が、QB自身がボールを持って少しでもヤードを獲得しようとして走る挙に出る。これは言うなれば第三の矢で"scramble"等と呼ばれている。

私はビジネスの世界での作戦というか"contingency"の文化をフットボールが採り入れているのだと思って見ている。即ち、アメリカのビジネスの世界では最初に打って出た作戦が失敗に終わって、そこでむざむざと玉砕することを避けるべく、代案乃至は安全弁的な作戦を準備して交渉の席に臨んで行くことが極めて多いと認識して置いて良いと思う。

私はそれ故にUSTRが"contingency plan"を持たず大統領の到着前に最終的会談の席につくものかなと思って眺めているのだが。
>引用終わる

西暦か元号か

2015-04-24 07:50:03 | コラム
西暦共通化の愚かさ:

数日前に産経で加地伸行氏が「西暦共通化の愚かさ」と題して論じておられました。お説誠にご尤もとは思いますが、長年西暦しか使うことがないアメリカの会社におりますと、これでしか物事というか出来事を記憶する乃至は記憶する手段がないのです。報告書等の一切の書類はこれしか記入出来ません。私にはその影響が未だに残っており、官庁や銀行等での書類への年月の記入は、未だに苦手になっております。

転身した当初は西暦に馴れず戸惑うことが多かったのですが、時が経つにつれて昭和に25を加えれば良いと解ってきて暗算でもことが足りるようになりました。また平成になった後は、88を足すか西暦に12を足すだけ何とかなるようにはなりましたが、高齢化が進んでしまった現在では、元号は何となく不便だと未だに感じております。

加地氏には「愚かさ」等と決めつけられずに、こういう外国の会社というような分野にも私のような邦人がいることだし、今後も減ることはないだろうという事実を、少しご認識願いたいものだと思うのですが。