何故中国の人口1人当たりの名目消費量が低いのだろう:
私はもう何年もこのRISIが公表する統計を見るのを楽しみにしている。最近は特に中国の消費量が常に低く、上位30ヶ国のリストにかすりもしない点に大いに興味を感じている。RISIは17年度の中国の人口を13億7,930万人として計算しているが、簡単に割り切れば「その大多数の生活水準が未だに先進工業国のそれには遙かに及ばないことを示している」という月並みなことが言えるかと思う。だが、10年ほど前に3度も行った上海の水準などは先進工業国どころではないと既に感じさせてくれていた。
その中国が世界第1位の経済大国であり、紙・板紙の生産量も消費量も往年の1位のアメリカを遙かに凌駕する1億トン台に達し、17年度の全世界紙・板紙の生産量 4億9,687万トンの27.6%を占めていたという凄まじさである。では、世界第2位の生産国・アメリカの1人辺りの消費量は如何なる状態かと見れば、215.5 kgと前年比△1.4%で世界第4位だった。生産量第3位の我が国は208.9 kgで0.1%のプラス成長ではあったが、世界第7位だったという低調?振り。
中国はRISIの発表では17年度は82 kgと、16年度には77 kgだったので6.5%の成長ではあった。因みに、15年度は74 kg。これは全生産量の伸びが2.1%だったことと比較すれば、個人の消費量は大いに成長していたことを示していると思う。それは何故かと推理してみれば、古くから指摘されてきた「中国の統計は仮令公式なものでも信じきれない面がある」事もあるだろう。だが、私はそれよりも「中国ではICT化というかペーパーレス化が先進工業国よりもその進展の速度が速く、印刷用紙や情報用紙の消費が余り進んでないないのではないか」と考えて良いのではないかと思っている。
今や世界各国ではICT化というかデイジタル化が急速に進行し、印刷(紙)媒体への需要が低迷しているのは間違いないところである。RISIの統計でも1人当たりの名目消費量の上位10ヶ国中の半数の5ヶ国では前年比でマイナス成長となっていた。30位までで成長を見せた国でも中国のような6.5%という高い成長率を見せていた国がなかった。ということは、18年辺りには中国では未だ高度成長が続いていたと推理できる気がする。それに、我が国もアメリカでもマイナス成長が続くのではないかとも言えると思う。
それにつけても恐ろしいことは、中国で生活水準も上がりデイジタル化が進んだとすると、13億人もの人口を抱えていれば、もしも1人当たりの名目消費量が我が国の17年度と同水準の200 kgに達したと仮定すると、それを賄う生産量は2億6,000万トンという途方もない量に達するのだ。私には最早現今の世界の原料供給能力や紙・板紙の生産能力が如何ほどか知りようがないが、それを賄うだけに膨大な原料を何処の誰が供給可能かと考えて見ると、空恐ろしいような気もしてくる。
しかも、RISIの発表では最早紙・板紙の生産能力では北アメリカはその中心勢力ではなくなりつつあると指摘されていたし、今後とも成長を続け需要が増加していくのはBRICSのような諸国になって行くのではないかと考えられる。例えば、今や世界的な輸出国となったインドネシアなどは生産量では世界第5位だったが、消費量全体では12位で、2億6,000万人の人口では1人当たりの名目消費量では30位にはとても入らないで、中国の半分以下の31 kg辺りなのだ。私は世界の紙・板紙の需給の未来は恐ろしいことになりはしないかと見ているのだ。
参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE 19年1月28日号
私はもう何年もこのRISIが公表する統計を見るのを楽しみにしている。最近は特に中国の消費量が常に低く、上位30ヶ国のリストにかすりもしない点に大いに興味を感じている。RISIは17年度の中国の人口を13億7,930万人として計算しているが、簡単に割り切れば「その大多数の生活水準が未だに先進工業国のそれには遙かに及ばないことを示している」という月並みなことが言えるかと思う。だが、10年ほど前に3度も行った上海の水準などは先進工業国どころではないと既に感じさせてくれていた。
その中国が世界第1位の経済大国であり、紙・板紙の生産量も消費量も往年の1位のアメリカを遙かに凌駕する1億トン台に達し、17年度の全世界紙・板紙の生産量 4億9,687万トンの27.6%を占めていたという凄まじさである。では、世界第2位の生産国・アメリカの1人辺りの消費量は如何なる状態かと見れば、215.5 kgと前年比△1.4%で世界第4位だった。生産量第3位の我が国は208.9 kgで0.1%のプラス成長ではあったが、世界第7位だったという低調?振り。
中国はRISIの発表では17年度は82 kgと、16年度には77 kgだったので6.5%の成長ではあった。因みに、15年度は74 kg。これは全生産量の伸びが2.1%だったことと比較すれば、個人の消費量は大いに成長していたことを示していると思う。それは何故かと推理してみれば、古くから指摘されてきた「中国の統計は仮令公式なものでも信じきれない面がある」事もあるだろう。だが、私はそれよりも「中国ではICT化というかペーパーレス化が先進工業国よりもその進展の速度が速く、印刷用紙や情報用紙の消費が余り進んでないないのではないか」と考えて良いのではないかと思っている。
今や世界各国ではICT化というかデイジタル化が急速に進行し、印刷(紙)媒体への需要が低迷しているのは間違いないところである。RISIの統計でも1人当たりの名目消費量の上位10ヶ国中の半数の5ヶ国では前年比でマイナス成長となっていた。30位までで成長を見せた国でも中国のような6.5%という高い成長率を見せていた国がなかった。ということは、18年辺りには中国では未だ高度成長が続いていたと推理できる気がする。それに、我が国もアメリカでもマイナス成長が続くのではないかとも言えると思う。
それにつけても恐ろしいことは、中国で生活水準も上がりデイジタル化が進んだとすると、13億人もの人口を抱えていれば、もしも1人当たりの名目消費量が我が国の17年度と同水準の200 kgに達したと仮定すると、それを賄う生産量は2億6,000万トンという途方もない量に達するのだ。私には最早現今の世界の原料供給能力や紙・板紙の生産能力が如何ほどか知りようがないが、それを賄うだけに膨大な原料を何処の誰が供給可能かと考えて見ると、空恐ろしいような気もしてくる。
しかも、RISIの発表では最早紙・板紙の生産能力では北アメリカはその中心勢力ではなくなりつつあると指摘されていたし、今後とも成長を続け需要が増加していくのはBRICSのような諸国になって行くのではないかと考えられる。例えば、今や世界的な輸出国となったインドネシアなどは生産量では世界第5位だったが、消費量全体では12位で、2億6,000万人の人口では1人当たりの名目消費量では30位にはとても入らないで、中国の半分以下の31 kg辺りなのだ。私は世界の紙・板紙の需給の未来は恐ろしいことになりはしないかと見ているのだ。
参考資料:紙業タイムス社刊 FUTURE 19年1月28日号