新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

トランプ大統領はどの問題の処理を最優先されるのか

2020-01-05 10:18:52 | コラム
トランプ大統領は再選されることが最優先なのだろうが:

トランプ大統領は私が見るだけでも、再選されることを最優先の課題にしておられるのだろうと思わせられる。だが、今回のイランの革命防衛隊ソレイマニ司令官殺害を実行されたに及んで、それでなくとも難しい局面にある対イラン問題の処理を、更に深刻化されたように思えてならない。多くのアメリカ問題専門家の方々はトランプ大統領が次々と打って行かれる手は、全て再選に通じていると言われるが、対イラン問題を難局に持ち込むことが、あの非知識階級が多数を占める支持者たちが諸手を上げて賛同し支持するのだろうかと考えてしまう。


中近東という厄介なところの事情については、私は嘗てこういう経験をした。それは湾岸戦争の際に我が国でマスメディアが挙って悪者にしたクエートは悪くなく、善玉とされたイラクが悪玉だと中近東の某国に駐在の経験がある商社マンに教えられた。彼は「これがアラブ圏内での通説である」と解説してくれた。別の駐在経験者は中近東というかイスラム教圏内の実情の解説を求めた私に「そういう初歩的な質問をするのでは世界史をまともに勉強していないようだから理解できる素地がないと見た。貴殿に説明しても無駄だ」と突き放された。

私は恥じ入ったので、辞を低くして解説を願って「彼らは何千年も前に不当に取られた土地を取り返す為には、これから先に何千年かけることも厭わないと言っているのであって、その事情を弁えずに、軽々しく中東の和平などと言って介入するのは無駄」と聞かされた。お陰様で彼の地に駐在した人たちが、どのように中近東の事情を見ているかが勉強できた。先ほども何処かの局で専門家の一人が「もしかして、トランプ大統領は中近東における事態を解決してみせるとの自信があって出て行かれたのでは」と指摘していたのが興味深かった。

トランプ大統領が積極的に打って出られた大きな政策を考えて見れば、対イラン問題の他には順序不同で「対中国の貿易問題を当面の課題とする案件」、「DPRKの金正恩委員長との対話と非核化問題の処理」、「下院で進行中の弾劾裁判問題」と、何れを最優先すべきかは簡単には決めきれないほどの難問題が並んでいる。専門家の中には「最早対DPRK問題の優先順位は下がった」との説を唱えた人もいた。私にも何となくそういう気配は感じられる。

私は永年アメリカの会社の一員として内側からアメリカとアメリカ人を見てきた経験からすれば、彼らの二進法的思考体系には要注意だと思っている。一説によればと言うか報道によれば「アメリカにとってソレイマニ司令官の利用価値は終わったので捨てた」のだそうである。嘗ては、反アメリカ化の急先鋒だったサウジ出身のウサーマビンラデインも以前はアメリカが利用していた者だが、その効用も価値もなくなったので云々」とも聞いたことがある。要するに「利用してきた者を切るか切らないか」を一瞬にして決断するのがアメリカ式の物の考え方なのだ。

余計な心配かも知れないが、私は安倍総理はそのアメリカ式価値判断の基準点を十分ご承知の上で、トランプ大統領との重要な関係を確立されたいると信じている。私が密かに個人的にとお断りした上で言うと「トランプ大統領は目の前に迫りつつある再選の為には、如何なる手をも敢えて打ってこられるだろうか」という些か回りくどいような表現で、トランプ大統領に対する懸念を表明して終わることにしたい。私の懸念をどのようにお読み願えるだろうか。

一つ打ち明け話をすれば、当方が1985年に社用でシアトル市外を移動中に(私は運転免許と取ったことはない)貰い事故に遭い重症を負った。そこからの復帰に時間がかかっている時に事業部の命運がかかった大事故が生じた。私は無理をして出勤して状態をこじらせて入退院を繰り返した。その際に私を股肱の臣として重用していた副社長兼事業部長は「早期に復帰できないのなら解雇して後任を雇うか」と言い出したそうだ。これが二進法的考え方の極致である。