新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

1月21日 その2 例によってマスコミ批判

2020-01-21 16:25:21 | コラム
「厚底シューズ」と呼ぶのを止めろ:

彼等がNikeの新規開発の競走用シューズ“Vapor fly”(ヴェイパーフライ)を何時まで経っても「厚底シューズ」と呼ぶのはおかしいと思う。第一、彼等自身が既に「あの靴の底にはカーボンファイバーのプレートが貼り付けられていてバネの役をしている」と報じているのだ。即ち、「底が厚いことが、早く走れるようになる要素ではない」と解説していたのだ。それでもなお「厚底シューズ」と呼び続けることは自己矛盾ではないのかと非難したい。私は視聴者乃至は読者を愚弄しているのではないかとすら言いたいのだ。仮令そうでなくとも、少なくとも混乱させているのだ。


事の序でに彼らの視聴者を惑わす報道の仕方の例を挙げておこう。それは、あの我がご贔屓の日本大学フェニックスの対関西学院ファイターズの春の定期戦で、宮川泰介が犯した反則のことを「悪質タックル」と呼び続けた事だ。フットボールのルールで考えれば、あのプレーはタックルと言うよりも「レイトヒット」という、そのセット内でプレーが終了した後に相手の選手、例えばQBに当たっていく行為を指している。即ち、言うなれば「遅すぎたQBサック」であって「アンスポーツマンライクコンダクト」という反則でもあるのだ。私は「タックル」だとは思わない。

ではあっても、マスコミ報道は徹頭徹尾「悪質タックル」であって、知らない方が聞けば「日本大学フェニックスは悪質なフットボールのテイームなのか」と思い込まされるだろう。ここは本気でフェニックスを擁護するが、この運動部は恐らく関東大学リーグ一部リーグの中で最も反則が少ない綺麗なフットボールをやっていたのである。それにも拘わらず朝から晩まで「悪質タックル」だと報道し続けて、挙げ句の果てに田中理事長悪人説にまで持って行ってしまった。公平に見て「おかしな事では」と言いたかった。何故、正しいルールの解説を避けたのかと彼等に問いかけたい。

些か八つ当たり的と言われかねない論じ方をしたが、私が言いたいことは「マスコミ報道は屡々不正確で、事の次第を正しく伝えておらず、ただひたすら事を面白おかしくしているだけだ」という点である。話をヴェイパーフライに戻せば、「底が厚い靴だと早く走れて新記録が出る訳ではないのですと正確に報道するのが、彼らの務めではないのか」と批判しているのだ。あるフットボール系の競技の専門家に聞いたところ「あの靴を素人が履いても履きこなすことは難しく、前につんのめるのではないか」だった。そういう解説もするべきではないのか。


イギリス人が最も嫌悪したこと

2020-01-21 08:39:25 | コラム
ヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱に思う:

1969年のことだったと記憶する。未だアメリカの会社に移籍する前のことだったが、当時知り合ったばかりの(業界の第有名人だった)UKの大手製紙会社の日本代表者だった日系カナダ人のGN氏のたっての依頼で、ロンドン郊外から日本市場参入を目指して初来日された、誇り高き英連合王国の人だった営業部長氏のお手伝いをしたことがあった。念の為にお断りしておけば、私はその頃は国内市場担当の営業マンだった。

その営業部長氏と放課後に語り合った中で最も印象深かった怒りの表現が「なるほどUKの人とはこういう物の見方をするのか」と思わせられたのだった。それは「日本にやってきた何が最も不愉快だったかと言えば『アメリカ人に間違えられることだ』と語気鋭く感情を露わにして言ったこと」だった。イギリス人慣れしていなかった私は正直に言って「そこまで仰るのか」と驚いた。UK人がアメリカ人を嫌っているとか軽蔑的だとは、薄ボンヤリと聞いたことがある程度の先入観だったので、衝撃的だった。その後の経験でも、これはUKでは一般的な現象だと思わせられた。

以前にも繰り返し述べたが、私は英語の発音を子供の頃から教えられたアメリカ式のアクセントには執着せず、寧ろ我々には発音しやすいクイーンズ式との中間を目指すようにしてきた。それはクイーンズ式にはアメリカ式の舌を巻くような“r”の発音がなく、我々には真似しやすいからである。だが、基本的にはアメリカン・イングリッシュ寄りだと思っていた。ところがである、UK系のオーストラリアやアメリカを嫌っているカナダでは、何度か“You speak beautiful English.”と褒めて頂けるのだった。少し困惑した。

そこで、その褒めて下さる訳を尋ねてみると「貴方の発音はアメリカン・イングリッシュではないからだ」と言われるのだ。念の為に申し上げておくとこれは自慢話ではなく「それほど彼等はアメリカを嫌っているのだ」と言いたくて例に挙げたのである。オーストラリアではそう言われても普通だと感じるが、カナダでは東部のトロントやサスカチワン州でも、西海岸のBC州のヴァンクーヴァーでも同様に嫌アメリカ感情を露骨に表された。要するに英連合王国系での対アメリカの感情の具合を言いたかったのだ。

ここから先はなるべく穏便に表現せねばなるまいが、ヘンリー王子はある程度感情的に離脱の弁を述べておられたと思うが、お妃様は何と言ってもアメリカ人なのである。エリザベス女王も穏便な表現を用いられて気を遣っておられたのだなと思えば思えないこともない。事実、既に女王のメーガン妃に対するお考えを忖度したと思える極端なことをいっていた報道もあった。この辺までで十分だろう。

前出の営業部長氏は私がある場面で「イングランドからお見えになった方」と紹介したのを聞いておられて、真っ向から否定されて「イングランドは英連合王国の一つに過ぎない。私はその連合王国から来たのだから今後はUKと言ってくれ」と厳しい顔で注文を付けられた。言わせて貰えば、私は彼の部下でも何でもない善意でお手伝いしていた日本の会社の社員だ。それでも誇り高きUKの方は注文を付けるのだ。これが“United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland”なのである。言うなれば、ヘンリー王子のお妃の選択の問題かなと思った所以だ。

念の為付記しておくと「私の発音がクイーンズ式だと褒められた」とアメリカの同僚たちに言ってみると、皆が「何処が?君の発音はアメリカ式以外の何物でもない」と言われたのだった。「所変われば品変わる」か。