新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

4月29日 その2 日本高野連とオリンピック

2020-04-29 15:05:32 | コラム
高野連は夏の甲子園の野球を無観客でと検討:

この競技団体の在り方は中々一筋縄では対処できない独得の個性があると、かねがね聞いている。だが、今回は報道によれば春の選抜は中止としたが、夏の場合は無観客での開催を検討中だという。この「無観客開催」は既に一種の免罪符のような形で普及する傾向が見えていたし、現に興行の組織体である相撲協会はその免罪符を行使したようだった。中にはK-1のように観客を入れるところまで押し切った組織もあった。

昨日、日本医師会の横倉会長は「オリンピックは仮令来年に延期してあっても、ワクチンが実用化されない限り開催されるかどうかは見通せない」と穏やかにに控え目に外国人記者クラブで語っておられた。医師会長の新型コロナウイルスが何時になれば制圧できるかの見通しが、そこまでに至っている状況下でも、高野連は免罪符さえ整っていればと考えているのかと、私は「如何にもこの団体らしいな」とあらためて痛感した次第だ。

我が国では「夏の甲子園野球」は勿論戦前からの長い歴史もあるが、戦後は復興しつつある我が国での絶好の楽しみと、清く正しく美しい高校球児たちの澄んだ瞳を輝かせて、日頃の血と汗の練習の成果を発揮する場面を、手に汗握って中継放送を夢中で見たし、郷土の誉れの活躍振りに一喜一憂してきたのだった。それは我が国独得の「全国大会」という文化を象徴しているかの如き存在になっていた。私の持論では「我が国における野球界では高校野球がその頂点に位し、次に嘗ては職業野球と蔑まれたNPBが続き、大学と社会人が続いている」となっている。

その頂点にある高校野球のそのまた頂点にある夏の甲子園野球までも中止しようという所までには、高野連と雖も唯々諾々とは踏み切れないのだろうとは、容易に想像できる。だが、現実は東京オリンピックでさえ無観客開催の免罪符をも行使することなく、21年の夏まで延期とIOCも組織委員会も踏み切っていた。そこに日本医師会長が来年の開催の時期すら疑念を公開の席で表明されたのだった。これを高野連の会長以下幹部はどのように受けとめたのかには、私は大いなる興味を持っている。彼等は「無観客開催で」を強行する気だったのではと疑っている。

残すは歴史ある主催者の朝日新聞社が、如何なる判断を下すのかにかかっているのではないか。彼等は現在の国家の危機を招いている新型コロナウイルス制圧対策や経済政策に腐心しておられる安倍政権に対してはあれほどの批判を繰り返し何でも反対するのだが、オリンピックですら延期を受け入れた組織委員会や日本医師会の会長に対しても反抗的に出ていこうとして、無観客開催に突き進むのではと、私は疑っている。背景には「高校球児が可哀想だと言うだろう世論」辺りを背景にするのではないか。私は高野連にどうせよなどと言う気はない。黙って決定を待っているだけだ。

トランプ大統領論

2020-04-29 09:32:37 | コラム
28日のPrime Newsに思う:

本来の見出しは「死者5万人超えのトランプ大統領の発言の舞台裏(以下略)」だった。私にとって非常に興味深かったのは、言わばトランプ大統領の政策等をアメリカの現実を具にワシントンDC他で取材されて肯定する古森義久氏(産経新聞)と、アメリカの知識階級的にトランプ大統領という人柄を嫌っておられる、言うなれば否定派の宮家氏意見交換と議論の場であった点。私は永年の経験で民主党政権を嫌悪する側にある。だからと言ってトランプ大統領を嫌っている階層の会社にいたので、彼に対する評価は任期が終わるまでは避けるという中途半端な姿勢を敢えて採っている。

正直に言えば、私が在籍した間に上場企業の会社の内外で交流してきた階層の人たちの中には、堂々と公開の場乃至はビジネスの席上で躊躇せずに“swearword”を使うような人物には出会わなかった。その語方が如何に大統領の支持派向けで解りやすい言葉を用いておられたにもせよ、信じられないことだ。何度か反省をもこめて紹介したが、私がswearwordを副社長との打ち合わせの場で好い気になって使った際に「苟も我が社の社員がこの場で使うべき言葉ではない。今度二度と私の面前では使うな」と大叱責された性質の語法だ。

トランプ大統領の政治手法は、私がここにあらためて古森氏が主張し続けてきた「(オバマ政権下で低落した)株価の上昇、“job”と敢えて英語のままにするのは、これを「雇用」と訳すマスコミの誤りを指摘してきたからで、職業の機会を増やすこと、再選を目指して「アメリカを再び偉大に」策を具体的に実行されてきたことを評価しておられるのだ。その結果として、当初は明らかに過小評価した新型コロナウイルス制圧対策で効果を上げて、世論調査が就任以来最高の49%に達した点も挙げておられた。

一方の宮家氏はオバマ政権の実態は「大統領の政策の問題ではなく、彼の下に位置する副大統領以下のテイームが実に良く健闘しておられるので、トランプ大統領はその上に君臨しておられる。それは演説ではプロンプターを読んでいるのか、事前に十分に記憶して語っておられる間は良いが、質疑応答の場になると先日のように突如として“消毒液を注射すれば”という類いの発言が飛び出してしまうという側近でも制御不能な場合もある」と極めて控え目に批判論を展開されていた。私は宮家氏が「こう言うと古森さんに叱られるかも」と何度か注釈を付けておられたのが興味深かった。

私には今日までのトランプ政治は「アメリカファースト」乃至は批判派が指摘する「自分ファースト」の政策が功を奏し、株価の上昇を歓迎する富有層というかリタイアしたビジネスマン等の嫌トランプ派であるような層の支持まで広げつつあるのと同時に、そもそもは民主党支持派であった労働者階級やプーアホワイトやマイノリティーズ等を彼の陣営に誘導されたという成功を収めていると見ている。確かにメキシコ国境に壁を建設して不法移民を排除するというような政策は、ヒスパニックの不法入国者に職を奪われてきた彼の支持層には受けると思っていた。

私は宮家氏がトランプ大統領を嫌われて批判する論文を、言わば繰り返して産経新聞等に寄稿しておられたので、その言わんとされることは解る。永年共和党支持の会社に在籍し、CEOだったジョージ・ウエアーハウザーがブッシュ大統領(父)とイエール大学の同級生で親友の間柄だったのだから、元の複数の上司にも同僚にも「俺はトランプ大統領の人柄が好きだ」という人などは皆無だ。最も穏やかな方でもリタイア後に大学院大学教授になった知性派が“I’m not a great big fan of Trump.”と言われた辺りだ。極端な例には毎度引用しているL氏がある。

最近は私は年齢相応に老化が進み、昨夜のような静かに見えない(聞こえない?)ところで激論の火花が散ってもおかしくないような、滅多に聞けない貴重な意見交換でも、集中力を維持して聞き続けられていなかった。言わば「眠さに堪える」のが精一杯だった。その眠さの中で聞けた点では何と言っても「対中国問題」は重要だったと思う。記憶にあるのは中国はWHOだけではなく、UNそのものを牛耳ろうとしているとしか思えない点を語っておられた事が印象深かった。要するに「アメリカが分担金の出資拒否しただけでは中国の悪影響は阻止できない」のだという点だ。

アメリかでは既に何州かで中国に対する新型コロナウイルスの蔓延によって生じた損害賠償を求める訴訟が起こされている。古森氏はその成り行きに注目すると言われた。ところが、我が国には恰もアメリカにおけるニューヨークタイムス、ワシントンポスト、CNNのようなあからさまアンタイ・トランプのメデイアがあるのと同様に、朝日と毎日の両新聞は「トランプ大統領のWHO非難は自らの当初のウイルス軽視の責任回避である」と言い出す始末だ。ここで英語の講釈だが、アメリカ式では“anti”と書けばほぼ「アンタイ」という発音になるので要注意。

私が何とか聞けた範囲内での感想を言えば、トランプ大統領が好きか嫌いか、支持するかしないかも要点だが、目下のこの全世界的な重大な危機である新型コロナウイルスを制圧(何時達成するかなどは予測する気にもなれないが)出来た後の世界の情勢を考えるときに、圧倒的多数の国が言わば鎖国的な状態にあり、一時マスコミが持て囃した「グローバリゼーション」などは何処か遙か彼方に霞んでしまった状況だ。その際に事実を隠蔽し虚偽の情報を流し続けた中国が最速で制圧したと言って、習近平が目指しているような世界を我が物にと本格的に乗り出しそうな危険を感じた。

別な角度で見れば「今や我が国が多くの業界で深刻な苦難に襲われている最終製品や部品や、マスクその他の衛生材料の供給源の中国依存態勢を何処まで改善が可能か」という問題がある。現に中国はアメリカに対して「ここで生産している主要な医薬品の供給を止めるぞ」という脅迫めいたことを言っていた。我が国に対して何処までやる気か知らないが、市中にはに箱に日本語が印刷されたマスクが出回っているが、正当な販路のはずの薬局やドラッグストアには入荷無しの貼り紙が目立つ。受注契約も何も無視して、高く買う者には輸出するという阿漕な商売をするようなのだ。

何れにせよ、昨夜両氏が指摘されたように「我が国は飽くまでもアメリカ側の一員」なのであるから、間違っても不当な野望に満ち満ちている習近平に一寸でも靡いてはならないのだ。万が一にも靡いた場合の結果は、中国がこれまでにチベットや新疆ウイグルその他の周辺に対して接してきた手法を見れば多言を要すまい。台湾の徹底した手法を見るのも大いに参考になるだろう。残された対策の一つは、中国共産党が理想のような偏向した新聞や政党を如何に改心させるか、排除するかでないか。