新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

選抜高校野球大会決勝戦を観戦して

2022-04-01 09:16:09 | コラム
マスコミは好い加減に高校野球礼賛を考え直す必要がある:

三寒四温という表現があるが、約束があった去る29日も本日も寒い日なので、着るものの選択に悩まされる。本日は13度という「四月馬鹿」のような予報だが、まさか4月にもなってダウンジャケットかと考え込まされている。

昨31日は高野連とマスコミはもうそろそろ未成年である高校生の体力を本気になって心配すべきだろうと思っていた。具体的には京都国際高校に代わっての補欠出場でありながら、決勝戦まで来た近江高校の山田投手のことだ。前日の準決勝では延長戦で170球も投げただけではなく、それまでの4試合だったかを全部一人で投げ終えてきたという監督の暴挙を経験してきた。片や大阪桐蔭高校は不戦勝があって3試合しかしておらず、豊富な投手陣を酷使してきていない。

近江の劣勢は明らかだったし、あの監督が「母校」と「郷党」の名誉のために、山田君に連投を強いるかどうかだけに興味があった。思うに、死球で足を負傷までしている主将の山田君に「投げるか」と尋ねれば「投げます」と答えるに決まっている。そう読めていたから、最低でも10点以上取って大阪桐蔭高校の勝利と決めつけたので、観戦はしないでいた。監督は「山田に投げさせたのは間違いだった」と振り返ったそうだが、後の祭りだった。

何試合か見た今回の大会でも、完投しないでも100球以上も投げた投手は、当たり前のことにように何名もいた。高野連だったかの規定は1週間に500球までとなっているそうだが、出鱈目だろうと思う。以前に無意味な遠吠えだと思って述べておいたことは「何が何でも連投は禁止。ベンチには25名は入れる。各校とも投手を3名以上準備して100球に達した時点で交替。これに順応できない野球部はそれまでのことで、地方予選で敗退するのは止むを得ない。勝利優先ではなく未成年の体力と筋力を損なわないよう考慮すべき」だった。こんな事を高野連も朝日と毎日新聞が実施する訳がないと承知で言っていた。

高校野球の指導者の中には、大船渡高校の国保監督のように現在はロッテにいる佐々木朗希君を県の決勝戦での連投をさせなかった見識を持っておられる方もいる。それと比べれば「近江高校の監督さんは」ということだ。我が国の高校生たちとは比較にならない体力と筋力を備え、鍛えられ方をしてきたアメリカのMLBでは100球辺りが交代の目安となっているようだし、NPBでも同様になっている。それでも、高校野球ではマスコミが褒め称えなくなったとは申せ、100数十球は日常茶飯事である。おかしいと思わない方がおかしいと思う。

昨日はふと気が付いてチャンネルを合わせてみた。近江高校の投手は既に山田君ではなく得点は6対0だった。未だ軽症の部類だと思った。そこから先は近江高校にとっては悲惨な結果になってしまったのは、遺憾ながら当然すぎる結末だった。敢えて言うが「毎日新聞、高野連、近江高校の監督の責任が問われて然るべき」ではないのか。

大阪桐蔭高校の出来映えは評価して良いと思う。見ている方としては、何か不思議な光景を見ているかのように感じていた。フリーバッテイング(これはカタカナ語の野球用語で、アメリカではbatting practiceというようだ)のようにホームランを打ちまくっていた。私は準決勝であれほど打ちまくれば、通常は次の試合で打たなくなるのが普通だと見ていたが、あの優勝校はその通例を見事に打ち砕いてくれた。だが、近江高校監督の投手起用の誤りを見れば「天晴れ」を挙げる訳にも行くまいと思う。だが、最後まで手抜きをせずに打ち続けた大阪桐蔭高校の姿勢は褒めて良いと思う。

もう一つ、批判しておきたいことがある。それは「雨天等の為で日程が詰まったので、準決勝戦の後に休養日を置かなかった」という大会の運営の仕方だ。「高校生の体力(と将来)を何と心得ているのか」という点だ。未だに地方予選が20名で、甲子園では18名に制限しているのも不思議を通り越して不可解だ。経済的な負担を高校生の体力よりも優先するとは何事だろうか。コーチをベンチに入れさせないもの奇怪な考え方だと思う。監督は全知全能である訳がないのだ。

批判してばかりいるのも気が引けるので、マスコミにも高校野球の在り方に少しでも建設的な意見を述べよと要求したい。また、大阪桐蔭高校が夏になっても打つ力を維持して制覇するかどうかに興味はあるし、近江高校が夏までには第2か第3の投手を養成して優勝に挑戦することを期待して終わる。