新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

秋元司議員の逮捕に思う

2019-12-26 13:17:11 | コラム
野党はその逮捕を聞いてIR法案を葬ろうと言い出した:

私にはこの逮捕の一件で初めてその存在を知った秋元司議員を論じようとは考えていない。だが、我が国にIRなるものが果たして馴染むのかという方が気になるのだ。ましてや立憲民主党の安住某がこの機会に廃案に持ち込もうと得々として語っていた方が、その何でも機会があれば安倍内閣に反対という間抜け振りの方が面白かった。話の筋が違うと思う。仮に秋本議員が収賄していたとしても、そのこととIR法案が悪いか否かとは別のことではないのか。


私はかのカジノの聖地・ラスベガスには1994年2月に言わばアルバイトで、2005年11月にパック旅行で行ったことがある。そこでそれなりに如何なる場所であるかは解っている。念の為にお断りしておけば、在職中にはついぞこういう所に出張する機会には恵まれなかった。ニュージャージー州アトランテイック・シテイには1976年に出張で訪れる機会があったが、その頃にはここにカジノが設けられるという程度のことだった。

そこでラスベガスである。あの場所をカジノ(casino)だけで成り立っていると思われたら誤りであろう。2度の訪問の間には11年の開きがあるが、2005年に2泊したラスベガスは大きく変貌して、平面的に大成長していたのには驚かされた。ストリップ(Strip)と称されている言わばメインストリートの両側にも、ラスベガス空港の近くにも確かにカジノ付きのホテルは増えていた。だが、その目抜き通りには我が国で言うブランドショップが建ち並び、ショッピングセンターも出来ていたのだった。明らかにカジノだけが売りではないという印象だった。

この時はパック旅行だったので、現地でついたガイドは日本人で話が解りやすかった。彼が語ったことは「今や年間3,000万人もの人々が世界から訪れてくる。だが、そのうちの精々10%がカジノを目当てにしているだけだ。残りの圧倒的大多数は買い物とグランドキャニオン観光の中継基地としてやって来ているのだ」だった。現に我々お上りさんの団体はLAX(ロスアンジェルス空港)から一気にラスベガスを抜けて直ぐ近くのホテルに泊まり、翌朝のご来光に備えたのだった。そしてグランドキャニオン観光を終えてからラスベガスに宿泊すべく下山した。

我々夫婦は勿論折角泊まったホテルのカジノには目もくれずに、自由時間を活かして観光と僅かばかりの買い物を楽しんだのだった。94年の訪問の時は請け負った仕事でカジノで遊ぶどころではなかった。だが、アルバイト先の若き社長がカードのゲームでしてやられてい行く場面をゆっくりと観察させて貰った。これは大変勉強になって、如何にカジノでは損をするようになっているかが解ったのだった。元々賭け事には弱い私には不向きだと確認できたという意味だ。

ラスベガスにはストリップを中心に、高価なデザイナーブランドの品物を我が国で買うよりも経済的な値段で買える店が驚くほど数多くある。だが、多くの観光と買い物の客を惹き付けているのは繁華街と、言わば郊外にあるアウトレットモールなのである。郊外の方が我が国のアウトレットモールに近くデザイナーブランド店が多いが、もう一方はアメリカンブランドの宣伝の為の店が多いという印象だった。郊外の方は市内を縦横に張り巡らされているバス路線を上手く乗り継げば当時は4ドルで行けたし、6ドルの一日乗車券を買えば、より経済的に見に行けたのだった。

ここまでで何を言いたかったかと言えば、そもそも砂漠の中に設けられているラスベガスは、限りなく広い土地を活かしてカジノ付きのホテルと言うべきか、カジノに宿泊設備をつけたのか知らないが、土地の広さが有効活用されているのだと思った。特に、アウトレットモールにはその土地広さが活かされているのだ。勿論繁華街には各種のレストランがあって、日本食の「浜田」(といったか)も繁盛していた。その土地の広さがカジノに加えて買い物と食事を楽しませるように変貌していったと私は見た。

その土地の広さは我が国では如何なる事をしても真似が出来ないのだと思う。例えば横浜市が計画しているあの山下公園付近では、一体何軒のカジノが建設できるのか。仮令複数出来たとしても、その敷地内に魅力ある買い物街が敷設できるのか。カジノで勝った人たちが敷地内のホテルでは満足できずに中華街や伊勢崎町や元町に出て買い物をされたら何にもならないのではないだろか。更には中華街から地下鉄に乗れば原宿でも渋谷でも行けてしまうのだ。言い方を変えれば「買い物の魅力がないカジノ中心の街作りをして何になるのか」という疑問である。

要するに、私は空いている膨大な面積がある土地を有効活用しようというのであれば、意味があるかなと思っている。宿泊設備にしたところで、ラスベガスのホテルはそのブランドの割りには低価格で泊めてくれるのは「その分をカジノで使って下さい」という意志の表現だと聞いた。その為か、客室内はぶっきらぼうで、所謂アメニテイーグッズなどは十分に備えられていなかった。しかし、94年に滞在したMirage(蜃気楼、幻想、幻覚の意味)という名称も面白かったが、真夜中に開催されたジークフリートのマジックショーなどは素晴らしい出し物で魅了された、我が国でそういうアトラクションまで出せるのだろうか。

IR法案を出した方たちは、こういうラスベガスのような所を何処まで視察し、学んでこられたのだろうか。誘致しようという都市は(空いている)「土地の広さ」という武器を持っているのかなとかなと考えてしまう。例えば、横浜がどうしても誘致するというのであれば、副都心線の一日乗車券でも用意するか、江ノ島や鎌倉の観光コースでも考えないと、何処にも多額の金が落ちないことになりはしないか。他にも言いたくもないが、外国人を呼びたいのであれば「言葉の問題」も出てくるのではないのか。

何れにせよ、私には縁がないことだから、四の五の言うことではないとは思う。だが、ラスベガスだけを見てきた僅かな経験から言えば、我が国には秋元司議員の事件があろうとなかろうと、カジノは余り馴染まないことのように思えるだがね。私は1994年に試しに遊んでみたスロットマシンに投じるコインの枚数を見誤って折角7が並んだのに1ドルにもならず、結果として30ドルを失って終わっただけでだった。





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