1010 Radio

ラジオから色んな情報が発信されるように、車いすの視点から情報や思いを発信。

日本のスパイ、冷戦時代からロシアを暗躍(1)

2013-12-20 | ラジオ
共同通信が先日、日本の自衛隊に属する秘密部隊が冷戦時代からソ連・ロシア、ならびに中国、北朝鮮、韓国、さらには東欧諸国を対象に諜報活動を行い、そうした国々の政治状況に関する情報を収集していた。このように報道した。
しかも、そうした情報について、時の総理大臣も自衛隊の幹部も通知を受けていなかったということだ。この報道はセンセーションを巻き起こした。

政府はこの報道に素早く反応した。まずは菅官房長官が、続いて小野寺防衛大臣が相次いで声明を表し、自衛隊の内部にそうした秘密情報局が存在したことはないと報道を否定した。
けれども存在しなかったということが有り得るだろうか。遠近の友好国を相手に諜報活動を行うことは、一種の国際慣行となっている。諜報はいずれの国家にとっても、国家の戦略部門のひとつだ。諜報によって不慮の紛争、テロ、政治家等、有力者の暗殺が未然に防止される。諜報機関は市民の敬愛の的とはならないが、少なくともその危険な仕事は、また重要な仕事でもあるのだ。

ここで元駐日大使を務めたアレクサンドル・パノフ氏のコメントをご紹介しよう。
「諜報は、これまでも行われてきたし、今も行われている。何ら怪しむことはない。知らない人にはニュースだろうが、実は何ら驚くには値しないことなのだ。
また日本政府が示した反応にも、特に驚くべきことはない。諜報活動を行っていることについて、とりわけ近隣諸国を対象に行っていることについて、認めたがる政府などどこにもいない。認めることを強いられるような特異な場合としては、スノーデンによる暴露のような場合、またスパイが捕まったというような場合が挙げられるのみだ。私が東京で大使として働いていたときも、大使館は常に特務機関の標的だった。諜報や防諜のあらゆる手段が用いられてきた。盗聴器や隠然のまた公然の監視尾行。大使館は自己防衛に努めていた。これがいわゆる、事の実相なのだ」
パノフ氏は、このように語っている。

日本のスパイ、冷戦時代からロシアを暗躍(2)へ続く

PRISM事件 世界を監視するプログラムとスノーデンの告発
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12月2日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

韓国 日中間の心理戦に加わる(2)

2013-12-19 | ラジオ
北京、東京、ソウルというトライアングルの間の矛盾が先鋭化していることを背景に、日本政府は自分達の立場ができるだけ幅広い支持を得られるよう 努力をしているようだ。
例えば小野寺防衛大臣はフィリピン訪問中、自分の意見を他の国に押しつけるような中国政府の試みに対抗するようフィリピン側に呼びかけた。
また小野寺防衛大臣は、この問題をフィリピン、オーストラリアの国防担当大臣とともに一緒に協力していくことで合意している。
一方オーストラリアのビショップ国防相は、中国が設定した新しい防空識別圏に関し、オーストラリアも懸念していることを確認した。その一方で日本 政府は、防空識別圏の取り消しを北京に求めることへ、アメリカの完全な支持を得ることは成功しなかったようだ。

これについて再びキスタノフ所長の意見を聞いてみた。
「日本はバイデン副大統領の東京訪問中、そして北京訪問中、アメリカが日本と全く同様の厳しい立場をとらなかったことを大変残念に思っている。こ れは日本の分析専門家の観点から見て、アメリカが東アジアに帰還する、戻ってくるという政策を公言しているにもかかわらず、今のところ余りそれを 果たしていない事を裏付けるものだからだ」
所長は、このように述べている。

なお同じくロシア科学アカデミー極東研究所・コリア調査センターのアレクサンドル・ジョビン所長は、ロシアの声の取材に対してバイデン副大統領が 韓国訪問の後、韓国が自国の防空ゾーン拡大を発表した事を受けて、次のようにコメントしてくれた。
「地域の状況が悪化したのは、アメリカが東アジアを、自分達の利益が高まっているゾーンであると広く述べたことだ。アジアに帰るというアメリカの 方針が、中国を孤立に向かわせ、中国の周辺部に、その対外政策がアメリカへと向かうような国々の帯を形作ってしまったのだ」
所長は、このように強調している。

ベテラン男性アナウンサーの口癖「いわゆる」は不必要なケースが多い

中国という蟻地獄に落ちた韓国
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12月9日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

韓国 日中間の心理戦に加わる(1)

2013-12-18 | ラジオ
東シナ海の防衛識別圏をめぐる、何らかの解決の糸口を集団的な基盤を基に探る時がやってきたように思う。
これはロシア科学アカデミー極東研究所・日本調査センターのワレーリイ・キスタノフ所長が、ロシアの声記者に述べたものだ。
12月9日、韓国は、国の南部の防空識別圏を拡大した後、自国のゾーンのパトロールと監視を強めた。

韓国がこの措置を同じ空域に、中国が防空識別圏を創設した後、講じたものだ。韓国政府による自国の防衛ゾーンの決定は12月15日に効力を発す る。
それに際し韓国政府は、中国政府が自分達の防空ゾーンを新たに認めるよう求めている。なぜならこのゾーンは、部分的に韓国のものと重なり合ってい るからだ。韓国のそれは、中韓双方が、それぞれ求めているイヨド岩礁を含んでいる。それ以外に韓国のゾーンは、2つの小さな島を網羅しているが、 こちらの方は日本の防空ゾーンと部分的に重なっている。
これに先立ち中国が導入した防空識別圏は、日中間で争いの種となっている尖閣諸島、中国名ジャオユイダオ諸島を含んでいる。状況は極めて入り組ん でおり、その際どちらの側も立場を譲るつもりはないように思う。

キスタノフ・センター長の意見を紹介しよう。
「状況を何らかの形で解きほぐすために、中国、日本、韓国そしてアメリカが参加する、いわゆる諮問評議会を作る時期が熟しているようだ。
危機的な状況を阻止する何らかのメカニズムが作られれば、それに越したことはない。つまり、こうした国々の間にホットラインを確立するという事 だ。状況は複雑で緊迫しており、大きな懸念を呼ぶものだ。発砲に繋がるような恐れのある、挑発行為ではない偶発的出来事が起きるリスクが高まって いる。
全く予測できない結果を伴う軍事行動に、そうしたものに発展するかもしれない。中国、韓国、日本の政治家、軍人達が、冷静さを失わず軍事衝突を避 けるために、出来る限りのことをするよう願うばかりだ。事は,大変深刻な展開を伴うものだ」
キスタノフ所長は、このように指摘している。

アメリカは中国の防空識別圏を認めるのを拒否する一方で、韓国の決定ほうは支持した。また12月9日、日本の菅官房長官は、日本は韓国が自国の防 空ゾーンを拡大した事を問題視していないと述べている。

日本のそうした立場は、決して意外なものではない。このようにキスタノフ所長は捉えている。、
「なぜなら日本と韓国両政府は、中国に対抗する、いわゆる統一戦線を組んでいるからだ。日本も韓国も共に、中国が決めた防空識別圏に強く反対して いる。日韓には、竹島、韓国名トクトや歴史問題など、多くの問題をめぐって対立があるが、両国は同盟国だ。それゆえ菅長官の声明は全く当然のもの だ」
キスタノフ・センター長は、このように述べている。

韓国 日中間の心理戦に加わる(2)へ続く

日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか
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12月9日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

先週一週間の青森での出来事(457)

2013-12-17 | 青森
12月9日~12月15日まで、青森県内の出来事をテキトーにピックアップ

■9日、青森市のアパートで昨年10月、暴行され、犬用首輪を付けて監禁され女性が死亡した事件で、青森地裁は主犯格とされる41歳の女に対し懲 役15年の判決
■9日、三沢市内の農家が自家栽培のコメや野菜で作った総菜を売る店「ベジキッチンまいまい」が三沢市内にオープン
■9日、県りんご協会が2013年の「りんご界10大ニュース」を発表し、1位は9月16日の台風18号接近による被害
■県内40市町村と県の公共施設・公立学校1902施設のうち、敷地内・建物内禁煙を行っているのは2013年度、1629施設(86%)
■9日、弘前市で「りんご生産者フォーラム」

■9日、弘前市でリンゴの味を競うイベント「りんご王者決定戦」
■9日、おいらせ町が採用試験関係文書紛失
■9日、プロバスケットボールbjリーグの青森ワッツは11月21日に契約したばかりのラマー・ロバーソン(27)との契約を解除
■八戸市などが早期建設を要望している県立屋内スケート場に復興予算活用案
■10日、弘前市議会一般質問で葛西弘前市長が再選出馬表明

■10日、青森海上保安部が特別警戒と安全指導を開始
■10日、弘前市内のホテルで弘前市の「フランス料理研究会」と函館市の「クラブ・ガストロノミー・バリアドス」による料理対決
■10日、五所川原市で「西北のトマト」産地活性化推進大会
■10日、青森市横内の観光施設「ねぶたの里」が事業停止、負債総額は約7800万円
■県内民生委員の欠員166人に拡大

■11日、八戸市などが早期建設を求めている屋内スケート場に関し、三村申吾知事と小林眞市長が県庁内で会談し、スケート場を八戸市が市立施設と して整備することで合意
■11日、県が2014年産米の市町村別生産数量目標を公表
■平内町の夜越山森林公園のサボテン園で、リュウゼツランの一種「雷神(らいじん)」が1972年の開園以来、初めて開花
■八戸市が県に整備を求めていた屋内スケート場について、スケート場を市立施設として早期建設することで合意

■11日、西目屋村が自然との調和、白神山地との共生を柱として初めて策定した「村環境基本計画」を発表
■11日、インターネットを利用して物流事業などを行う「サラウンド」(本社東京)が八戸市に進出し、県、市と立地協定を締結
■11日、東北森林管理局(白神山地フォトコンテスト募集事務局)が、白神山地世界自然遺産20周年フォトコンテストの入賞作品を発表
■11日、青森空港で麻薬探知犬による取り締まりの実演
■11日、十和田湖観光汽船破産手続き開始

■11日、国土交通省東北地方整備局が、1980~81年度の県内の道路事業に伴う用地取得で、不適切な事務処理があったと発表
■11日、野辺地町で「野辺地葉つきこかぶ」を使って新たに開発した加工品・料理の試食会
■12日、原子力規制委員会の有識者調査団は東北電力東通原発敷地内で、4度目となる断層の現地調査を開始

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■12日、県警機動隊が、青森市の同隊庁舎前で「冬山遭難救助隊」の発隊式
■12日、県は2014年度一般会計当初予算の各部局からの要求状況を発表、要求額は合計6680億9700万円

■12日、県警は部下の20代女性職員に対し、今年5~7月にかけパワハラ、セクハラをしたとして、当時女性と同じ県南地方の警察署に勤務してい た男性巡査部長(35)現在県警本部勤務を停職1カ月とする懲戒処分

ここまでやったらパワハラです!―裁判例111選
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■12日、東京都板橋区のアトリエ春風舎で幕末の蝦夷地で北方警備に当たった津軽藩士が、薬と信じてコーヒーを飲んだという逸話を基にした演劇 「珈琲法要(こうひいほうよう)」の公演始まる

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■12日、十和田市民文化センターで、再生可能エネルギーをテーマにした市民フォーラム
■13日、津軽鉄道で雪の結晶をモチーフにした飾りで彩ったクリスマス列車「ジングルメロス2013」の運行を開始
■13日、三沢市の米軍三沢基地正面ゲート前にあるインターナショナル保育所「ファン&ラーニングセンター」で恒例のクリスマスパーティー

■13日、青森市の善知鳥神社で年末恒例のすす払い
■本県児童生徒の肥満傾向続く

肥満遺伝子――やせるために知っておくべきこと(祥伝社新書307)
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■13日、大鰐町議会が大鰐スキー場の指定管理案を可決
■13日、青森銀行とみちのく銀行が、ベトナムの4大商業銀行の一つ「ベトコム銀行」と業務提携

物語 ヴェトナムの歴史―一億人国家のダイナミズム (中公新書)
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■13日、県ロジスティクス推進懇話会がロジスティクス(物流)を切り口にした本県の新たな経済成長のシナリオとなる戦略案

■13日、青森県つがる市の知的障害者更生施設「月見野園」で、60代の男性職員が40代の入所者の男性を殴り、顔に打撲のけが

知的障害者奪われた人権―虐待・差別の事件と弁護
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■埼玉県越谷市で開かれた「ご当地スイーツ選手権」で、十和田市の菓子舗が出品した「青森の魔女のとろ生ショコラサンド」がグランプリ

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■鯵ケ沢町のブナ林散策ゾーン「ミニ白神」の名称が2014年度から「白神の森遊山道(ゆうざんどう)」に変更
■14日、青森市のアウガで消防団の団員を増やす取り組みなどを話し合う東北ブロックのシンポジウム

消防団120年史―日本消防の今日を築き明日を拓くその歩み
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■14日、弘前大学人文学部で「受刑者の権利保障と社会復帰に向けて」をテ
ーマにしたシンポジウム

ルポ 出所者の現実 (平凡社新書)
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■14日、青森市内の大学で卓球の元オリンピック日本代表選手を招き卓球教室
■14日、県内3カ所のスキー場開き
■14日、十和田市現代美術館の「十和田奥入瀬芸術祭」のドキュメント展始まる
■15日、日本将棋連盟青森支部道場で第14回県将棋グランドチャンピオン戦
■15日、青森市の青龍寺で「昭和大仏」のすす払い

■15日、県内23観測点のうち、弘前市や黒石市など8観測点で真冬日
■15日、佐井村牛滝地区で奇習「おこもり」
■15日、弘前市の県武道館で「県武道演武大会」

武道の礼法
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日本武道館

■15日、弘前市の新和小学校で毎年恒例の「もちつき・ねまり相撲集会」

東奥日報、NHK青森放送局、産経ニュース

中国設定の防空識別圏が持つリスク(2)

2013-12-16 | ラジオ
日本との軍事対立が、必然的にアメリカとの軍事対立を引き起こすこだろうことは明白であり、これは中国の利益には合致しない。日本の軍事力は、それほど大きなものではないが、技術的および個人の訓練度といった観点から観れば、世界的に見ても一流だ。
東シナ海は近くに日本とアメリカの基地があり、その点、両国にとってはかなり有利だ。一方、中国が自国の優位性を示したり、領有権を確認したりするため、 局地的な軍事的デモンストレーション行動をとるのは難しいとおもわれる。大規模な軍事作戦など行えば、その結果は極めて大きく予想のつかないものになる。

恐らく状況の進展の最も有り得るパターンは、中国が問題の空域に自国の戦闘機を派遣し、そこに進入する外国軍機に示威的にデモンストレーションとし接近し、並んで飛行するというものだろう。武器は使用しないが、危険な事態が生じる可能性もある。
遅かれ早かれ、そうした機動作戦が、2001年に南シナ海、海南島沖でアメリカの電子偵察機EP-3と中国の戦闘機が衝突したような、望ましくない出来事を引き起こすかもしれない。
現在の日中および米中関係の雰囲気から言って、衝突、とりわけ、その際に犠牲者が出たりすれば、深刻な外交的な危機を呼び起こすだろう。おそらく中国は日本政府を遅かれ早かれ、絶えず心理戦が続くなか、心理的な緊張が続く事態に疲れ果て、島を巡る領土問題が存在すると言う事実を認めると期待しているようだ。

日本に対する中国の行動は、日本政府が政治的に弱体で人気がなく、しばしば或いは両方であるという認識に立っている。中国は政治的なイニシアチブは自分達にある、もし自分たちがそうしたほうが良いと考えた場合には、自分達が紛争のエスカレートを制御できると確信している。
ただ今のところできるのか、中国は島を巡って始まっている新しい心理戦を、どう行ってゆくだろうか、それを推測だけだ。 しかし、この心理戦に如何に勝利し得るのか、明白なプランがないのなら、中国が防空識別圏設置プランを思いつくことなど、なかったという事は明らかなようにも思う。

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11月29日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

中国設定の防空識別圏が持つリスク(1)

2013-12-15 | ラジオ
中国が日中間で領有問題が先鋭化している尖閣、中国名ではジャオユイダオ諸島の周辺に防空識別圏を導入したことは、アメリカ側からの予期せぬ反応を招いてしまった。
B52戦略爆撃機2機が、このゾーンを中国側への通告なく通過するというデモンストレーション飛行を行ったのだ。日本そして韓国政府も自国の空軍機を中国側に通告せずに、この空域を飛行させると発表した。必ずや起こりうる、そうした事態に中国は今後どのように対応するのだろうか。
今回の中国政府の決定が、この地域の軍事政治状況にもたらした結果について、ロシア戦略技術分析センターのワスィーリイ・カーシン所長の見解を、以下ご紹介したいと思う。

中国が防空識別圏設置を発表した瞬間すでに、アメリカや日本の空軍機が、この空域を中国側への通告なしにデモンストレーション飛行するだろう事は明らかだったと思う。
中国政府は、米軍機の飛行に対する最初の反応として中国の対空防衛力は、これら航空機の飛行を監視し、必要があれば、空域のコントロールを保証する能力があるといった、声明を出すにとどめた。その後、中国国防省は、28日、空域をパトロールするために、スホーイ30型戦闘機およびJ-11戦闘機、このJ-11はソ連のスホイ27型戦闘機を中国でライセンス生産したものだ。
これらの戦闘機が数機飛び立ったと発表した。ここで生ずる主な問いは、防空識別圏に次に他の国の空軍機が入ってきた場合、中国はどう対応するだろうかというものだ。

もし中国が政治的な声明や警告を出すにとどめるならば、その場合、中国は、この空域を実際的にコントロールしたいとする自分たちの要求を強めてゆく能力がないという事を内外に示してしまう。そうなれば防空識別圏の設定に関連した目論みは、中国の威信を大きく傷つけるに違いない。おまけに中国の対外政治的な利益のみならず、国民の目に映る中国指導部の威信にも傷がつくと思われる。

中国設定の防空識別圏が持つリスク(2)へ続く

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11月29日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

日本、防空識別圏について中国を相手にしない

2013-12-14 | ラジオ
日本は東シナ海における防空識別圏について、中国とは交渉を行わない。岸田文雄外相がそのような立場を明らかにした。中国が尖閣諸島上空にまで防空識別圏を拡大したことはすでに、日本、アメリカ、韓国などから批判を呼んでいる。
岸田文雄外相は、そのような中国の行動が一方的なものであり、民間航空を阻害するものであるとしている。中国は防空識別圏を飛行する全ての航空機に対して、事前通告を求めている。日本政府は民間航空各社に対して、今回の防空識別圏を無視するよう呼びかけ、事前通告しないよう呼びかけていた。

このような強硬な立場は、日本と中国の間の緊張緩和にはつながっていない、そのように指摘するのは、ロシア科学アカデミー極東研究所・日本センターのワレリー・キスタノフ氏だ。
「この状況をめぐっては、必ずしも日本と中国の権益のみならず、多くの国の利害が絡み合っているため、複雑を極めています。アメリカも利害も持っています。というのも日米安保条約があるからだ。さらにオバマ大統領はアジア太平洋地域において独自の利害を見出しています。アジアへの回帰、という路線が発表されたのは意味のないことではありません」
そのようにキスタノフ氏は話している。

ただし日米の間に意見の相違があることも確かだ。アメリカは日本の強硬姿勢を支持してはいるものの、防空識別圏の撤回は求めていない。
バイデン副大統領の北京訪問のなかでもそれは確認されている。おそらくアメリカが期待するところは、中国が防空識別圏において強硬な監視活動を行わない、ということだろう。
一方の日本でも、中国がこれを機に領土問題でも姿勢を一層強めることが懸念されている。興味深いのは、外務省よりも防衛省が落ち着いているということだ。小野寺五典防衛相は、東シナ海における対空防衛に関して、大臣の間でのホットラインを中国との間で設けることを支持している。もしかすると中国の目標は、日米の足並みを乱すことにあったのかもしれない。さらに日本のエリートの間の反目をあおることだったのだろうか。中国が始めたこの神経戦はまだ続く。

在中日本人108人のそれでも私たちが中国に住む理由
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12月11日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

北朝鮮、改革は不言実行

2013-12-13 | ラジオ
北朝鮮では今年末にかけて、大規模な農業改革が行われているようだ。もちろん北朝鮮メディアは、改革という言葉は使っていない。改革という言葉には疑わしい、反動的な手垢がついていると考えられているからだ。公式的には北朝鮮の社会経済制度は理想的なものであり、改革の必要性はないとされている。
しかし現在、北朝鮮で進んでいる農業改革は、70年代後半に中国で行われたものに非常に似ている。二つの柱があり、第一に末端の生産主体の規模を大きく縮小することがある。それは5人から6人ほどにまで減らされ、事実上、中規模の個人農家と変わりがない。決して個人農家への回帰とは言われないにしても、事実上、家族型農業への転換を意味している。
第二に、収穫の多くを手元に残すことが許されるようになる。はっきりしたことは分からないが、おそらく収穫の3分の1ほどが残ることとなる。これによって物質的に農家の生産意欲を向上させ、生産効率を高めることが狙いだ。

最初の結果がすでに出ており、新しい制度が導入された地域では、収穫は予想を25%から30%上回るものだった。これは世界の例からも明らかであり、農家の生産効率を上げるためには、その土地が自分のものであること、そして収穫を自由に処分することができることが必要なのだ。そこに国家がいても、地主がいても効率は下がることになる。

北朝鮮で始まった改革は、中国の食糧問題を素早く解決した70年代の改革を想起させる。もちろん当時の中国は農業国であった一方で、現在の北朝鮮では都市化が進んでおり、効果のほどは中国まではいかないだろう。
しかし20%、もしくは30%、食糧生産を引き上げることは、深刻な食糧状況を緩和することになるだろう。政治指導部からしてみても、イデオロギーを破壊するような要素がなく、安全な改革だと言える。
というのも、世界中で農民というのは政治的に受動的であり、今回の場合も政治リスクは低くなっている。
惜しむらくは、改革が15年から20年ほど前に行われなかったことだ。しかし今回の改革によって、北朝鮮の経済状況は大きく改善されることになるだろう。

北朝鮮は経済危機を脱出できるか―中国の改革・開放政策との比較研究
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社会評論社

12月2日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

金正恩氏がチャン・ソンテク解任劇で見せたものは

2013-12-12 | ラジオ
2013年12月9日、北朝鮮のテレビが流した映像は、この国始まって以来最も興味深いものと言えるだろう。テレビでは前日に、朝鮮中央労働党の政治局会議で、国防委員会副委員長のチャン・ソンテク氏が解任される様子が映し出された。
チャン氏は金正恩氏の叔母を妻としており、金一族のメンバーとなっている。

北朝鮮始まって以来、初めてのお偉いさんの失脚は騒々しく、芝居がかったものだった。始まりは9日の朝。朝鮮中央通信がチャン・ソンテク氏の違法行為について大々的なコメントを発表した。
金正恩第1書記の、かつての第1参事官、したる参事官は党に背き、反革命的、反派閥的行為を行い、淫蕩、汚職にふけったと糾弾されたのだ。
チャン氏のいほん行為(?)は、ノドン新聞の一面を飾った。過去の糾弾内容に新たな書き込みがなされた。チャン氏は反人民的、反国家的キャンペーンを張ったと告発されたのだ。極めつけは、政治局の会議で撮られた逮捕の瞬間の映像が白昼堂々テレビで放映されたことだろう。このようなキャンペーンは北朝鮮の歴史だけでなく、社会主義陣営史上、前代未聞のものだ。

北朝鮮の標準からすれば、こうしたあまりの開示性は非常に稀な例だ。50年代、北朝鮮はスターリン時代のソ連を手本にしていたため、地元のプレスには、ある役人が、または英雄、また共産党運動の功労者が突如として破壊分子となり、アメリカや日本のスパイとなったという記事が踊ったものだった。
ですが、こうした時代でさえノドン新聞一面が、こうした事件に割かれる事態は想像だにできないことだった。60年以降、北朝鮮では高官の、こうした高い地位の役人の逮捕については一切報じられなくなった。
いくつかの例は、公式的なピラミッドの高い地位を占める人にしか読むことのできない情報紙に記載されることはあったが、失墜した要人は、ただ消えて終わりとなるのが普通だった。こうした失墜者については記事にならなくなり、公式行事にも人物は姿を現さなくなるものだ。そして北朝鮮でその人物の行方に興味を持つ者など、誰もいなかったのだ。

ところが今、正恩氏はこの伝統を破り、チャン氏の失脚を最大限広く知らしめようと決めた。この決定が何によってなされたものかは、現段階では分からない。正恩氏が元摂政に個人的に抱いた敵意が、ここで少なからぬ役割を果たした可能性もないわけではない。
ひょっとすると正恩氏は、自分を相手に冗談を飛ばすとどうなるか、自分の敵となる者は誰かれかまわず抹殺する、ということを見せ付けたのではないだろうか。

「いほん行為」って何だ???

北朝鮮秘録 軍・経済・世襲権力の内幕 (文春新書 932)
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12月10日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル

金正恩 チャン・ソンテクを更迭

2013-12-11 | ラジオ
韓国メディアでは、北朝鮮指導部における重要な変化が報じられている。金正恩の叔母の夫で、ここ2年間、金正恩の政権基盤強化に役割を果たしてきたチャン・ソンテクが更迭されたというのだ。
チャン・ソンテクの更迭はまだ確実な裏づけがないものの、真実性は高いものだ。というのも今年春以降、公式の場に姿を見せることが格段に少なくなっていたからだ。

世界史において、外戚という立場が非常に強いことは示されている。それと共に、その立場は危険かつ困難なものであることも確かだ。若い君主が政権、権力の味をしめるとともに、年老いる外戚は徐々に邪魔な存在となってくるからだ。
賢明な外戚であれば、それをよく理解し上手く立ち回るものだ。上手くいけば名誉ある地位を占めながら、豊かな老後が送れる、というわけだ。ただ歴史の教訓が教えてくれる通り、外戚というのはしばしば虚栄心に突き動かされ、引き際を誤っている。結果として君主に排除されることとなる。

金正恩が指導者に就いたのは突然の出来事だった。金正日は恐らく、まだまだ生きるつもりだっただろうし、金正恩を教育することもまだ間に合うと考えていただろう。しかし2011年12月、死は突然訪れることとなった。
絶対権力を握ったはずだった金正恩は、先代からの側近たちに囲まれていることを悟った。側近たちはかなりの高齢で、世界観もまったく違っている人々だった。儒教の伝統もある北朝鮮という国で、このような状況は全くもって肩身の狭いことだろう。
自ら国を統治するためには、先代からの側近たちを廃し、自分が信頼する人々を代わりに登用しなくてはならない。そうして初めて、自らの政治路線を実現することができるのだ。

側近排除の動きは、すでに昨年春から夏にかけて動き始めていた。最初に標的となったのは軍だった。2012年7月、金正日が死の直前に任命していたリ・ヨンホ将軍が消えてしまった。また影響力ある数人の将軍が同じく表舞台から消えていった。
この頃から、次の標的は党幹部になると見られていたが、チャン・ソンテクは、その最初の餌食になったようだ。恐らく今後も世代交代が続いていくだろう。3、4年後の集合写真には恐らく馴染みの顔はひとつも見当たらないことだろう。
しかしこれは、金正恩が実権を掌握するためには必要なことだ。具体的に彼が、どのような政策を実現しようとしているかはまだ分からないが、それを実現するには、新しい人材が必要なのだ。

金正恩の北朝鮮 激変する人民ライフと権力の内幕 (別冊宝島 1984 ノンフィクション)
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宝島社


12月4日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル