先日、ピエール・エルメ・パリのマカロンとのマリアージュセットでご案内した、
ボルドーワインの「ムートン・カデ」を改めて紹介します。
Mouton Cadet Rouge 2017 (France, AOC Bordeaux)
使用ブドウは、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン。
「ムートン・カデ」は、仏ボルドーでメドック格付け第一級シャトー「シャトー・ムートン・ロスチャイルド」を所有するバロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社が手掛けるカジュアルワインで、1930年に誕生しました。
赤ワインのほか、白ワイン、ロゼワインがありますが、今回は赤ワインを紹介します。
バロン・フィリップ・ド・ロスチャイルド社といえば、ボルドー格付け第1級ワイン「シャトー・ムートン・ロートシルト」で、1855年の格付け時では第2級でしたが、その後の格付けの見直しで、1973年に第1級に昇格しました。
「シャトー・ムートン・ロートシルト」は、かつては手の届く価格帯のワインでしたが、今はもう私の手の届かないところまで行ってしまいました…
その「シャトー・ムートン・ロートシルト」をトップに、その下にムートンファミリーのワインが階層を形成していますが、もっともカジュアルなポジションに位置するのが、ムートンファミリーの末っ子(Cadet=末っ子)「Mouton Cadet」です。
上述したように、「ムートン・カデ」の誕生は1930年で、日本への上陸年は把握できていませんが、私がワインに興味を持ち始めたころには、すでに日本市場にあったと記憶しています。
おそらく、30年近く前からあったかも?(この時はまだ赤ワインのみ)
とにかく、ムートン・カデはずいぶん前からあるロングセラーワインで、価格もカジュアルでした。
カジュアルゆえ、ワインを飲み始めた当初はともかく、それ以降は、ほかのワインへの興味の方が強くなり、あえて手を出さないカテゴリのワインに、だんだんとなってきました。
その間に、ラベルデザインがスタイリッシュに変わりました。
変わったのは、ラベルだけでなく、中身も、です。
今回、マカロンとのマリアージュということで、久しぶりに「ムートン・カデ・ルージュ」を飲みましたが、かなりいい方向に変化しています!
抜栓した直後は、ワインがキュッと身を固くして閉じこもっているのを感じました。
セラーから出したばかりで温度が低く、グラスに注いでも、そっけないままの状態でしたので、この日は早々に諦めました。
翌日(抜栓2日目)、持っている中でかなり大きめサイズのボルドーグラス(ボウルの高さがあります)に注いでみました。
しばらく置いてから口をつけると、前日とはまるで違うワインのようです。
果実味が甘くふっくらと開き、ジューシーな酸と気品あるタンニンのバランスが取れ、育ちのよさを感じさせるキレイな味わいの赤ワインになっています。
その次の日(抜栓3日目)も、前日と同じグラスに注いで少し置いてから飲みました。
あ~、やっぱり、おいしい~
3日かけてわかったことは、このワイン(赤の場合)を飲むには、いくつかのコツが必要ということです。
コツといっても、難しいことではありません。
避けるべきは、低温の状態のワインを小さなグラスに注いでサッと飲むこと、です。
その逆の状態、冷たすぎない状態で、ある程度の高さのある大き目のボルドー型グラスに少し注ぎ、しばらく待ってから少しずつ口に含むように飲むこと、がポイントです。
また、ワイングラスが空になってから次を注ぐのが基本ですが、グラスにまだ少しワインが残った状態で注ぐと、前のワインが新しいワインの橋渡しになるように感じます。
今回は大ぶりのボルドーグラスでしたが、脚なしのボウルだけの大ぶりグラス(プラスティックも可)でも大丈夫です。
ポイントは、ワインの温度とグラスの形状と大きさ、です。
スッとゲストに出せば、「このワイン、すいぶんお高いのでは?」と言われるかもしれません。
2017年はしっかりした濃い色調
ムートン・カデはショップの店頭でよく見るブランドで、標準小売り価格は1650円(税抜)。
サービスのコツを掴めば、この価格で正統派ボルドーを楽しむことができるので、覚えておくと損はありません
※輸入元:エノテカ
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