12月に入り、年末年始の準備を、という時節です。
昨年からの新型ウイルス感染拡大が収まりを見せ始めてきた昨今、感染対策をしっかりしつつ、昨年よりは少し気分華やかに年末年始を楽しみたい、と考える方もいるでしょうか。
今年も、限られた取材の中で出合った数々のワインを取り上げてきました。
が、コスパ重視のもの、その土地らしいローカルなものなどが多かったと思います。
ですが、年末年始は絶対にシャンパーニュ!と考えている方のために、今年の春、日本で初めて(アジアで初めて)発表されたシャンパーニュのグループ
「La Transmission」(ラ・トランスミッション)を紹介したいと思います。
「La Transmission ラ・トランスミッション」は、シャンパーニュの女性9人が2016年に立ち上げたグループで、メゾンオーナー、トップ経営者、醸造家らで構成されています。
今年の4月、グループ結成発表のウェビナーがあり、取材しました。
下はウェビナーでのスクリーンショットですが、ご覧いただけるとわかるように、幅広い年代のメンバーで構成されています。
左上より)
Charline DRAPPIER CO-OWNER CHAMPAGNE DRAPPIER
Alice PAILLARD CO-OWNER CHAMPAGNE BRUNO PAILLARD
Evelyne BOIZEL C.E.O UNTIL 2018 CHAMPAGNE BOIZEL
Vitalie TAITTINGER CO-OWNER CHAMPAGNE TAITTINGER
Chantal GONET CO-OWNER CHAMPAGNE PHILIPPE GONET
*Whelehan 麻未 (日本サイドのオーガナイザー/モデレーター)
Delphine CAZALS OWNER CHAMPAGNE CLAUDE CAZALS
Maggie HENRIQUEZ C.E.O CHAMPAGNE KRUG
Mélanie TARLANT CO-OWNER CHAMPAGNE TARLANT
Anne MALASSAGNE CO-OWNER CHAMPAGNE A.R LENOBLE
La Transmissionの公式サイトでは詳しいプロフィールがあります。
(下にURLを貼り付けます)
ルノーブルのアンヌによると、27年前に引き継いだ時はまだ若く、若い女性がシャンパーニュ会社を運営していくには大変なことだったそうです。
そうしたことをクリュッグのマギーと5年くらい前に話し、グループ結成のビジョンが固まったといいます。
しかし、ただ女性だけ、というグループではなく、シャンパーニュのさまざまな場所から集まっており、世代もバックグラウンドも異なるけれど、お互いに切磋琢磨して競い合っていこう、という本格的なグループです。
お互いを比べることもなく、活動していて楽しい、と言います。
グループ名の「La Transmission」は「伝達」という意味で、ひとつひとつの点が集まってできた思いを次に伝えていきたい、という思いから命名したそうです。
パイヤールのアリスは、自分の視点だけでなく、グループのメンバーに多様性があるおかげで、各アペレーションの人間味のある魅力を皆に伝えられる、と言います。
ボワゼルのエブリーヌは、環境や気候変動を考えていく際にも、団結したからできることがあり、今がある、と言います。
エブリーヌはグループの長老で、長い経験を持ち、自分の仕事に誇りを持っています。それが若い人への刺激になれば、と語っていました。
気候変動、温暖化については、ポジティブな影響もある、と、ドラピエのシャルリーヌは言います。
温暖化によりブドウがよく熟すと、ドサージュ(最後の糖分リキュール添加)を抑えることができるとのこと。
温暖化、環境問題は、畑以外のところでも考えられるようになり、カーボンフットプリントなどの試みもあるそうです。
タルランのメラニーも、生垣、森林、河川、地下、土壌、みみずやバクテリアなど土づくりをしてくれるものを守ることが重要と言います。
タルランでは樹齢の古い接ぎ木なしのブドウ樹を持っており、昔からあった品種と受粉させ、気候変動に強い品種をつくる試みもしているそうですが、15~20年くらいかかりそうとのこと。
今年4月の日本でのウェビナー、アジアで初のグループの発表でした。
フィリップ・ゴネのシャンタルによると、これまで、ドイツ、米ニューヨークなどでのテイスティングを企画し、自分のシャンパーニュ以外も説明してきました。グラスの形状はどれがいいか、どんな風に楽しんだらいいか、などなど。
この後、ウェビナーでは、他の人のシャンパーニュをテイスティングし、コメントし合う、というユニークな企画がありました。
ウェビナー参加者にも、事前にシャンパーニュが送られており(ロシアンルーレット方式)、私のところに届いたのは、ボワゼルのジョワイヨ・ロゼ。
Champagne Boizel Joyau de France Rose 2007
ボワゼルのジョワイヨ ロゼはもう何回も飲んでいますが、今回は2007年
ピノ・ノワール62%(うち10%は赤ワイン)、シャルドネ38%。
これをクリュッグのマギーがテイスティングしてコメントしました。
「繊細ですが、自信に満ちたシャンパーニュ。古代品種のバラのローズガーデンにいるかのような香りは丸みがあり、とてもエレガント。赤い果実に、甘いスパイスの風味も感じます。サーモンやマグロ、ホタテの刺身に合うのでは?」by マギー
私も改めて試飲しましたが、香りがとても豊かで、香りだけずっと嗅いでいられるほど(笑)
果実感は豊かですが、辛口なので、料理に合わせやすいタイプだと思います。
シャンパーニュは、けっこう古いヴィンテージがありますので、記念年と出合えるかも?
ウェビナーでは、シャンパーニュの楽しみ方、和食とのペアリングについてもお話がありました。
なお、シャンパーニュを飲むグラスについては、背が高い細身のフルートグラスではなく、白ワイン用グラスを使ってください。
冷やしすぎは禁物。
ぜひ料理と楽しんで、と、クリュッグのマギーさん。
たしかに!ついついNG行為をしがちですが、彼女たちの乾杯画像をもう一度見ると、ワイングラスの形状はとても参考になります。
今の時代、男性だけとか女性だけとか、ジェンダーの話題が増えてきました。
私個人は、同性だけが集まるグループには、やや否定的な意見を持っています。
が、バリバリの男社会だったワイン業界で、男性に立ち向かうというのではなく、自らを高め、シャンパーニュという地域の産業の将来を真剣に考えていこう、と、手を取り合った彼女たちの話を聞き、今後に期待したいと思いました。
もしかしたら、将来、性別に関係なく、自分も加わりたい!という生産者が出てきて、多様性のあるグループになる可能性もあるかもしれませんね。
ということで、冒頭に戻りますが(笑)
シャンパーニュを選ぶ際、このグループからセレクトする、共感した生産者のワインからセレクトする、という手もありますので、ぜひ公式サイトを参考にしてください。
La Transmission 公式ウェブサイト
www.la-transmission-champagne.com
※日本語バージョンがありますが、ボワゼルのエブリーヌさんの写真とプロフィール名にミスがあるのでご注意を(英語版は大丈夫でした)
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