2020年8月3日・4日に行なわれた「第9回全日本最優秀ソムリエコンクール」決勝の結果はすでにリポートしましたので、本日は、4日のグランドファイナルの課題内容を紹介したいと思います。
「第9回全日本最優秀ソムリエコンクール」入賞者
左より)敬称略
2位:森本美雪(コンラッド東京)/優勝:井黒卓(ロオジエ)/3位:近藤裕哉(銀座レカン)
「第9回全日本最優秀ソムリエコンクール」の予選は、2020年2月19日に全国5都市で行なわれ、120名が参加。
その中から23名が予選を通過し、本来であれば3月17日・18日の準々決勝、準決勝、決勝に進む予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、5月に延期。さらに延期され、8月3日・4日に準々決勝、準決勝、決勝が行なわれました。
ご承知のように、現在もコロナウイルス感染者数はなかなか少なくなっていませんが、三度の延期をせずに8月3日・4日に実施したのは、2021年5月に予定されている第5回アジア・オセアニア最優秀ソムリエコンクールが控えているため、と、一社・日本ソムリエ協会の田崎真也会長から説明がありました。
この第9回全日本最優秀ソムリエコンクールの上位2名が、そのアジア・オセアニアコンクールに出場するからです。すでに1年を切っていますし、これ以上の延期は選手が準備するためには負担が大きいということで、なんとか8月中に、ということでした。
延期に次ぐ延期で、参加選手たちもモチベーションの維持に大変だったと思いますが、準々決勝、準決勝を経て、5名のファイナリストが決勝に進みました。
決勝では、準決勝までの順位の逆順の5位の選手から個人審査が行なわれました。
コロナ対策で、選手も審査ゲストもマウスシールドを装着し、選手はテイスティング時のみ外しました。
※ファイナルの個人実技の順番は準決勝の順位5位からスタート
5位:近藤裕哉選手(銀座レカン)→ 4位:中西祐介選手(Clos Y)→
3位:佐々木健太選手(L'AS)→ 2位:森本美雪選手(コンラッド東京)→
1位:井黒卓選手(ロオジエ)
課題1
3名のテーブルでのアペリティフサービス。4分
2名のゲストにはスペシャルなシャンパーニュを、ホストはClassic Negroni(カクテル)を。
シャンパーニュはDeval Leroyのスペシャルなキュヴェ、2013、2014、2015ヴィンテージが用意されており、何が特別なのか、また、各ヴィンテージの特徴を紹介するのがポイント。
森本選手
課題2
ワイン持ち込みディナーをしたい客に、それぞれのワインに合わせてインターナショナルな料理を提案。5分
ワインの順番を変えて提案するのがポイント。
課題3
「シャトー・メルシャン 甲州きいろ香 2014」 マグナムボトルを5人テーブルにデカンタージュしてサービス。6分
中西選手
途中で客からの質問あり。
(サービスの適温、きいろ香の名前の由来、甲州種のオリジンについて、マグナムの優位性)
近藤選手
課題4
赤ワインのブラインドテイスティング 1分
オープンされたワイン「シャトー・メルシャン 椀子メルロー 2016」をヴィンテージの特性から説明。1分
課題5
白ワイン「グレイス甲州キュヴェ三澤2018」に合うメイン料理のマリアージュ提案。1分
井黒選手
シャトー・メルシャンのゼネラルマネージャー 安蔵光弘氏(左)、グレイスワインの栽培・醸造家 三澤彩菜氏(右)が出題者として登壇。
課題6
赤ワインのブラインドテイスティング -classic organoleptic comment で (※organoleptic:官能的)3分
佐々木選手
中身は、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ 2013(イタリア、トスカーナ)でした。
課題7(全員で)
ABCの3フライト(各フライトとも3種)をテイスティングし、各設問の解答をフリップに書く。
すべてブラインド。解答がひとつとは限らない。15分
司会進行役が解答のタイミングで声をかけ、一斉にフリップを揚げる形式でした。
3フライト×3種、合計9種をテイスティング
Flight A:ピノ・ノワール
1)全房発酵のワインはどれ?
2)ニュージーランドのワインはどれ?
3)ビオディナミで造られたワインはどれ?
Flight B:シャンパーニュ
1)Blanc de Blancsはどれ?
2)オーク熟成をしたものはどれ?
3)ミレジムワインはどれ?
Flight C:甘口ワイン
1)貴腐ブドウを使ったワインはどれ?
2)アイスワインはどれ?
3)値段の高い順に並べよ
出題はすべて外国語で(中西選手のみフランス語、ほか4名は英語)、接客時サービスもテイスティングコメントもすべて外国語でした。
国際大会では外国語で出題されますので、日本の国内大会から慣れておく必要がありますね。
個人でのサービス実技では、時間内に終えられない選手も多かったです。
ひとつに気を取られず、時間配分を上手にコントロールすることがポイント。
なお、緊張で(当然ですが)、表情がこわばってしまう選手、シーンも多々ありましたが、そういうサービスを実際に受けたとしたら、客としても緊張するし、なんだかなぁと思ってしまいます。
笑顔で緊張を解きほぐし、押しつけがましくなく、客の要望を察知し、さりげない気配りをしてくれるソムリエなら最高なんですが
5名の選手のサービスを見て、森本選手の笑顔はとても気持ちよかったですし、近藤選手は情報面でよく勉強していると思いました。
上位に来る選手は、まずサービス実技の内容がしっかりしています。
それに、テイスティング能力、判断力、提案力と、総合的なものが加味されての最終順位です。
優勝した井黒選手は、前回の第8回大会の準優勝者で、アジア・オセアニア大会にも出場しています。
そうした場で揉まれ、経験を積んでの、今回の全日本でしたので、本人も意気込みも周囲の期待も大きかったのではないでしょうか。
次のアジア・オセアニア大会は、優勝の井黒選手、準優勝の森本選手が参加します。
コロナ禍で、従来のような接客サービスができない状況がまだしばらく続きそうですが、それを乗り越え、両選手には頑張ってほしいですね。
[参考]
「第9回全日本最優秀ソムリエコンクール」準々決勝進出23名決定!
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/2a74f5b312ea080beed5c85884c42936
第8回全日本最優秀ソムリエコンクール
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/6eaaa251f6e52b1d416849b15644bc89
第4回アジア・オセアニア大会(京都)
https://blog.goo.ne.jp/may_w/e/f11ceaa5b79500e4b3a24b1158d4f2fe
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