2月5~8日、東京ビッグサイトで開催された第65回東京インターナショナルギフト・ショーの『ニッポンいいもの再発見!2008』に、静岡県商工会連合会・しずおかうまいもの創生事業委員会が、『つまんでごろーじ~静岡の酒とつまみの玉手箱』を出展しました。
玉手箱の中身は、静岡県のオリジナル酒米・誉富士100%使用の特別純米酒(富士錦酒造)、東伊豆稲取の地きんめ煮付け&きんめの卵の味噌漬け(きんめ鯛料理なぶらとと)、由比桜えびの酒粕漬け(望仙)、浜名湖のカキの佃煮(山長)。誉富士純米酒以外の酒肴は、本邦初公開の創作珍味です。
過去ブログで紹介したとおり、私はこの事業のアドバイザーとして、静岡文化芸術大学の米屋武文教授、フードコーディネーターの石神修さんとともに、企画立案、商品開発、ネーミング、広報物の制作等を担当し、さまざまな準備をお手伝いしてきました。事業に参加する4業者は県商工会のほうですでに選定されていたので、私としては、業者さんたちの強みや、4者を束ねることでどんな静岡らしさがアピールできるか、誰に、どんな目的で買ってもらうかを考えてきました。そして今回のギフトショーでの初お披露目。
私は7~8日の2日間、ブースに詰めてPRとアンケート調査をお手伝い。ひとつの商品をゼロから生み出し、ユーザーの反応を確かめるまでの工程を体験するという機会はめったにないので、とても勉強になりました。
パッケージはこのとおり。酒は、ウイスキーか焼酎みたいなどっしりした角ボトル(500ml)に詰め、3つの酒肴を文庫本ぐらいの箱に収め、全体で箱入り4合瓶よりちょっと丈長ぐらいの大きさにしました。
「つまんでごろーじ」とは静岡弁で“つまんでご覧あれ”。実は、私が最初、提案したネーミング案では「ちっとらっつ(静岡弁で“ちょっとずつ”)」が、コンセプトにぴったりで響きもユニーク、と委員会満場一致で決まったのですが、よく調べたら三島のほうで芋焼酎の新商品として使うことが先に決まっていたらしく、泣く泣く断念。商標の問題では、昨年度の同事業で開発したお茶ギフトで、静岡のあるマーケティング業者が提案したネーミングがトラブルを起こしたため、方言といえども慎重にならざるを得ない、という事情がありました。パッケージのデザインは「ちっとらっつ」のイメージで創ってもらっていたので、多少の違和感があるかもしれませんが、いざ、ギフトショーでお披露目したところ、かわいい、面白い、女性でも買いやすい、とお褒めをいただき、ホッとしました。
味のほうは、手前味噌になりますが、絶賛の嵐でした。静岡の人でも、金目鯛の卵の味噌漬け、なんて食べたことないでしょうし、桜えびを粕漬けにするのも、望仙さんの完全オリジナルですし、カキを佃煮にして商品化するのも初めて。日本酒は苦手、という試食者も、「これはお酒を呑まずにいられない」とついつい手を出すという感じです。何度も試作・試食を重ね、味噌味、酒粕味、しょうゆ味で3拍子そろえようというアドバイザーの呑ん兵衛3人組の、半ば個人趣味的なコーディネーションで、業者さんには無理をお願いするかたちになりましたが、お客さんからの高評価に胸をなでおろしたところ。
このうまいもの創生事業が、地方の中小業者の全国販路展開補助金事業のため、今回は首都圏を中心とした全国の流通業者向けに、パーソナルギフト提案としてお披露目したわけですが、個人的には、静岡の人に、「地元にこんな酒と肴があるんですよ、ふるさと自慢として、県外の親戚やお友達に贈ってみませんか」って言いたいですね。
7日昼には『初亀・瓢月ボトル』のデザインをした書道家大橋陽山さんと東京都写真美術館で、夜には、ギフトショー会場にかけつけてくれたdancyu編集長の里見美香さんと、オール静岡酒の隠れそば処・眠庵(神田)で、静岡の酒を新しいユーザーや客層に伝えていくための情報のあり方、提案の仕方についてトコトン語り合いました。大橋さんと里見さんには、ついつい、『吟醸王国しずおか』の製作費捻出のため、国や県の補助金制度をあたり、さまざまな壁にぶちあたった一方で、『つまんでごろーじ』が、国の補助金を易々とゲットして完成した過程に関わり、複雑な思いがしたことを吐露してしまいました。
8日夜、クタクタになって帰宅し、メールをチェックしたところ、TVレポーターや司会等で活躍中の神田えり子さんが、自身のブログで『吟醸王国しずおか』に温かいエールを送ってくださっていること、コメントを寄せてくださった読者の方々の激励の存在を知り、心のタンクにみるみるエネルギーが注入されました。涙が出るほど嬉しかったです。本当にありがとうございました。
そーいえば、SBSで『吟醸王国しずおか云々』って番組、放送されたんですね。磯自慢さんから「阿藤快が30分ぐらい来て、ちょろっと試飲して帰ったよ~」って聞き、成岡さんからも「視聴率重視のテレビ番組だから、数字が取れる飲食店情報のほうがメインで、酒は添え物扱いかもよ」と聞いていたので、映画づくりとは違う次元の作り方なんだなあと思い、そのまま忘れていましたが、どーだったんでしょうか?
ちなみに私はこの番組には何も関わっていません。昨年夏ごろ、SBS関係者に『吟醸王国しずおか』の企画を相談したことがあるので「パクられたかもよ」と心配してくれる人もいますが、“ちっとらっつ”と同様、“吟醸王国しずおか”も、静岡の方言か固有名詞みたいに万人共通で親しまれるようになったとしたら、それはそれで、素晴らしいことです。
そう、肝心なことを忘れてはいけません、今年は当面、“つまんでごろーじ”の万人共通語化を目指してがんばらねば!