杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

地域の未来を考える

2008-02-22 12:33:32 | NPO

 今朝、静岡新聞を開いたら、静岡中部版16面の右端に自分が写っているではありませんか。ビックリドッキリ!・・・といっても、わかるのはごくごく一部の人だと思います。

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  昨日はNPO法人生き活きネットワークが事業受託をしている厚生労働省の『緊急サポートネットワーク事業』のシンポジウムが開かれ、私はいつものごとくMCを担当しました。新聞に掲載された写真は、前半の基調講演の講師・野島恵子先生(小児科医)と、話を聞くギャラリー3人(私と県庁スタッフ)。実際のシンポジウムはギャラリー約50名にパネリスト8名で進行しました。

 

 『緊急サポートネットワーク事業』とは、就学前の子どもが急に病気になったり病み上がりのとき、仕事が休めず看病できない両親に代わって子どもの面倒を見る人を派遣するという事業です。「子どもが病気のときぐらい、親がなぜ面倒を見ないのか」を眉をしかめる人もいるかもしれませんが、現実には、共働きの親やシングルマザーが、当日朝、職場に「子どもが熱を出したので休みます」とはなかなか言えないのも事実。そんなとき、選択肢として、

①職場に理解があって看護休暇が取りやすい

②いつも通っている保育園や子育て支援センター等に、病児・病後児も預かる施設が併設されている

のであれば、理想です。しかしこれが一朝一夕にはできないのも事実。そこで、緊急措置として、病気の子どもの面倒を見る能力のある人が、そのお宅へベビーシッター02213として行く、もしくは自分の家で預かるというシステムが作られたわけです。

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  深夜や早朝にSOSが来る緊急性の高い依頼ですから、コーディネーター役も大変です。昼間でも、「保育園から、子どもが熱を出したから迎えに来てくれと連絡が来たが、職場を離れられない。代わりに迎えに行って病院に連れて行ってくれ」という依頼があります。

 活き生きネットワーク代表の杉本彰子さん(右写真)や、顧問医の野島恵子さん(左写真) は、「だからこそ、子どもを預かる側の志やスキルが大事」と、この事業に登録をした〈まかせて会員〉さんの研修やネットワークづくりに力を入れています。その努力が奏功し、3年前のスタート以来、静岡県は全国でもトップクラスの実績を上げ、彰子さんは“女性の再就職・再チャレンジ支援に功績があった”として、昨年、総理大臣賞を受賞しています。

  

  静岡市では地元選出の衆議院議員・上川陽子さんが少子化担当大臣になるなど、子育て支援のトップランナーが活躍しています。彰子さんは「上川さんには〈踊る大走査線〉で織田裕二が柳葉敏郎に言うみたいに“私は現場でがんばるから、あなたは上に行って偉くなって”とハッパをかけてきたのよ」と笑います。

 そんな2人を、未婚・子無し・フリーランサーの私が、どういう縁かサポートをするハメになり、私の親は嘆いているかもしれませんが(苦笑)、自分が子を持たずとも、がんばる同性を応援することで、日本の少子化対策や再チャレンジに貢献できればいいんじゃないかと思っています。静岡が、日本で一番、子育てがしやすく、女性が働きやすいまちになってほしい。行政にはそういうビジョンをしっかり持ってほしいと思います。

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 この日は引き続き、夜、新しく発足した、『静岡県朝鮮通信使研究会』の第1回会合に参加しました。金両基先生や静岡県議・天野一さんらが世話人を務める『静岡人権フォーラム』や、市民団体『静岡に文化の風を』のメンバーを中心に、朝鮮通信使について本格的に学び・各地に普及浸透させ、地域の歴史文化の見直しや、朝鮮半島との交流を市民レベルで深めていこうという会です。

 

 

 手始めに、通信使の記録〈使行録〉に比較的詳しく記述が残された興津・清見寺や藤枝宿あたりの史料・史跡の見直しから始めようと、昨夜は、藤枝の小嶋良之さんの使行録調査の発表を聞き、聴講した興津自治会の皆さんに「次回はぜひ興津で研究会を」と呼びかけました。5月末には、雨森芳洲のふるさと滋賀県高月町に、貸し切りバスで視察に行く話も決まりました。

 

  

  天野一さんは「韓国の航空会社が静岡空港に早々に定期就航を決めたのは、静岡の人にとっては、重い荷物を持って成田や中部国際や関空へ行くより、いきなりソウル仁川空港を経由地として利用するほうが、時間も金額もほとんど変わりなく、しかも国際便の本数がはるかに豊富で、十分利用が見込めると考えているから。そんなグローバリズムのうねりの中にあることを考えれば、朝鮮通信使は過去を学ぶだけではなく、隣国との未来関係を考える貴重なきっかけになる」と言います。

 それを受けて、『静岡に文化の風を』の佐藤俊子さんも、「次世代の子どもたちに未来志向の国際交流を学んでもらう素晴らしいきっかけになる。そのためには、まず大人たちが、地元に朝鮮通信使との縁がいかにたくさんあるかを知る努力をしなければ」と力を込めます。

 

  

  自分が子どもを産んで育てるチャンスが、もはや、ほとんど残されていない私でも、少子化対策や朝鮮通信使関連のサポートをすることで、これからの静岡がどういう地域になってほしいかを考える資格があるんだ、と実感できた一日でした。