天空の蜂を読んでみました。
東野圭吾さんの本は結構好きでいろいろ読んでいます。特に「麒麟の翼」「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」など映画やドラマになりました。読んでも観ても面白い。
理系のエンジニアで勤務しながら書いていただけあって他の推理小説とは違った面白さがありました。
しかし「天空の蜂」は文庫本でも630pもあり本屋さんで中をペラペラめくってみても難しそうな原発の話であまり読む気がしませんでした。
ところが今度映画になったのでそれを観に行く前に読んでみました。
まあ登場人物が多くて閉口します。物語は朝5時に始まって15時には終わってしまいますがシーンがあっちこっちに飛びます。
しかし15年も前に日本の原発がすべて止まったらどうなるか、また政府はそんなことは絶対にさせないという主張、などよく考えられたなと思います。
新聞で「高速増殖炉」という言葉が良く出ていますが内容まで読む気がしませんでした。この小説ではわかりやすく書かかれていますよ。
高速増殖炉は、日本の商業用原発で採用されている軽水炉とは大きく違っている。その大きな違いは燃料だろう。
軽水炉は使われるウラン235という物質で、高速増殖炉ではプルトニウム239というものが使われれる。
なぜプルトニウムを使うのか。それはウラン235は天然ウランの中に0.7%しか含んでおらず恒久的に必要量を確保できる保証はない。
天然ウランの残り99.3%はウラン238という物質だが、これは殆ど燃料としては役に立たない。そして原発が増えウラン235が燃やし続けると75年で枯渇する。
プルトニウム239は自然界に全く存在しない。プルトニウム239はウラン238が中性子を吸収した時になり変わる物質でプルトニウム239なら燃料として使えるのだ。
「高速炉」・・・プルトニウム239を核分裂させるのに中性子の速度は落とさない。水の代わりに液体ナトリウムを入れてある。飛び交う中性子は高速のままです。一方従来の軽水炉で水の中ではウラン235を核分裂させるためには、燃料間を飛び交う中性子の速度を落としてやる。そして水が減速材になる。
「増殖」・・・・プルトニウム239の周りにウラン238を並べた状態で、原子炉の中で核反応を起こさせる。プルトニウム239は核分裂して、熱と高速中性子を出す。その中性子をウラン238が受け取ってプルトニウム239に変身する。最初にセットしておくウラン238の量を増やせば消費した以上にプルトニウム239は生みだされる。
つまり役たたずの99.3%のウラン238をうまく燃料に使用するかの技術です。
しかし福井にあるもんじゅもいろいろトラブル続きで、世界的にも研究が中止されていつみたいで能書き通りにはいかないみたいですね。
さて映画を観ました。
小説とは違った脚本になっていて(あたりまえですが)視覚を大事にしています。物語の進み方も早い。
ビッグB(超巨大ヘリコプター、この映画の主人公かも)から少年が救助される場面なんかはさすがに迫力があってドキドキします。映画なんです。
刑事が犯人を追いつめてアパートに行くと突然・・・はっとします。小説にはない場面です。
最後、このヘリコプターが海に墜落していく場面も見どころです。
映画化など絶対に不可能と言われていましたが堤幸彦監督が映像にしました。
堤監督はテレビなんかで観ていると映画監督という感じが全然しません。でも鬼才なんですよね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます