評価
再読(前回2019年2月13日)。
終戦後、進駐してきた連合国最高司令長官マッカーサーは日本統治の要として天皇の戦争責任免責を企図した動きをみせる。そしてマッカーサーが残した謎の符合とは?東京裁判を中心に、終戦前後の動きを見事にサスペンスタッチで描き出した猪瀬直樹渾身の傑作!
これは何度読んでも面白い!
明仁天皇が皇太子時代に進駐軍の急襲を恐れて疎開先の奥日光から会津方面への逃走を計画していた話。天皇存続へアメリカ世論を導くためのマッカーサーによるプロパガンダ。憲法起草に至るいきさつ。挙げるときりがないくらい、謎解きに引き寄せられる。そして、「そうなのか!?」と思わず唸ってしまう日付の符合。猪瀬直樹、実は凄い作家だったのです(笑)!
日付の符合とは、①昭和21年4月29日=天皇誕生日に、東京裁判でA級戦犯28人が起訴された②昭和22年5月3日=新憲法施行日。前年同日に東京裁判開廷③昭和23年12月23日=明仁天皇誕生日に、A級戦犯7人が処刑された
贖罪の思いを背負った明仁天皇は慰霊の旅を続けられた、と作者は締めくくるのであった。