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母校・盛岡一高や岩手のスポーツ情報、読書感想、盛岡風景などをお伝えします。

日本シリーズ

2020年11月20日 | その他のスポーツ
明日からの日本シリーズ、余裕で夕方からのスケジュール調整をしていたのだが、なっなんとっ、DAZNの中継がないことに気がついて、テレビなし人間の私としては「ネット速報眺めつつ読書!読書!」と固く誓った3連休前夜なのであった(泣)。

皇帝フリードリッヒ二世の生涯(上)再読ー塩野七生

2020年11月20日 | 読書

評価4

十字軍物語の第6次十字軍(1228年~1229年)にフリードリッヒ2世が登場して来たので、「生い立ちとどんな治政だったんだっけな~?」と、3月に読んだ本作を読み直し。見事なまでに、100ページほど内容がかぶっている。出版の順番からいって十字軍物語の内容をそのまま引用したということだろうが、読んだのがわずか8か月前だというのにすっかり失念していた自分に驚いた(笑)。

実は、この本で塩野七生作品のスタートを切ったのだったが、たぶん、その頃は何が何だかわからぬまま読み進んだものと思われる。ローマ人の物語、海の都の物語、十字軍物語を読み終わった今読んでこそ理解できることがたくさんあるからだ。「寛容」「税制」「ローマ法」「キリスト教」「異端」「海洋都市国家」などなど・・・

フリードリッヒ2世は中世ではルネッサンス的感覚の持ち主だったと言われてはいるが、所々で由緒正しき封建諸侯の出であることが垣間見られることも事実。いろいろな時代背景と周辺国の動向を縦糸・横糸にしつつ世界史を見つめて行く楽しみをジワリと味わいつつ下巻に向かう私なのであった。

十字軍物語(4)-塩野七生

2020年11月14日 | 読書

評価4

第6次から第8次を経て十字軍最後の砦アッコン陥落まで(1228年~1291年)。この時期の十字軍の主役はなんと言っても第6次の神聖ローマ皇帝フリードリッヒ2世!ローマ法王から2度の破門を受けたものの、イスラム側と講和を結び(1229年)エルサレムの一部地域を奪還した立役者となった。

しかしっ!この講和は、「イスラム側との共存を望まない」「血を流さない話し合い決着を認めない」ローマ法王はもちろん、キリスト教国側にすこぶる評判が悪かった。

第7次(1248年)、第8次(1270年)ともにフランス王ルイ9世が率いてエジプト、チュニジアに上陸するも、どちらも無残な結果と終わる。この後、イスラム側では強力な軍事力を背景としたマメルーク朝が台頭し、十字軍側は1291年のアッコン(事実上の十字軍国家首都)攻防戦で1万4千人対22万人の戦闘の末に敗れ、1099年の聖都エルサレム解放から192年後、ついにシリア・パレスチナの地からキリスト教徒は一掃されてしまうのだった。

この時代のキリスト、イスラムの怨念が今でも続いているような世界情勢になんとも言えない気持ちになりますね。根が深いです。次は今年3月に読んだ「皇帝フリードリッヒ2世の生涯」を再読してみようと思います。

ストーリー・セラーー有川浩

2020年11月13日 | 読書

評価3

会社勤めをしながら小説を書いていた女性と、その作品に魅せられその女性と結婚した男性との生活を伝える真逆の物語二話(女性が難病に罹って死をむかえる第一話と男性が死をむかえる第二話)まさにストーリテラー・有川浩ならではの作品!

第一話で女性が罹った「致死性脳劣化症候群」についてネットで調べたところ、さすがにそんな病気はなかった・・・女性のおばあちゃんのゴミ屋敷の描写が生々しくて臭いが漂ってくるようだった。2つの話を通して「こんな愛し方もあるのかなぁ~」と優しさを突き抜けた男性に感心するも、私はやっぱり、主人公女性の男気あふれるセリフまわしに魅せられたのだった(笑)。

十字軍物語(3)-塩野七生

2020年11月09日 | 読書

評価5

第3次十字軍から第5次十字軍まで(1190年~1221年)。
この間の主役はなんと言っても第3次十字軍の獅子心王リチャード!最高司令官となったリチャードはパレスチナ西岸の海港都市ティロス、アッコンを勝ち取り勢いはキリスト教側と思われたのだが・・・

エルサレム進攻を前にして、母国イギリス領がフランスに脅かされていることを知ったリチャードは、ヤッファの戦闘で10倍のサラディン軍を撤退に追い込んだことを持って講和を結び、パレスチナの地を後にしたのだった。

1192年の講和の内容は次の通り。
①エルサレムはイスラム側とするが、キリスト教徒の巡礼は認める
②パレスチナ西岸は十字軍国家領とする
③イスラム商人の十字軍国家との往来は認める

エルサレムの再復はならず軍事的には失敗で終わった第3次十字軍遠征ではあったが、リチャードとサラディンが交わした講和はこの後26年間続くこととなり、第4次、第5次十字軍の目的地はコンスタンティノープルとエジプトになるのであった。

ヴェネツィアの元首のエンリコ・ダンドロが活躍した第4次十字軍はコンスタンティノープルを攻略しラテン帝国成立(1204年)、第5次十字軍ではローマ法王代理の枢機卿・ペラーヨの妨害行為により(直接的な原因はナイル川の洪水)あえなくエジプトから撤退となる。

さてさて、ラストの第4巻には、神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ2世が登場!

しかし、イギリス王・リチャードかなり面白いヤツ(笑)。
いちいち挙げないが、思わず笑ってしまった場面が多々あった。だからこそ、今でも英国民に愛されているんでしょうね!リチャードだけを取り上げた本ってないんだろうか!?

アンネ・フランクの記憶ー小川洋子

2020年11月08日 | 読書

評価5

小さい頃「アンネの日記」を読み作家を目指したという小川洋子さんのアンネの足跡を訪ねる旅。フランクフルトの生家、アムステルダムの隠れ家、アウシュヴィッツを巡り、アンネの親友・ヨーピーさん、アンネ一家の恩人・ミープさんとの静かな語らいが涙をそそる。

芥川賞の選考委員も務める小川洋子さん(もちろん芥川賞作家)の静かな語り口が心に浸みる。アンネの一生の追体験をさせてもらいました。また「アンネの日記」を開いてみようと思います。