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有り金が、いつのまにやら、蒸発する(AIJ)

2012-03-03 20:17:44 | 編集手帳


  

  3月1日付 読売新聞編集手帳


  カリブ海を荒らし回った18世紀の海賊「黒髯(くろひげ)」は
  ケイマン諸島にも出没したという。
  〈この島はむかしから海賊を引き寄せてきたんだよ。
   むかしは『黒髯』。
   現代の海賊は、
   会社をつくって財産を隠す連中だ〉

  ジョン・グリシャムの推理小説『法律事務所』(小学館)の一節である。
  配当などの税金が極端に安い国や地域を「租税回避地」という。
  英領ケイマン諸島もその一つで、
  ときに企業の不正会計事件などで名前が出る。

  有り金が、
  いつのまにやら、
  蒸発する…の頭文字かどうか、
  「AIJ投資顧問」(東京)なる会社もひと皮むけば、
  背広を着た海賊の群れであったらしい。

  運用を委託されていた年金資産の大半にあたる約2000億円が
  ケイマン諸島経由で転々とした揚げ句に雲散霧消した。
  運用の失敗か、
  不正な流用もあったのか実態は不明だが、
  顧客をだましつづけたのは確かである。

  委託していたのは、
  多くが中小企業で働く人だという。
  波静かな海辺で人生の美しい夕映えを迎えるために、
  ひと粒いくらという汗を額に浮かべて工面してきたお金を、
  跡形もなく食い散らかす。
  むごい海賊がいる。
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日比谷公園 松本楼

2012-03-03 20:14:24 | グルメ



    

   http://www.matsumotoro.co.jp/
  地下鉄日比谷駅から徒歩1~2分



  日比谷花壇  
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森の力

2012-03-03 07:15:46 | 報道/ニュース


  2月26日 サンデーモーニング

  
  東日本大震災の大津波は
  家屋ばかりか分厚い防潮堤までも無残な瓦礫にしてしまった。
  三陸海岸を美しく彩っていた海岸沿いの松林も
  幹は折れ木は根こぞぎ倒された。
  ところが被災地の中でも特に被害が大きかった
  宮城県南三陸町の一角には1本のタブノキが生き残り、
  宮城県多賀城市のショッピングセンターのそばにある
  植林された木々も無事だった。
  実は生き残った樹木のほとんどが土地本来の常緑広葉樹。
  こうした樹木の森は中心となる気が地中深くまっすぐ根をはり、
  多くの木々が支えあうように成長するため
  災害に強いという長所がある。
  一方、マツは常に緑の葉をつけ枝ぶりも美しいことから
  “白砂青松”の美観が喜ばれ
  防災林として各地に植えられた。
  しかし、
  マツなどの針葉樹は根が浅く津波には耐えられなかったのである。

  古代からの自然の姿を伝え土地がはぐくんできた森を
  “鎮守の森”として崇め知恵としてきた日本人。
  ここ100年の歴史の中で森の力を確かめることが出来る。

  関東大震災(1923年)のときには、  
  岩崎庭園(現在の清澄庭園)のタブノキ、カシなどの樹木が
  猛火に迫られた約2万人が避難した約2万人を炎から守った。
  広島への原爆投下(1945年)の際は
  その猛烈な熱と爆風にもかかわらず
  爆心地から約2キロ足らずの碇神社にあるタブノキが生き残った。
  さらに阪神淡路大震災(1995年)でも
  土地本来の木が火災の拡大を食い止める火防木(ひぶせぎ)の役割を果たした。

  そして今、この樹木や森が持つ驚くべき力を生かして
  被災地の復興に役立てようとしている人がいる。
  世界各地の森林を調べ
  これまでに4千万本の木を植えてきた植物生態学者の宮脇昭さん。
  「家事・台風・津波に耐えて生き延びてきたふるさとの木による本物の森。
   何を植えてもいい訳じゃない。」
  土地本来の樹木による本物の森を育てて防波堤を作る
  “森の防波堤”プロジェクト。
  東北の太平洋沿岸300kmに森の防波堤を築こうというのである。
  そのもうひとつのねらいは、
  大震災で大量に発生した震災瓦礫の利用。
  瓦礫を砕き、土と混ぜて小山をつくり、
  そこに木を植える。
  単なる土よりも瓦礫を混ぜた土壌のほうが隙間があり、
  樹木の生育には都合が良いという。
  強固な防潮林を築くと同時に瓦礫を資源として有効に活用する。
  まさに一石二鳥である。
  植林して2~3年は草取りが必要だが
  その後は自然に成長し15~20年で豊かな森になる。
  成長した木々は深く根をはり、
  瓦礫を抱え込んで大地を押さえるため津波にも強いという。
  すでに宮城県岩沼市、岩手県大槌町などが前向きに検討。
  植林による被災地再生の動きは広がりを見せている。

  2月9日、国連森林フォーラムという組織が
  「フォレストヒーローズ」森林保護に貢献したひとりに、
  宮城県気仙沼市でカキの養殖に励む畠山重篤さんを選出した。
  かつて海が汚れカキがとれなくなった時、
  海は川の上流の森によって育てられていると気づいた畠山さん。
  それ以降、20年かけて植林をし海をよみがえらせた。
  その畠山さんは3,11の大震災では深刻な被害を受けた。
  「震災で海辺から生き物の姿が消えてしまった。
   しかし1ヶ月位したら海に魚たちが戻ってきた。
   以前にもまして海は豊かになっている。
   海に流れ込んでいる川と背景の森林がしっかりしていたから。」

  自然に生かされる日本人の原点がそこに見える。
  
  植物生態学者 宮脇昭さん
  「人間は科学技術を発展させても地球に生かされている限り、
   故郷の木による故郷の寄生虫の立場でしか生きて行けない。
   一番大事な命、2万人近い人の命を震災で失った。
   なくなった方の魂を敬い
   生き残った方が伝統的な“鎮守の森”のノウハウで
   未来志向で“いのちの森”をつくってもらいたい。」  
  
  
  
  

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