3月21日 おはよう日本
日本でほとんどの原子力発電所が停止するなかで
火力発電の燃料として天然ガスの利用が増えている。
しかし、安定確保が課題である。
それを解決すると期待されるのが“シェールガス”という新しい天然ガス。
埋蔵量は従来の天然ガスに匹敵。
アメリカではここ数年実用化が進み
かつてのゴールドラッシュのような盛り上がりとなっている。
アメリカ カリフォルニア州。
街道沿いの巨大なタンクは天然ガスを車に充填するスタンド。
今、アメリカではこうしたスタンドが次々と増えている。
このスタンドを建設した会社では現在260あるスタンドを
今後2年間で150増やす計画である。
大手の運送会社も天然ガス車の購入を進めている。
これまでのディーゼル車に比べて燃料代を20%以上も節約できるからである。
この会社は今年、天然ガスで走る大型トラックを100台近く新たに導入した。
大手運送会社広報担当者
「1ガロン(約4ℓ)あたり1ドルも節約できる。
二酸化炭素の排出も経ラスことが出来る。」
この数年、アメリカではシェールガスの生産量が急激に増加している。
従来の天然ガスとは異なりシェールガスは地価2000mから3000mにある
シェール層という地層に眠っている。
まず、硬いシェール(けつ岩)がある深さまで井戸を掘る。
そこに高い水圧をかけ、
地層に亀裂を入れ、
ガスを採掘する。
最近になって新しい技術が開発されたことで 大量の採掘が可能になった。
主要な産地のペンシルベニア州では、
かつてのゴールドラッシュさながらのブームが沸き起こっている。
開かれた就職説明会には全米各地の車のナンバープレートがあった。
2000人がシェールガスに関連した仕事を求めて集まった。
採用する側も全てシェールガスにかかわる企業。
合わせて35社で、掘削や運送など業種はさまざまである。
企業の採用担当者
「(シェールガスは)多くの仕事を生み経済を引っ張っている。」
シェールガスの情報を専門に扱うラジオ局まで登場した。
このラジオ局では、新たなシェールガスの採掘がどこで始まり
どれだけの働き手を求めているかなど細かな情報を伝えている。
この日は終わったばかりの就職説明会をすかさず取り上げていた。
Q.就職説明会の現場はどうですか?。
A.つかれましたよ。
35社が参加し良い人材を探していました。
郊外の農場では6年前、農地の一角でシェールガスを掘り当てた。
最初はトラクターなど農機具の燃料に使っていたが
その後、シェールガスブームに乗じて地元のガス会社に販売。
農家 リック・ペルコフスキーさん
「多くはないけどだいたい2万㎥をガス会社に売っているかな。」
北米に新たなビジネスチャンスをもたらしたシェールガス。
日本へ輸出しようという動きも進んでいる。
三菱商事が開発したカナダ西部の採掘現場。
三菱商事はこのガス田の採掘権利を2200億円で獲得。
提携相手の天然ガス開発会社が採掘作業を始めている。
将来の日本への輸出へ向けて液化天然ガスの設備などを作ることを検討している。
三菱商事の現地法人 相澤稔副社長
「日本に対してどういう形で貢献できるか。
エネルギーの安定供給を行なうことに対して私自身のプライドと
それをやれていることに対する喜びはすごく強い。」
シェールガスは北米や中国、オーストラリアなどで開発が進んでいて
世界で今後160年以上にわたって供給が可能な埋蔵量が推定されている。
日本にとってもこうした国から大量に輸入できるようになれば
エネルギーの調達先の多様化にもつながる。
ニューヨークの原油市場では緊張が高まるイラン情勢などを背景に
このところ上昇傾向が続き、
20日は原油1バレル105ドル台と依然高い水準での取り引きとなっており
シェールガスの供給がエネルギー価格低下の期待も集まっている。
ただシェールガスの開発には大量の水と化学物質を使う。
世界各地で開発が進むなか、
環境に配慮しながら開発を進めていくことが課題になる。