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中国漫画市場に日本から進出

2012-03-25 15:35:35 | 海外ネットワーク


  3月17日 NHK海外ネットワーク


  中国で漫画の人気が急速に高まっている。
  漫画・アニメを合わせた市場規模は約100億円。
  国を挙げて漫画家の育成も始まっている。
  日本の出版社も中国へ進出しようと動きを加速させている。

  北京で開かれた漫画とアニメのイベントでは
  同人誌などを買い求めるため人が集まり、
  会場には日本と同じようにアニメのキャラクターに扮した人もいる。
  中国の漫画は子供向けが多く、
  日本の漫画のほうが面白いという声が聞かれた。
  
  「中国の漫画はまだまだです。
   日本の漫画はストーリーが充実して若者も大人も楽しむことが出来る。」

  中国政府は日本など外国の漫画の出版を制限する一方で、
  自国の漫画家の育成に力を入れ始めている。
  
  国立の専門学校で漫画やアニメを学んでいる朱宇辰さんは
  政府から奨学金をもらっている。
  その腕前は日中友好の演出に使われるほどである。
  朱さんの描いた温首相と鳩山元首相の似顔絵は
  今年、温首相が来日した際日本側にプレゼントされた。
  朱さんは、いかに面白いストーリーを考えるかが
  これからの中国漫画の課題だと感じている。

  朱宇辰さん
  「中国は絵がうまく描ける人はすごくたくさんいますが
   魅力的なストーリーの漫画は少ないです。」

  中国市場へ日本の出版社の参入が始まっている。
  東京の大手出版社は北京に事務所をつくり
  5月に新漫画雑誌の創刊を目指している。
  創刊号に登場するのが小学校を舞台にしたSFものや
  いわゆる“萌えキャラ”が登場する作品など、
  小中学生をターゲットにヒット作品を生みだす狙いである。

  講談社中国事業室 三瓶久永部長
  「大きな市場が待つ中国だから人気作品を作ることが出来れば
   大きなビジネスになる可能性にかけている。」

  この出版社が切り札と考えているのが
  「日本流」の漫画作りである。
  日本で漫画の月刊誌の副編集長を務めている竹田哲也さんを
  創刊号で連載を担当する漫画家の李雷雷さんが訊ねて来た。
  日本流の漫画作りの秘訣は、
  編集者が漫画家と話し合いながら
  面白いストーリーを考えていく共同作業である。
  李さんが創刊号で発表するのは
  伝説の龍をさがして主人公が旅を続ける冒険漫画。
  この日、話し合われたのは主人公とヒロインの女性が出会う大切な場面。
  ヒロインがペットにしている怪物を使って
  主人公からお金を脅し取ろうとする。
  ヒロインは孤児を養うためお金が必要だった。
  漫画家 李さん
  「ヒロインはお金を貧しい人に与えるためにやっているので悪人ではない。」
  講談社 竹田さん
  「そこがキーかと思って
   そこの話を少し広げたい気がした。」
  
  李さんのもともとのストーリーは
  ヒロインが自ら怪物に主人公を襲わせ金を奪うという設定だった。
  竹田さんは、
  もう一人悪者を登場させてはどうかと提案した。
  住む村が悪者に支配されヒロインがやむなく旅人を襲い
  それを知った主人公が悪者を退治する、
  よりドラマチックなストーリーを考えた。
  
  漫画家 李さん
  「時間は長くかかるが
   打ち合わせをすることでストーリーに新しいアイデアが出てくる。」

  それから10日余、漫画の原案が出来上がったと連絡があり、
  竹田さんは出来上がりの確認に300キロ離れた山東省に向かった。
  ストーリーは打ち合わせどうり変更され、
  主人公とヒロインが出会うシーンも完成していた。
  しかし竹田さんが気になる点があった。
  怪物を倒すクライマックスの場面で
  「伝説の龍の力で俺の力も上がってきている。」
  主人公が秘密をセリフで明かしてしまったというのである。
  そのセリフは削ることにした。
  
  漫画家 李さん
  「日本の編集者に見てもらうことで絵もずいぶん見やすくなった。
   作品全体が良くなっている。」

  講談社 竹田さん
  「読者の視点になるというのが一番だと思う。
   それが今までの中国の漫画作りの中で
   一番抜けているポイントかもしれないので
   それを打ち合わせで提供できると
   もっともっとすごい漫画が中国には出来上がるのではないかと思う。」

  日本流のノウハウで巨大市場中国の読者を魅了することが出来るのか。
  日本の出版業界の新たな取り組みが始まっている。




  
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