3月21日 おはよう日本
“絶世の美女”とうたわれ、
時の皇帝から寵愛を受けた楊貴妃が
永遠の美しさを手に入れようと食べていたのがライチ。
このライチにかわって
現代の女性たちの願いを叶えてくれるかもしれないのは数式。
大手化粧品メーカーではこの数式を使って
千年以上にわたって謎とされてきた肌の老化原因を解明しようとしている。
資生堂ではこれまではさまざまな年齢の肌の細胞を使って
実際に実験や観測を繰りかえすなかで開発してきた。
肌の老化はひとつひとつの細胞が複雑に作用しあって起きることがわかっている。
しかし、具体的にどのように影響し合うのかは明らかではない。
そのため老化を根本的に防止するような商品の開発は難しいのが現状である。
この状況を打破しようと取り入れたのが数学。
数学者は数式で理想の肌を表現することが出来ると指摘した。
研究ではまず生まれてすぐの赤ちゃんの肌を分析。
細胞ひとつひとつの分裂や減少するスピードなどのデータを組み合わせて
理想の肌を数式化することにほぼ成功した。
さらに同じ手法で大人の肌の数式化にも取り組んでいる。
赤ちゃんの肌と大人の肌の数式を比べ、
老化の原因を特定できれば
理想的な肌をつくりだす夢の商品への手がかりをつかむことになる。
資生堂 主幹研究員
「(肌の老化の)メカニズムがわかっっていた方が
そういう製品や手法を作っていけると思う。」
数学を産業に生かそうという動きは国も推進している。
九州大学マス・フォア・インダストリ研究所では去年、
国の支援を受けてアジアで初めて数学を産業に応用する研究所を設立した。
日立製作所、NTT,三井造船、東芝、宇部興産、DIC、日本IBMなど
製造業を中心に日本を代表する企業から
共同開発・製品開発などの申し込みが殺到している。
研究所所長 若山正人さん
「産業 企業の方たちと色々なテーマで共同研究を始めて
数学のパワーに気づいた会社もある。」
広島 府中市のマツダ技術研究所では
次世代のエンジンを開発するために
数学者の目良貢さんを正社員として採用した。
エンジンの性能はひとつひとつ部品を動かすタイミングによって決まる。
まず、目良さんはそれぞれの部品の動きや働きを数式に置き換えた。
さらにそれらを組み合わせてひとつにまとめてエンジンの数式化に成功した。
この結果、
今まで1週間かけて実験を繰りかえすしかなかったエンジンの性能分析が、
数式で最適な答えを導くことでわずか20分になった。
メーカーでは数式を使って今後、画期的なエンジンを作り出したいという。
マツダパワーソースシステム研究長 中川正さん
「もっと燃費の良い車の実現に彼がいるからこそ取り組める。
そういう期待を持っています。」