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大国が動く3日間 (3)スーパーチューズデー

2012-03-06 06:36:13 | 海外ネットワーク


  3月3日 海外ネットワーク

  6日火曜日はスーパーチューズデー。
  11の州で共和党予備選挙が行なわれる。
  4年前はスーパーチューズデー直後にマケイン氏の勝利が決まったが、
  今回は州の数が半分の11と規模が小さい上、
  毎回勝者が変わる混戦となっていることなどから
  候補者が決まるにはさらに時間がかかるという見方が強まっている。
  背景には選挙戦を大きく様変わりさせた巨大な資金の動きがあった。

  銃を抱えているのはロムニー氏のそっくりさん。
  標的はライバルサントラム氏である。
  これはサントラム陣営がロムニー氏側からの中傷攻撃を皮肉ったコマーシャル。

  アメリカ大統領選挙の候補者選びは中傷広告が急増している。
  その理由は2年前の最高裁の判決にあった。
  大統領が辞任に追い込まれたウォーターゲート事件(1974)をきっかけに
  アメリカでは1970年代から政治と金の関係が厳しく問われ
  特定候補者を支援する政治団体への個人献金は
  年間5,000ドルに制限されてきた。
  ところが2年前、最高裁判所が言論の自由を根拠に
  “献金の制限は憲法違反”という判断を示し、
  法律が改正されて上限が無くなった。
  その結果、新たに誕生したのが
  スーパーPAC(特別政治活動委員会)とよばれる政治団体である。
  大富豪や企業から数億円単位の献金を集め、
  特定の候補者のために大量広告・宣伝が可能になった。
  スーパーPACの存在は
  大統領選挙の戦い方に劇的な変化をもたらしたと言われている。
  その威力が発揮されたのが1月末のフロリダ州での予備選挙だった。
  ロムニー氏を支持するスーパーPACが豊富な資金を使って
  1万3,000回のテレビ広告を流し、
  ロムニー氏は一時の劣勢を跳ね返し勝利を収めた。
  広告の96%がギングリッチ氏らを攻撃する内容だった。
  ワシントン・ポストによれば
  今回、共和党候補者が批判広告に費やしたのは1,960万ドル。
  4年前の6倍近くに及んでいる。
  
  対するオバマ大統領は
  これまでスーパーPACの資金集めに反対の態度を示してきた。
  ところが先月初め、オバマ陣営選対責任者が支持者に送った、
  スーパーPACの資金活用を決定するメールが関係者を驚かせた。
  4年前の大統領選挙では
  インターネットを使って1人平均55ドルという小口の献金を集め、
  草の根の選挙運動を展開したオバマ大統領。
  方針を突然転換した背景には
  ライバルの有力候補たちがスーパーPACで
  巨額の資金を集めていることへの危機感があった。
  オバマ陣営が方針転換をする直前の1月末の時点で
  オバマ大統領を支持するスーパーPACが集めた資金は450万ドル。
  3,680万ドルのロムニー氏のわずか8分の1にとどまっている。
  今週オバマ大統領は全米自動車労働組合の大会に出席した。
  自らの景気刺激策でGMが新車販売台数で世界一を奪還するなど
  自動車産業を復活させたと強調。
  共和党のロムニー氏を激しく批判した。
  ロムニー氏がかつて公的資金の導入に反対し、
  “デトロイトを倒産させろ”
  という署名記事を書いていたことを引き合いに出した。
  オバマ大統領を支持するスーパーPACも大統領と歩調を合わせるように
  ロムニー氏を攻撃するコマーシャルを流し始めた。
  現職の大統領もスーパーPACを使った中傷合戦に加わるのかと
  ホワイトハウスでは質問が相次いだ。

  大統領選挙まで8ヶ月。
  スーパーPACの誕生で今回の大統領選挙では
  史上最高の20億ドルが費やされるとみられている。
  景気の低迷で多くの国民が失業し生活が苦しい中、
  巨額の資金が大統領選挙の行方を大きく左右しようとしている。

  民主党との激しい党派対立に加えて
  共和党内部でも中傷合戦が繰り広げられていることを嘆く声が多い。
  こうした対立を批判してきたオバマ大統領までこれに参戦したことに
  支持者からも失望の声が出ている。
  スーパーPACの誕生で
  少数の大富豪や企業が選挙戦の行方に大きな影響力を持つことになり
  アメリカの民主主義が
  ウォーターゲート事件前に逆戻りしたのではという懸念が出ている。
  その一方で激しい選挙戦においては
  候補者のスキャンダルが人々の興味を引くのも事実である。
  スーパーPACには否定的な評価がある反面、
  効果はばつぐんという現実が中傷合戦に拍車をかけている。  
   

  


  
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