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ロシア制裁にジレンマ 揺れる英国

2014-04-16 08:00:00 | 報道/ニュース
4月8日 キャッチ!


ウクライナ情勢をめぐって欧米とロシアは
互いに政府の高官や政治家に対する資産凍結や渡航禁止などの制裁を科すなど対立を深めている。
EUヨーロッパ連合は表向きアメリカと足並みをそろえてロシアに対して厳しい制裁を行う姿勢を示しているが
アメリカよりもロシアとの経済的な結びつきが強いヨーロッパでは
さらなる制裁の実施にはジレンマを抱えている。

ウクライナのクリミア自治共和国の住民投票を間近に控えた3月中旬
ロンドンでロシアとの経済交流を促進するセミナーが開かれた。
市場を開放し新興国マネーを取り込むことで景気を支えてきたロンドン。
特にロシアの投資家からは大きな注目を集めてきた。
セミナーで演壇に立ったのがロシア人のイェフゲニー・チチバーキンさん。
6年前 所有していたロシア最大の携帯会社を1,200億円余で売却。
家族とともにロンドンに移り住んだ。
一昨年 ロンドンでも最も地価が高い地区に投資しワインショップをオープン。
比較的安いワインから世界中の年代物の高級ワインまで幅広い品ぞろえが自慢である。
主に富裕層などに販売している。
「これはいくらですか?」
「12万ポンドです。(約2,000万円)」
チチバーキンさんはロンドンはロシアに比べて安全な投資先であることに加え
子どもに質の高い教育ができる点も大きいと考えている。
(イェフゲニー・チチバーキンさん)
「ロシア人はロンドンを快適だと感じているよ。
 ここは世界中で最も楽しい街さ。」
加速するロシア人によるロンドンへの投資。
100万ポンド(約1億7,000万円)以上を投資する外国人に対して
イギリス政府が発給するビザのうち
4分の1をロシア人が取得している。
投資先として人気なのが不動産である。
ロシア人の平均購入価格は630万ポンド(約10億円超)。
高級物件を扱う不動産会社は
ロンドンでも地価が高いメイフェアやナイツブリッジといった地区がロシア人に人気だと言う。
(不動産会社 担当者)
「3ベッドルームと高い天井
 好みのデザインが施してあります。
 こういった物件がロシア人には好まれています。」
ロシア人たちの投資はロンドンの不動産価格を押し上げていると言われるほど存在感が大きくなっている。
(投資アナリスト)
「ロシアのビジネスマンや政府がロンドンへ大量に投資をしている。
 ロシアからの投資のおかげで不動産価格や株価などが上昇している。」
3月上旬に明らかになった政府の内部文書。
なかには“ロンドンの金融センターをロシア人に対して閉ざすべきではない”の一文。
イギリス政府がロシアマネーを流出させないよう
ロシア人投資家らを金融市場から締め出すような制裁を取るつもりはないとの本音を明らかにしたのである。
ロシア人投資家にとってロンドンは今後も安全な投資先と考えられるが
金融市場では異変がすでに起きている。
ロシア国営金融機関が欧米からの規制強化を恐れ
資金の調達先をアジア市場にシフトし始めたのである。
こうした動きが本格化すれば
シティでも存在感が大きいロシアの金融機関による取引が減少し大きな打撃を受けかねないと言う。
(大和総研ロンドン 菅野泰夫氏)
「ロシアがアメリカ・EU諸国にこれ以上頼れないとすれば
 エネルギーに対する資金がシティーやウォール街を介さずに行うと
 影響は大きい。」
シティーでは欧米とロシアの対立の深まりがイギリスだけでなく
世界の金融市場の波乱要因になるという懸念が出始めている。
(金融専門家)
「制裁が進めば市場は大混乱します。
 最悪のシナリオは政治の安定を脅かすような予期せぬ事態が起きることです。」

国際秩序を維持するための制裁の発動か
経済の安定か
イギリス政府はそのはざまで大きく揺れている。
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