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春と秋の乾通り

2014-04-19 22:15:00 | 編集手帳
4月13日 編集手帳

皇居周辺の桜と言えば、
千鳥ヶ淵のソメイヨシノを思い浮かべる方も多いことだろう。

お濠(ほり) 端に一斉に咲き誇る姿は豪華絢爛 、
とりわけ国立戦没者墓苑近くの桜のトンネルは見事だ。
その凛々(りり)しい姿は、
散華を覚悟した武人のイメージと自(おの)ずと重なる。

これに対し、
天皇陛下の80歳の傘寿を記念して先日一般公開された皇居・ 乾(いぬい)通りの桜並木は、
趣を異にしていた。
混雑がピークを過ぎた最終日に歩いてみたが、
ソメイヨシノのほかヤマザクラやアカマツ、
イロハモミジなどが混在し、
ゆったりとした春の時間が流れていた。
千鳥ヶ淵のような張りつめた感じはない。

侍従長などとして長年、昭和天皇に仕えた入江相政さんの著書によると、明治時代に宮殿を造営する際、全国から献木があり、残った木をこの沿道に植えたという。「雑然と、なんの気取りもなく植えられた並木だけに、ここを通るのは楽しい」と入江さんは述べている。

乾通りのコースの右手には江戸城の急峻(きゅうしゅん)な石垣、
左手には緑深い吹上御苑が望まれる。
この“気取りのない名所”は、
秋の紅葉シーズンにも公開されるという。
楽しみに待ちたい。
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