11月9日 BIZ+SUNDAY
高齢化が進む日本では老人ホームなど高齢者用施設の不足が大きな問題になっている。
その解決策の一つとして期待されているのがヘルスケアリート。
不動産投資信託の一つで老人ホームなど供給する資金を市場を通じて広く集めようというのである。
高齢者施設に特化して投資するヘルスケアリート。
初めて東京証券取引所に上場された。
大和証券グループの資産運用会社が作ったこのリート。
上場で一般の投資家にも販売できるようになりより多くの資金を集められるようになった。
リートの運用会社は市場を通じて投資家から資金を集め介護事業者が運営する高齢者施設を買い取る。
介護事業者は施設の運営に専念。
賃貸料を運用会社に支払う。
運用会社はこの賃貸料から投資家に収益を分配する。
大阪府豊中市にある介護付き老人ホーム。
施設をリートに売却しその利益で新たな施設を造ろうと考えている。
(介護事業者 茶^無・ケア・コーポレーション 下村隆彦社長)
「現在 9つのホームを自前で所有している。
これも順次売却しながら新しい案件の資金に充当する。」
リートの運用会社は投資する施設を選ぶにあたってサービスなどを厳しく審査する。
サービスが悪ければ入居率が低下し賃貸収入が減る恐れがあるからである。
(リート運用会社)
「1人の入居者に対してスタッフの方は何名ぐらい付かれるのでしょうか。」
(介護事業者)
「この浴室であれば2人のスタッフがいますので安全面に配慮して
1人は必ず見守りにつくような体制で。
1人はお風呂上がりの準備であったり。」
(リート運用会社 大和リアル・エステート・アセット・マネジメント 大村展弘シニア・マネージャー)
「運営がうまくいかなくて将来的に支払いが出来なくなる事態は避けなければならない。」
リートの運用会社に高齢者施設を売るのは介護事業者だけにとどまらない。
不動産会社も運用会社という新たな買い手が登場したことで施設の建設に積極的になった。
持ち込まれたのは神奈川県にある2千坪の土地に関する案件。
分譲マンションを建設する計画だったが老人ホームへの変更を検討している。
(総合地所 不動産開発事業本部 井上理晴副本部長)
「これからシニアの方の住宅というのは大事。
今回大きなチャンスかなと思っている。」
リートの運用会社では現在約130億円規模の投資額を
3年後には1千億円にまで拡大したいとしている。
(大和証券グループ本社 日比野隆司社長)
「大変なスピードで高齢化社会に突入していくと。
高齢者向けの施設が絶対的に不足している。
ビジネス機会としてかなり大きなものが期待できる。」