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期待集まる“医療”の輸出

2014-11-18 07:30:00 | ビズ プラス

11月9日 BIZ+SUNDAY


平均寿命が世界で一番長い日本。
手術の技術や質の高い医療サービスは国際的にも高い評価を得ている。
政府は医療の海外展開を成長の柱に掲げ
2020年までに海外での市場を今の3倍の1,5兆円に増やそうとしている。
新興国を中心に病院などの拠点をつくり医師を送り込んで医療機器や医薬品を輸出。
日本の医療を産業としてとらえ国際競争力を高めようというのである。
これまで厚生労働省は医療法人の海外展開を正式に認めていなかったが
今年3月方針を転換した。
“本来業務に支障のない範囲内であれば医療法人の海外展開を認める”としたため
医療の海外展開が本格的に始まった。

1人当たりのGDPが5万ドルを超え富裕層が多く住むシンガポール。
中心街にあるホテルのような建物は富裕層が多く通う巨大な病院である。
日本と違うのは病院の中にたくさんクリニックがあること。
病院には専門医によるクリニックが150以上設けられ患者の診察にあたっている。
去年ここに大手商社の三井物産が日本の医療グループと共同で経営するクリニックが出来た。
送り込んだのは高度な手術が行える医師4人。
日本の医療技術の輸出である。
医師の専門は生体肝移植。
重い肝臓病を患った人たちなどを救う世界でも最先端の医療である。
(木内哲也医師)
「日本で生体肝移植が始まって25年近くたって
 同じように東南アジアの国々や他の国々でも生体肝移植を体験できるように手伝いが出来たらいい。」
このクリニックで移植手術を受けた1歳10か月のランド・シルセックちゃん。
生体肝移植の手術費用は一般的に約1千万円。
それでも両親は日本の高い医療サービスに満足している。
(父親)
「医療サービスはとても素晴らしい。
 すべてのケアの質が高い。
 治療の進展についても誠実に説明してくれて
 術後のケアが特にすばらしい。」
クリニックを経営する三井物産はアジアの医療関連市場は年間80兆円と見込んでいる。
今後3年でこうした事業を中心に利益を3倍に拡大するのが目標である。
(三井物産 齋藤雅文さん)
「日本の医療に対する評価はきっちりとある。
 生体肝移植は高度なものを持っているが
 それ以外でも日本の高度船体医療はあるので研究して分野の広がりを考えていきたい。」
病院を丸ごと輸出しようという動きも起きている。
東京八王子にある病院。
地域の中核病院として年間2000件以上救急患者を受け入れている。
国が支援する初めての病院丸ごと輸出。、
1年後 カンボジアでの救命救急病院の開業を目指している。
プロジェクトでは医師や看護師を送り込むだけでなく
医療機器・さらにはリハビリや衛生管理のノウハウなども丸ごと輸出したいと考えている。
(医療法人社団KNI 北原茂実理事長)
「我々がやっている仕事は日本のショールームを作ること。
 ものだけではなく心。
 日本人の物の考え方・理念。
 医療がきちんとした目的と理念を持っていればお金を回していくことができる。」
病院丸ごと輸出に大きな期待を寄せているのが医療機器メーカー。
売り上げが国内トップのテルモ。
心不全や心筋梗塞の治療に使われるカテーテル。
金属のワイヤーを血管に入れてつまった部分を広げる。
病院丸ごと輸出をきっかけにカテーテルの技術指導を進め 拡大につなげたいとしている。
(テルモ 佐藤慎二郎取締役 上席執行役員)
「日本の医療水準やドクターの技術に信頼とかブランドに対するあこがれがある。
 そうしたイメージと我々の医療の技術を組み合わせて
 新興国に持っていく売り出していくことが非常にプラスになると思っている。」
清掃業者も期待を寄せている。
院内感染を防ぐ衛生管理の技術を輸出できないかと考えている。
また管理栄養士が作る病院食も海外に売り込むことができる。
さらに出版社にもビジネスチャンスが。
医療用語の翻訳ソフトを使ってほしいというのである。
「カンボジア語(クメール語)に置き換えれば勉強に使っていただけると思っている。」
(メディカ出版 長谷川素美社長)
「国内市場はだんだん収縮してきているから
 どんな小さな会社でも外に出ていかなければいけない。」
動き始めた“病院丸ごと”輸出。
産業としての広がりが見え始めている。
(医療法人社団KNI 北原茂実理事長)
「医療というのはきちんとしたことをすればいくらでも利益を生むはず。
 本当は医療は稼げる産業。
 医療が稼ぐことによって金が回る。」



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