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低迷するユーロ経済 何が起きているのか ①ギリシャ ドイツ フランス 

2014-11-28 07:30:00 | ビズ プラス

11月16日 BIZ+SUNDAY


単一通貨ユーロは15年前に導入された。
通貨が生まれた背景にはヨーロッパの苦難の歴史がある。
今から100年前には第一次世界大戦。
そして第二次世界大戦と戦火に見舞われたヨーロッパ。
ベルリンの壁崩壊のあと二度と戦争を起こさないためにひとつのヨーロッパをめざし通貨を統一したのである。
ユーロを導入している国は18
人口は3億3500万人にのぼる。
ユーロ圏の成長率は
15年前のユーロ導入のあとプラス成長が続いていたが
2009年のリーマンショックをきっかけにマイナスに落ち込み今も低成長から抜け出せずにいる。

ギリシャ危機から5年たったアテネ。
今も深刻なデフレが続き失業率は約25%。
経済の低迷が続いている。
夫が病気の妻を看病しながら日雇いの仕事を続けてきた一家。
しかし仕事が激減し電気代が払えなくなった。
(妻 エレフセリアさん)
「原始時代のような暮らしでしょう。
 子どもはろうそくの明かりで勉強しなければなりません。」

ユーロ圏各国の経常収支をみると
ドイツの黒字がひときわ目立つ。
なぜドイツは巨額の黒字を積み上げることができるのか。
原動力は高い競争力を持つ輸出企業である。
3Dの鮮明な画像を広告に使う技術を開発した会社。
ヨーロッパ各地に販売している。
(広告機器メーカー社長)
「ヨーロッパに積極的に売り込んでいる。
 とてもうまくいっている。」
ドイツはユーロ導入によって為替リスクのない巨大な市場を手に入れ輸出を伸ばしてきた。
(ドイツ商工会議所 チーフエコノミスト アレクサンダー・シュマンさん)
「マルクを使っていたら輸出企業は大変だった。
 ユーロはドイツ経済を成功に導いた。」
そのドイツに財政出動による景気刺激策をとってほしいという声がいま各国から上がっている。
(フランス オランド大統領)
「ドイツのような黒字の国はもっとお金を出すべきだ。」
財政出動によってドイツ経済が成長すればほかの国の経済の底上げにもつながると期待しているからである。
しかしドイツは財政出動には慎重である。
(ドイツ メルケル首相)
「ドイツ政府は借金をしてまで投資を行う必要はないと考えている。」
ドイツが慎重な姿勢を崩さないのには理由がある。
25年前 東西統一を果たしたドイツ。
旧東ドイツの支援に多額の資金が必要となり経済が悪化した。
このため雇用制度の改革など痛みを伴う構造改革に取り組み経済を立て直したのである。
こうした経験から安易な財政出動に頼るのではなく
ユーロ圏の国もまず構造改革を行うべきだ
と訴えている。
(ドイツ メルケル首相)
「財政規律を守りながら競争力を高める努力が必要だ。
 そうしなければ経済的な苦境から抜け出せない。」

そんなドイツをこれまで説得してきたのがもう一つの大国フランスである。
ギリシャ危機の時には当時のサルコジ大統領とドイツのメルケル首相とが協力して事態の収拾に奔走。
その姿からメルコジと呼ばれるほどだった。
しかしフランスにはいま当時のような影響力は無い。
労働者を手厚く保護する政策が企業の競争力を失わせ景気の低迷が続いているからである。
フランス北部にある商品のラベルを作っているメーカー。
国の政策に従いこれまで大規模なリストラなど行ってこなかった。
そのため経営の効率化が進まず新たな分野に進出することもできないと言う。
(ラベルメーカー社長)
「ドイツは改革がうまくいったが
 フランスは硬直しきっている。
 ぎりぎりの状態。」
(労働音大に詳しい弁護士 パトリック・ティーバーさん)
「企業が活動しやすいように雇用に関する法律を変えなければ
 フランスから仕事が失われ企業も破綻してしまう。」
他国の支援には距離を置くドイツ。
影響力が低下するフランス。
低迷するユーロ経済を打開する道筋はいまだ見えてこない。
 


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