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中国“ネット言論”規制の実態

2017-05-04 07:15:00 | 報道/ニュース

4月11日 国際報道2017


7億人を超えるネットユーザーを抱えるネット大国中国。
2011年7月の高速鉄道の脱線転落事故では
国際的な笑い話だ
証拠の車両を埋めてどうやって調査するんだ
報道が規制されるなか
中国国民がネットを通じて声を上げた象徴的な出来事となった。
ところがいま
政府に批判的とみなされた書き込みが次々と削除。
ネット上の発言の規制が強化されている。
習近平指導部が
政権批判につながりかねない世論の動きに敏感な姿勢を見せている。
なかでもしめつけを強めているのは
都合の悪い情報が不特定多数に一斉に拡散することもあるネット上の言論である。
もともと中国では
政府に都合の悪い情報にアクセスできないよう
インターネットの利用が制限されている。
取り入れられているのが
「グレート・ファイアウォール」と呼ばれるシステム。
ツイッターやYouTube   
海外の一部メディアへの接続を遮断している。
欧米からは
国境を超えた自由な情報のやり取りを確保すべきだとの批判があるが
これに対して習近平指導部は
「ネット主権」という概念を提唱している。 
“インターネット空間にも国家主権がある”というもので
治安維持などの観点から
ネット規制を正当化している。
さらに6月に施行される予定の「インターネット安全法」では
テロなどの国家の安全にかかわる事態が起きたと政府が判断した場合
特定の地域のインターネット通信などを制限できると明文化されている。

北京の人権派弁護士 陳建剛さん。
ネットの書き込みで罪に問われた人の弁護を担当している。
(人権派弁護士 陳建剛さん)
「言論の取締りはどんどん速く厳しくなっています。」
いま陳さんが最も心配しているのは
弁護士仲間の謝陽氏である。
おととし
中国全土の人権派弁護士の一斉摘発の際に拘束された。
そして去年12月
「国家の転覆を先導した罪」などで起訴されたのである。
起訴状によれば
“政府に批判的な言論をウェイボーを通じ1万人以上に向けて発信した”とされている。
しかし陳さんと面会した謝氏は
“庶民の権利を守るために活動し自由に発言しただけで国家転覆の意図などなかった”
と話したという。
(陳建剛さん)
「言論は自由であるべきです。
 政治的な迫害を受けるべきではありません。
 このような罪を着せられる人はどんどん増えています。」
さらに謝氏は
「警察から全身を殴られ
 40時間あまり眠らせてもらいえないなどの仕打ちを受けた」と打ち明けた。
陳さんはこの面会記録をネット上で公開した。
ところが記事を読もうとすると
表示できなくなっていた。
当局に削除されたのである。
さらに3月
国営メディアのニュースに登場したのは拘束されている謝氏。
(謝陽氏)
「1日9時間は眠っています。
 十分ですよ。」
本人を登場させて
ネットで広まった情報を全面的に否定したのである。
これを見てNHK取材班が陳さんに連絡してみると
ついには謝氏と面会も出来なくなってしまったという。
(陳建剛さん)
「政府の目的は真相の隠蔽です。
 私自身もいつ捕まってもおかしくない危険な状況にあると思っています。」
強まるネット上の言論の管理。
NHKが取材を進めると
習近平指導部のもとで着々と進む規制強化の動きが明らかになってきた。
地方政府の宣伝部門の関係者が匿名を条件に取材に応じてくれた。
この人物によると
習近平指導部が発足したあと
各地方政府ではネットの書き込みなどを管理する部署の設置が本格化したという。
(地方政府 宣伝部門関係者)
「各地方政府の宣伝部の下に管理部門があります。
 予算は毎年増えていて
 相当な力の入れようです。」
担当部門は24時間体制で問題のある書き込みを検索。
警察など他の機関でもこうした活動が行われ
人海戦術でマイナスの書き込みを見つけているという。
さらに
逆に当局にプラスの書き込みを行い
世論を誘導する担当も置かれている。
地方政府に対する市民の批判がネット上に広がれば
中央政府に責任を追及され
出世にもかかわる。
地方政府にとってネット世論の対策は
いまや最重要の仕事の1つだという。
(地方政府 宣伝部門関係者)
「毎日その日のネット世論の動向を総括しなければなりません。
 以前はそこまでではありませんでしたが
 上層部に毎日報告を上げるのです。
 マイナスの世論が全国に広がれば
 上層部が処分される可能性もありますから。」
さらに
問題の書き込みをいち早く見つけるための技術開発も進んでいる。
キーワードに応じて
インターネットの書き込みの中から自動的にマイナスのものを抽出することができるソフト。
民間の会社が開発した専門ソフトの体験版を使ってみると
混乱や騙し
煽りなど
マイナスの意味を持つキーワードに反応しているとみられる。
転載の数や
どこのソーシャルメディアに書き込まれたものかなどを迅速に判別し
効率的に対応できるとアピールしている。
各地の政府や警察部門を顧客にしていると
堂々と宣伝する会社も出るほどで
はば広く活用されているとみられる。
ネット利用者に重くのしかかる政府の規制。
その基準がはっきりしないことも不安を駆り立てている。
学校の職員として働く傍ら
1万人以上のフォロワーを持つ人気ブロガーの楊飛さん。
最近は先所される文章の範囲が格段に広がっているという。
楊さんが投稿した
中国のインターネット管理の現状を分析した文章。
政府への鋭い批判は避けたものだが削除された。
サイトの管理会社から具体的な説明はない。
もはや発言自体を控えざるを得ないという息苦しさを感じているという。
(市民ブロガー 楊飛さん)
「みな戸惑っています。
 何を掲載していいのか
 何なら閲覧できるのか
 わかりません。
 これが法律とはとても言えません。
 政府はやりたい放題です。
 私も周りの人も
 ネットユーザーは皆厳しい状況をひしひしと感じています。」




 

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