4月16日 経済フロントライン
4月8日に開かれた企業と学生が面談するイベント。
待ち構えるのは企業の採用担当者ではなく
学生である。
企業側が興味のある学生のところに行って話を聞く。
売り手市場を背景に広がる“逆求人”である。
(学生)
「僕は100%のものを出しましたと言えること
仕事を自分のものとしてやること
すごく大事だなって。」
学生は学歴やスキルなど自分のセールスポイントをアピールする。
(採用担当者)
「すごいね これ作ったの?」
(学生)
「編集長をやりました。
執筆と編集。
半分以上は書いたかなと。」
企業の参加費1回につき60~80万円。
それでも参加したいという企業は年々増えている。
これまでは中小企業がほとんどだったが
最近は大手企業も参加するようになったという。
(採用担当者)
「従来の大量マッチングのモデル自体に限界が来ている。
逆求人だといろいろな優秀な子たちと出会える。」
(学生)
「自分の全く知らない会社と出会えて視野が広がる。
どういう会社が自分を求めているかわかるのが逆求人の利点。」
企業のなかにはこの逆求人を採用の柱にするところも出てきている。
都内にあるインターネット広告を手掛ける企業 インタースペース。
今年の採用予定は約20人。
すでに30回ほど逆求人の面談会に参加している。
「誰か気になる子います?」
「12番の子。
たぶん僕らの価値観とフィットするので
この子は面談に行きたいですね。」
この会社では他の企業と同じように就活情報サイトや企業説明会を通じて募集を行ってきた。
しかし去年2.000人の応募があったが採用に至るケースは無かった。
去年採用した新人は19人。
大半は逆求人で獲得した。
(インタースペース 人事総括部 木野恵太さん)
「僕らが求めている人物像 ターゲット層の学生に出会えていない。
会社をあげて採りに行く。」
夜10時 都内のオフィス街。
大学4年生の岡田麻衣さんと日高さくらさん。
向かったのは就職先の1つとして検討している企業である。
「この建物だよね。
黒いほうの3階だから・・・
人が動いている。
スーツかかってる。」
残業しているかどうか確認しているのである。
「今」10時か
バッチリ残業してるね。」
いま学生が企業を選ぶうえで重視しているのが
働く環境や条件である。
(大学4年生 岡田麻衣さん)
「実際に自分が入ることになる会社がブラック企業かホワイト企業か
すごく気にしている。」
(大学4年生 日高さくらさん)
「自分の目で確かめて納得した上で決めたい。」
(岡田麻衣さん)
「親の世代は一生懸命働いたら昇進できたりいい給料をもらえたりした時代。
私たちの時代は必ずしもそうではない。
仕事も頑張りたいがプライベートも充実させたい。」
実は2人は企業に関する情報を交換する学生団体を運営している。
参加しているのは約20の大学の学生たち。
企業説明会などで聞いてきた話など共有する。
「毎月平均何時間ぐらい残業するんですかって質問する。
ある企業は残業が月に13~15時間と言っていた。
有給は20日間ぐらいとれるけど
実際は15日ぐらいしか取れないよと。」
「残業はやるときはやりますって言ってくれたほうがブラックじゃないのかな。」
就職を希望する企業をしっかり見極めたいという思いには
将来への不安もあるという。
「これから年金制度もどうなるのか分からない。
働き続けるためにはホワイトな企業を探して
将来の自分の保険みたいなところもある。」